とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

戦い方がわからない コートジボワール戦感想

 W杯前の最後の練習試合。コートジボワールにも0-2で敗れ、これでついに4連敗。どこまで連敗が続くのか。イングランド戦で薄日が差したと思った代表だったが、また厚く暗い雲に覆われてしまった。
 高地練習疲れが残るのか、ゲームの立ち上がりから全員身体が重そうで、動きにキレがない。特に遠藤はボールを持てば奪われる、パスをすればインターセプトと散々な出来で、岡田監督の「戦える選手、戦えない選手が見えてきた」というコメントの後者の筆頭株に間違いない。
 中盤でここまでミスが多いと自然とコートジボワール・ペースになって、8分、CKのボールはドログバが強烈ヘッド。中澤がしばらく立ち上がれないほどの猛烈なヘッドで、これで日本選手は全体として委縮してしまった感がある。
 先制点の場面のドログバのFKも強烈に壁に当たってこぼれたところを闘莉王がクリアしようとしてゴールに蹴り込んだもの。日本選手全員に冷静さがなく、浮足立っていた印象だ。15分のドログバを負傷退場させてしまったシーンにしても、あせりが生んだプレーだったと言える。
 前半25分過ぎ位からコートジボワールもゲームをコントロールし出して、中盤であまり深く追わなくなり、日本がボールを持たせてもらえるようになってきた。28分、ようやく今野から前線にクロスが上がるがDFがクリア。しかし、逆に29分にはDFクリアのボールが最前線のドゥンビアにわたりシュートを許す。31分にも遠藤のミスからディンダンがシュート。これでは全く日本はペースがつかめない。
 40分、今野から岡崎が落とし本田がボレーで狙った場面がこのゲームで唯一の日本の見せ場。しかしそれとて連携というより単発の本田の気持ちが生んだシーンだった。ロスタイムにはドゥンビアが阿部からボールを奪って長駆ドリブル、シュートを放つ。コートジボワールの勢いの前になすすべなし。
 後半、日本は本田、阿部、遠藤に替えて、俊輔、憲剛、稲本を入れる。遠藤ダメダメ、阿部も今日のコートジボワール相手では微妙な出来。注目は俊輔。5分、さっそくFKの場面でいいキックを見せてGKを慌てさせる。序盤はこれまでと違い積極的に前に出て、少し戻ってきたかなと思ったが、周りとの連携がうまく取れない。16分、カルーから始まるコートジボワールの攻めも、俊輔のミスから。ディンダンがドリブルで駆け上がり、ドゥンビアがシュート。24分、稲本のボール奪取から俊輔のパス、森本がヒールで落とすシーンがあったけど、その後の連携が続かない。同様のシーンは31分にもあって、駒野から森本に長いパスが出るが、頭で落としたところに走り込む選手が誰もいない。
 そうこうするうちに34分、ティエネが蹴ったFKにココ・トゥーレが走り込み、ダメ押しの2点目を献上。ここでもゴール前に詰める日本選手が誰もいないことが気になる。日本は39分森本、40分憲剛とシュート。ロスタイムには玉田から長谷部のクロスに闘莉王が走り込むがシュートは打てず。あっという間に90分が経過した。
 長友が攻撃にまったく絡めないのが気になる。相手の強い選手につけて守備を強化しているのだろうが、日本の唯一のストロング・ポイントであるサイド攻撃がまったくなくなってしまった。今の日本にはセットプレー以外、攻撃の手段がない感じ。岡田監督は「戦える選手。戦えない選手」と言うが、戦える選手相互の連携ができていないため、戦い方がわからない。これでは得点は奪えない。
 カメルーン戦も厳しい戦いになることが予想される。ようやく日本はW杯は「プレーをする」場ではなく、「戦う」場だということを理解し始めたところだ。あと10日で戦い方まで見出すのは無理だろう。しかし「戦う」ということを見出しただけでもW杯に出場した意味はある。この悔しさをばねに2014年ブラジル大会をめざそう。僕の中では既に日本代表は次の2014年に向かっている。
 ところでドログバは右腕骨折のようだが、大丈夫だろうか。今大会を盛り上げる一人として大いに期待していたのだが、本当に申し訳ないことをした。戦い方を知らない未熟なチームがゲーム自体を壊すというのはよくあることだが、まさか日本がその役を演じることになるとは思わなかった。強靭な回復を見せて、無事W杯のピッチに戻ってくれることを願ってやまない。