とんま天狗は雲の上

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軟弱地盤土地の地盤改良費は売り主が負担する?

 地方欄のニュースで、全国的にはほとんど注目されていないが、昨日・今日の新聞に、愛知県住宅供給公社の分譲宅地に関する裁判で、売り主である公社側が敗訴したという記事が掲載されている。
 「損害賠償:小牧の地盤改良で、県住宅公社に賠償252万円命じる−−高裁判決 /愛知」
 公社から約2200万円で土地を購入した建て主が、地盤改良工事に約250万円を要したことについて、売り主である公社に賠償請求を求めた裁判について、2審である名古屋高裁が1審を逆転し、公社に対して工事費全額の支払いを命じたものだ。
 公社は、販売にあたり、パンフレットに「造成地のため、地盤改良が必要となる場合があります」と記載していたが、判決では「瑕疵を説明していない」として瑕疵担保責任に基づく賠償責任を認めたとある。
 敗訴したのが公的機関である公社であるため、「不良品を売りつける行政はけしからん」とか、「結局は税金で出すのだから、賠償するのは当たり前だ」と考える人も多いかもしれないが、この判決は「公社だから」とは言っておらず、土地の売り主はすべからず、売却土地に瑕疵があり、十分な瑕疵説明をしていない場合は損害賠償責任があるということを言っている。
 しかし、売却する土地が地盤改良が必要かどうか、売り主が十分わかっていることは少ないのではないか。この土地の場合は造成地であり、地盤沈下するということは盛土だったと思われるが、そのことを隠して販売したのだろうか。もし相応の値引きをしていたにも関わらずこうした判決であったとすれば、かわいそうだと思う。
 販売時にはどの位置に建物を建てるのかわからないことが普通なので、販売側で地盤調査まですることは少ないと思うが、購入後、地盤調査をした結果、軟弱地盤と判明した場合、地盤改良に要する費用は瑕疵として売り主が負担する必要があるということか。どこまで情報提供をすれば瑕疵担保責任から免れるのかということもわからない。
 いろいろなケースが考えられる。
 昔からの家は当然地盤改良などは行っていない。前の住宅と同程度以下の重さの住宅であれば地盤沈下は起こらないと考えられるが、それ以上の荷重がかかると見込まれる住宅を建設することになり、地盤調査を行って地盤改良が必要だということになった場合、売り主は損害賠償をする必要があるのか。
 田や畑、駐車場などで利用していた土地を売却した場合、従前の利用形態を伝えれば、情報提供したことになるのか。転売土地で、その前の土地利用までは知らない場合はどうなのか。
 最近は、土壌汚染など土地の瑕疵が問題になるようになってきた。最近土地を売却した人やこれから土地を売却しようと考えている人、また仲介業者など、この判決を他人事として看過することはできないのではないか。