とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

自由にものが言える時代、言えない時代

 先日、爆笑問題が制服向上委員会に絡んで、やりかえされるという出来事があった。だから本書を読んだわけではないが、たまたまその直後に本書の予約が回ってきたので、興味をもって読み始めた。それまで爆笑問題は政治批判的な発言を繰り返す知的な漫才コンビという印象があった。それが本書に興味を持った理由でもあるのだが、はっきり言って失望した。
 4月の「桜を見る会」で太田が安倍首相とにこやかに談笑することがあり、あれと思っていたが、本書でもはっきりと書いてある。

●俺らの漫才は別に政治を茶化したいって意識じゃなくて、要するにニュースってものを使ってやるのは効率がよかっただけなんですよ。いわゆるみんなが知ってる旬なことをネタにした方が笑いがとりやすいってだけで大したポリシーがあってやってるわけじゃないから。(P51)

 なんだ、そういうことか。期待して損した。
 本書はWiLL他に連載してきた「爆笑問題の日本原論」の2009年4月から2015年2月までを転載したものを振り返りつつ、爆笑問題町山智浩の3人が対談するもの。毎月の事件や話題を追って爆笑問題の二人が漫談を繰り広げるが、確かにポリシーがない。言葉尻を取って脊髄反射的に言葉を重ねているような感じで、ふーんとは思うけど、特別面白いわけではない。それよりは町山の方がよほど批判精神に富んでいて、社会をよく見ている。
 アメリカの政治状況は今後も大統領が民主党、議会は共和党というねじれ現象が続くのではないか、という発言には思わずホント?と思ったが、確かにそういうことも考えられる。
 爆笑問題に対してしっかり見切ることができたという点で本書を読んでよかった。考えてみればビートたけしもそうだった。芸人の政治批判は眉唾で聞かなくては。そういうことがわかった。

自由にものが言える時代、言えない時代

自由にものが言える時代、言えない時代

●ターゲットさえあればいい。本当に恐ろしい世の中になってるな。そういうのを止める知性とか教養とか全部崩壊してるのね。・・・本当に余裕がなくなったんだろうね。・・・変な国だよね。観た後、みんな「意味わからん」って言っているのに大ヒットしちゃうんだから。みんな行くから行くっていうのは本当に気持ち悪い。(P197)
●田中:福島に関してはスピーチの中で「コントロールできている」とちゃんと断言したんだよ!/太田:なるほど、マインドコントロール?/田中:違うよ! 海に流出した放射能の話だよ! 安倍総理は、汚染水は・・・完全にブロックされていて、安心だって言ったんだよ!/太田:でもそのあと滝川クリステルが出てきて、「う・つ・て・な・し」ってやってたぜ。(P229)
中間選挙の投票者は特に老人が多い。中間選挙は大統領に投票できないから、若い人は興味がなくて投票に行かない。そうすると老人に人気のある共和党が伸びる。らぶんこれからのアメリカは民主党が常に大統領選挙で勝ち続けて、議会は共和党が勝ち続ける状況がずっと続くと思いますよ。(P246)