社長が突然、「CSとESが大事だ」と言う。CSは「顧客満足」(customer satisfaction)ということで知っていたが、ESって何だ? 聞けば、「Employee Satisfaction」の略で、従業員満足のことだと言う。従業員の会社に対する満足度を高めることが会社の業績向上につながるということ。意味は分かる。だがどうすれば従業員の満足度を測定するのか。どうすれば従業員は満足するのか。「やる気」が出る、「やりがい」のある仕事や仕事のやり方をすべきだということもわかる。いや、私が問題だと思うのは、社長が突然、「わが社はCSとESを大事にします」と社員に向けて宣言したいと言うので、それはどうかなと意見を述べた。
経営方針として、「ESを大事にしよう」とするのはいい。株主に向かって、「わが社はES重視の戦略によって、業績向上に努めます」というのもいい。だが、社員に向かって、「わが社はESを大事にします」と告知することの意味や効果っていったい・・・?
ウィキペディアによれば、CS重視の経営が従業員のモチベーションを下げて、業務効率が低下する例があったため、ESという概念が提唱されたという。つまり、CSとESは相反することがあるということ。さらに業績もESを重視し過ぎると逆に低下する可能性が高い。つまりバランスが大事。
従業員にしてみれば、ES重視は歓迎すべきことだが、その結果、業績が下がり、給与ダウン等につながるのであれば、ある程度の自重もやむを得ない。これってまさに大企業の経営陣と組合との交渉みたいなものだ。ES重視を従業員に告知するというのは、組合交渉みたいなことをやりたいのだろうか。だがうちは組合があるほどの大きな企業ではない。ということは、ES重視と言って、実際は何もしなくても、誰も何も言ってこないと高を括っているのかな。株主にだけはいい顔ができる?
それとも、会社経営も従業員と一緒になって行うような開かれた会社にしたいということか。その可能性は高いと思うが、一方でこれまでの言動からすれば、かなりワンマンに事を決定する傾向がある。たぶん、誰も何も言いはしまいというほどのことも考えず、最終的には社長決定で押し切れると思っているのだろう。
たぶん、「わが社はESを重視します」と宣言したところで、社員は「何を言っているんだろう」位の反応で終わるとは思う。だから社長の好きにさせればいい、ということもあるだろうが、本来どうするのが正しいのだろうか。よくわからなくて困っている。