とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

キリンチャレンジカップ 日本対チュニジア

 ハイルホジッチ新監督の初戦、先発メンバーがどうなるか大いに注目された。そして期待に違わぬ先発リスト。しかしメンバー以上にそのゲーム内容に好感をもった。全員、戦うメンタリティを持ってゲームに臨んだ。
 8分、チュニジアがCKからCFアカイチがシュート。序盤はチュニジアがプレスも速く、攻勢をかけた。だが日本もしっかりと速いプレスで対抗し、次第にゲームを互角に持っていく。12分、CH長谷部の縦パスからOH清武のクロスにCF川又が競り合うが、DFがクリアした。12分、清武のCKにCF川又がヘディングシュート。バーを叩く。代表初先発の川又だが、屈強なチュニジアCB陣に対して、よく身体を張って戦った。25分には清武のFKからCF川又のシュートはミスキックだったが、こぼれ球を左SB藤春がミドルシュート。特に前半は右サイドからの攻撃が多く、藤春が活躍する場面は少なかったが、存在感は示した。守備面でも大きな問題はなかった。
 28分、右SH永井のクロスをCB槙野がヘディングで落とし、左SB藤春がシュート。29分、右SH永井のスルーパスにCF川又が走り込むが、チュニジアのCBアブデヌールが体を生かし、うまく守る。さすがCL8強・モナコのCB。だが永井もこのゲームでは清武や川又とのコンビがよく、右サイドからパスの供給源となっていた。快足を生かす場面が少なかったのは残念だが。
 32分、スローインから右SH永井のスルーパスにCH長谷部が走り込み、クロスにOH清武がシュート。しかしうまく当たらない。GKが難なくセーブした。さらに43分、スローインから相手DFのミスをうまく清武が拾い、左SH武藤がドリブルで抜け出してシュート。しかしここもアブデヌールがナイススライディングでシュートブロック。
 前半、日本はよくボールに寄せてはシュートカウンターからチャンスをつかんだが、チュニジアの堅い守備の前にゴールは挙げられず、0-0で終えた。しかし戦う姿勢はよく見せていた。これまでの悩む姿よりもよっぽど好感が持てる。
 後半も同じメンバーが並ぶ。3分、CH長谷部から左に展開。左SH武藤のドリブル突破からシュート。DFがブロック。チュニジアも11分、OHサッシから左に展開し、左SBアルールのクロスに左SHアニタが前に仕掛けてシュート。GK権田がセーブした。アニタヘルタ・ベルリンで原口らと同僚だそうだが、いい選手だ。
 日本は15分、永井と清武に代えて、右SH本田とOH香川を投入する。するとゲームに躍動感が生まれる。21分、本田のCKにCB吉田がヘディングシュート。ネットを揺らしたが、別槙野がDFとの競り合いでファールを取られ、ノーゴール。残念。30分にも本田のCKからCB吉田がヘディングシュートを放つが、こちらは枠を外した。
 日本は27分、武藤と川又に代えて、FWに宇佐美と岡崎を投入する。すると直後の31分、FW宇佐美のヒールパスから右SH本田がクロス。FW岡崎が飛び込むもGKベン・シェリフィアがキャッチ。32分、左SH香川のスルーパスに右SH本田が走り込み、クロスにFW岡崎が走り込むも、トラップが長くなりクリアされた。
 そして33分、同じような展開で、左SH香川のスルーパスに右SH本田が走り込み、体勢を崩しながらフワッと上げたクロスにファーサイドからFW岡崎がヘディングシュート。ついに日本が先制する。38分にも右SH本田の縦パスをFW宇佐美が落とし、FW岡崎がつないで抜け出した左SH香川がクロス。GKベン・シェリフィアが弾いたボールに右SH本田が詰めて押し込んだ。ゴール。すぐに日本が追加点を挙げた。
 香川は41分にもミドルシュート。GKベン・シェリフィアがナイスセーブ。44分、左SH香川の見事なスルーパスにFW宇佐美が走り込みシュート。しかしポストに当たりわずかにゴールに入らない。惜しい。結局このままタイムアップ。2-0で日本がFIFAランキング25位のチュニジア相手に勝利した。
 考えてみればアギーレ前監督も初戦は若手を多く起用した。だが連携のまずさが目に付き、本田らとの力の差を見せつける結果となった。そして固定メンバーによるアジア杯。若手で登用されたのは結局、武藤と柴崎だけだった。ハリルジャパンの初戦は違った。同じ若手中心ながら、本田、香川、岡崎を先発から外したことで、清武や永井らの連携が見え、何より戦う姿がよく目に付いた。また、先日のブンデスリーガで積極的な攻撃参加を見せていた右SB酒井宏樹もいい動きを見せていたし、CB槙野やCH山口もよくゲームに貢献した。
 もちろん本田や香川が出場すると成熟した連携から2ゴールを挙げたが、けっしてこれは先発メンバーの力が劣っていたというわけではない。ハイルホジッチ監督は今後もこうした試合運びを続けるのではないだろうか。成長してほしい選手には後半15分間だけでなく、前半からしっかりと時間を与える。そして勝負所で実力のわかったベテラン勢を投入して勝利を引き寄せる。実に合理的な戦い方ではないか。
 次のウズベキスタン戦はどういうメンバーが先発するのだろうか。新生日本代表はアギーレジャパン以上に面白そうだ。何よりハリルホジッチ監督は頭が良さそう。日本人によく合っているのではないか。