とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

プラッと御嵩(みたけ)、カフェ・ツアー

 先日の平日、休みを取って岐阜県御嵩町へ行ってきた。私の住む高蔵寺NTからは約1時間。土岐市の北、可児市の東に位置する人口約1万8千人の町だ。私が行きたかったのは中山道御嵩宿。少しは古い町並みが残っていると聞いて、それを見てみたかった。でも妻と一緒だと、町歩きもいいけど、食事や買物も。それでまずグルナビで検索。まずは一番人気のカフェ「ラ・プロヴァンス」へ向かう。

 国道19号を土岐から国道21号に北上。しばらく行くと右「ラ・プロヴァンス」の看板が出ている。それに従って車を走らせると、一山越えて開けた土地に出る。津坂の集落だ。中山道の立て看板を横目にさらに一山越えて、前沢集落を左に曲がると細い道を入るように案内する看板があり、さらに急カーブを描いて砂利道を登っていった先にようやく、素敵な山荘風の建物が見えてくる。駐車場に留めて急坂を登り、ようやくたどり着く。

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 11時少し過ぎに着いたが、ウェイティングリストに名前を書いて、しばらく庭でくつろぐ。バラも咲き、涼しい風が吹き、そしてはるかに見渡す樹林の向こうには山並みが見える。15分ほど待ったが、それがまったく苦にならない気持ち良さ。ベンチに腰掛けて、写真を撮ったり、景色を眺めたり、Facebookに送ったり。そうこうしているうちに名前を呼ばれた。

 ケーキは1個400円強。飲み物はハーブティを中心に500円弱。本当はランチを期待していたが、最近は休止中ということだった。でもケーキがおいしい。ハーブティとカフェオーレを頼んだが、これもおいしい。何よりゆったりと流れていく時間が心地よい。室内には窓際にテーブルが6卓程度。内側にもテーブルはあったがそこは使用していない様子。庭で過ごす時間も含めて、ケーキとお茶と自然を楽しんでもらおうと意図であえて詰め込まないようにしているのかもしれない。

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 のんびりした時間を楽しんだ後、駐車場との間に建てられた小屋の前で陳列されている雑貨を覗いていく。店番の女性に話を聞くと、元々はエクステリア工事を主体にしていたが、雑貨小売も始めるようにしたとのこと。ひょっとしてカフェもエクステリア工事業者の副業で始めたものなのだろうか。ランチを止めたのは、客が殺到しすぎたためではないか、などなど、いらぬ推測話をしながら、今度こそランチを目指して次の店に向かった。

 お昼を食べたのは「みたけの森」の入口にある「Cafe de Iwai」。たぶん主婦の方が副業で経営されているのではと思うけど、民家の庭先からダイニングが入る感じで、入口でスリッパに履き替える。室内に4テーブルと庭に2テーブルがマックス。先客は3組だったが、全員女性だった。

 注文したのはAペアランチで2300円。サラダとピザ、パスタ、パンが一つずつにデザートと飲み物。Bランチだろ1700円で前菜が付いて、デザートが豪華になり、パンが食べ放題。でも既に「ラ・プロヴァンス」でケーキを食べた後なので、Aランチにした。薄いパリパリの生地に具が満載されたピザがおいしい。赤エビのクリームパスタを頼んだが、これもエビが濃厚でおいしかった。そして食事と一緒に楽しめるのが食器。ティーカップはノリタケチャイナだったし、ピザはガラスの皿に載せられて出てきた。近在の主婦のおしゃべりの場になっているみたいだが、アットホームでしかもおいしい。

 ようやくお腹が満ちて、それから御嵩の町に入る。御嶽宿は中山道49番目の宿場町で細久手宿と伏見宿の間に位置する。そう言えば30数年前、細久手宿(瑞浪市)から初めて中山道を北上し、途中、妻籠で一泊して塩尻まで旅行したことがあった。今回はその続きを南に向かっているようなもの。中山道みたけ館は1階が図書館、2階に郷土館のあるRC造の建物。ここの駐車場にクルマを置いて、パンフレットをもらう。東隣の御嶽宿本陣は立派な門構えの木造の建物。一般の民家として利用されているようで、右隣の通用門に普通に表札が掲げられていたが、母屋はやや新しい様子。パンフレットによれば明治・大正と建替えられたとのこと。しかしその裏手には漆喰塗りの土蔵が二棟見ることができる。

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 その東隣にある「商家竹屋」は本陣の野呂家から分家した商家で明治10年頃の建築。御嵩町有形文化財に指定され、無料で一般公開されている。格子窓で覆われた外観。道沿いには犬矢来の置かれ、中二階には「つし」(小屋裏物置き場)がある趣のある商家で、玄関を入ると奥に向かって土間が走っている。右手に店の間があって、右奥は壁で遮られ、その奥に座敷が三間ある。表のミセノマの奥のナカノマには天井から高く井戸のようなあかり取りがそびえ、上方から光が落ちてくる。

 中庭に面する縁側には像が歪む古いガラス戸があり、張り出しの縁台が付いている。通り土間には水路が掘られ、その上に板で蓋がされている。板の間にちゃぶ台の置かれた台所は最近修復したものという表示があるが、その奥には竈と井戸があり、別棟で屋根がかけられた炊事場になっている。また、中庭には二間続きの茶室があり、さらに奥には展示棟と土蔵がある。展示棟とトイレ棟は新しいが、それ以外は大正以前の建物のようだ。

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 展示棟では機織体験ができる。またセピア色の古い乾板写真が多く飾られており、戦前昭和の時代を懐かしむことができる。当主である野呂家は金融業を営むが、名古屋で借家経営や輸入車販売なども手がけ、幅広く商売を行っていたそうだ。

 周囲にも古い商家が散見できるが、それほど多く残っているわけではない。御嶽宿わいわい館は町が設置した地域交流施設で喫茶や工房などもあるようだが、あいにく当日は休館日。奥に長い商家の外観だけを眺めて、次は伏見宿へ向かった。だが、伏見宿も国登録有形文化財の「松屋山田家住宅」が残っている程度で他はほとんど建替えられてしまった。駐車場が見当たらず、やむなくそのまま素通り。御嵩町の旅は結局、商家竹屋を見ただけで終わった。

 その後、東海環状自動車道・可児御嵩IC横の道の駅「可児ッテ『CANITTE』」に寄って地元の野菜や土産物を見て、夕飯のおかずになりそうなものを買う。季節柄、マツタケも多く並べられていたが、手が出ず眺めるだけ。代わりに手作りのほうじ茶と焼き芋のジェラートがあったのでそれを食べた。帰りに、近くの日帰り温泉「天然温泉・三峰」に寄る。ちょうど10周年で入浴料が普段700円のところ、500円になっていた。ラッキー。最後はゆったり温泉で身体を癒し、最近のストレスを癒して家に帰った。楽しい1日だった。

 で、帰りの車中で話したこと。旅行って、結局、普段行かないところで、食べて、買物をすることを言うんだろうか。今回、観光施設は商家竹屋に行っただけ。その周辺の町並みも少しは見たが、一番楽しかったのは「ラ・プロヴァンス」の自然と「cafe de Iwai」の食事だった。それでもリラックスできたのが一番よかった。それがまさに旅行の効用だ。