とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

なでしこヨーロッパ遠征、ドイツ戦は力負け。拾えず、止めれず、つなげれず。

 イングランド戦も受け身に回るシーンが多かったなでしこだが、ドイツ戦はそれ以上に圧倒され、耐えきれずに4失点。ドイツに対抗できたのは大儀見のみ。全くの実力不足を露呈した。
 前半序盤からドイツが勢いをつけて攻めてきた。4分、CB岩清水からCF大儀見へパス。しかしDF3人が集まってのプレッシャー。堪らず奪われてCFダ・ムバビからのスルーパスにCHゲースリンクが抜け出し、クロスにダ・ムバビがシュート。ドイツが圧倒する。日本は大儀見に縦パスを放り込むが、キープをしても孤立する。中盤のCH宮間と阪口の押し上げが遅く、川澄と安藤のSHも両サイドに開いて届かない。ドイツは厳しくプレスをかけて奪うとカウンター。そして17分、右サイドに起点を作って、右SBマイアーが中に切れ込みミドルシュート。これがきれいに決まり、ドイツが先制した。
 その後も21分、トップ下マロジャンのスルーパスにダ・ムバビがシュート。25分、CHケスラーのFK。34分には左SBに入った田中明日菜のパスをダ・ムバビがカットして、右SHロッツェンが切り返しからシュート。GK福元がナイスセーブを見せる。
 日本はボールを持ってもパスがつなげず、奪われる。そんな中、大儀見に対しては手を使ってのファールを受けるなど厳しい守り。ドイツリーグで得点王になったのも伊達じゃない。そして40分、日本が攻め込み、戻されたボールを宮間がもう一度大儀見にフィード。DFを背負ってキープすると、タイミングを図ってのパス。大野が決めて日本が同点に追い付いた。さすが大儀見。その後はしばらく、DFラインも高く前に積極的に仕掛け、日本ペースで攻めたが、前半はここで終わった。
 後半1分、ドイツが勢いを持って攻めてくる。PA前のパス回しからCHケスラーがドリブルで仕掛けると、左SB田中が痛恨のファール。このPKをダ・ムバビが決めて、あっという間にドイツが勝ち越した。
 その後もドイツ・ペース。プレスが厳しく、その勢いで攻めていく。日本は守れない、拾えない、つながらない。それでも13分、宮間のスルーパスに大儀見が走り込むと、CBバルトゥジアックが手で抑えて倒す。ほとんどPAライン上のFKを宮間が蹴ると、ドイツの高い壁を越えて落ちて、ポストに当たる。はね返りを大儀見が落ち着いて決めて、日本が同点に追い付く。
 だがその後も日本は中盤でボールが収まらず、パスミスを重ね、クリアは悉く拾われる。ドイツがCKを何度も重ねて猛攻。日本は26分丸山、30分宇津木を投入。大野と田中明日菜に交代。それで少し落ち着いて日本がペースを取り戻す。しかし日本が攻め込んだ後の43分、カウンターで途中交代のバイラマイが持ち上がる。日本はMFが一人追いかける。4人のDFがずるずると下がる。最後はダ・ムバビのシュートが有吉に当たってコースが変わりゴール。ついにドイツが勝ち越した。さらにアディショナルタイムにもラウデアがドリブルで進入してきたところを丸山が後ろから倒し、PK献上。これも決められて2-4。最後はゴールを重ねられ、内容にふさわしい得点差でドイツに完敗した。
 両SB近賀と鮫島を欠いて、特に左SBには苦労した。それで川澄が孤立し、守備に追われたという面もあるが、阪口と宮間のボランチバイタルエリアをドイツに完全制覇され、機能しない。厳しいプレスにパスがつながらない。両SBとの連携がもう少し機能すれば、両SHとの連携も生まれただろうが、大儀見が孤立し、大野との連携も得点シーン以外ではほとんど見られなかった。守備も岩清水と熊谷が引き出されてはかわされ、両SBが下げさせられて守備に追われる。闘志、体力、スピード、全ての面でドイツが上回っていた。なでしこリーグで安閑としている場合ではない。もっと厳しい守備、もっと厳しいプレスで戦わなければ世界では戦えない。ファールをアピールして取ってもらえないシーンも多かった。日本はW杯優勝に満足していないか。それがわかっただけでも収穫。気を引き締めて再チャレンジ。そんな気にさせるヨーロッパ遠征だった。