とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

トーナメント・オブ・ネイションズ オーストラリア対日本

 なでしこのアメリカ遠征最終戦は春のアジア杯で勝利したオーストラリア。日本は横山と田中南美の2トップ。ボランチは有吉と隅田と、またまた新しい組み合わせを試した。GKには代表初出場の平尾。これで3試合とも異なるGKを起用したことになる。対するオーストラリアの布陣は4-3-3。ケロンドナイトをアンカーにゴリーとサイモンがIHに入り、FWはカーを中央に、右WGデバナ、左WGロガルツォ。カーペンターが左SBに入り、右SBにはラソが座った。

 序盤、日本の動きがいい。5分、右SB清水の縦パスをFW田中が落とし、FW横山のスルーパスに走り込んだ右SH中島がクロス。左SH長谷川が走り込むが、わずかに届かない。6分にはFW横山がミドルシュートを狙った。その後も前半はすばらしい動き。前への意識が高く、パスもうまくつながり、オーストラリアに何もさせない。14分にはFW横山のドリブルから右SH中島がミドルシュート。21分にはFW横山がミドルシュート。そして22分、CH隅田の縦パスをFW横山が落とし、FW田中がミドルシュート。だがいずれもGKウィリアムズがセーブする。最後のシュートの場面で人数が少なく、ゴールまでの距離が遠い。シュートも精度に欠ける。

 オーストラリアもようやく26分、右IHゴリーの縦パスに走り込んだ左SBカーペンターが切り返してミドルシュートを放つが、GK平尾がキャッチした。その後も日本のペースで進む。なかなか形が作れないオーストラリアは29分、早くも右WGデバナに代えてギールニクを投入する。40分、FW田中のポストプレーからFW横山がキープをして、スルーパスに右SH中島が抜け出すが、これはオフサイド。オーストラリアは手数をかけない思い切った攻め。41分、右SBラソのクロスにCFカーが走り込む。GK平尾がパンチングしたボールを右WGギールニクがシュート。だがこれは枠を外した。43分にはCB三宅の縦パスからFW田中が右に展開。右SH中島がクロスを入れるが、左SH長谷川に少し合わず、ボレーで折り返したが、あとは続かない。44分、FW横山がやや遠目から直接FKを狙ったが、GKウィリアムズがナイスセーブ。弾き出した。アディショナルタイムにはオーストラリアが、左SBカーペンターの駆け上がりからCFカーがシュートを放つが、DFが囲んでブロックした。前半はスコアレス。日本が圧倒的に押していたが、ゴールはならなかった。

 後半頭、日本は4人を返る。FWを菅澤と岩渕のコンビニチェンジ。ボランチの隅田を下げて三浦を投入。右SHには増矢を投入した。後半序盤、オーストラリアは長いボールを日本のゴール前に放り込んで、CFカーを走らせる。これをはね返した後の2次攻撃で左WGロガルツァがPA外側から仕掛けたところを、CH三浦が足をかけてしまう。これで得たFKをCBケネディが蹴ると、日本の壁の間を抜けたシュートが直接ゴールに吸い込まれた。オーストラリアが先制点を挙げた。壁の作り方が甘かった。どうして割れてしまうのか。

 するとその後はオーストラリアが持ち前の強さを生かして攻めてくる。8分、右WGギールニクのクロスにCFカーがヘディングシュート。ポストを叩く。さらに左WGロガルツァの落としから左IHサイモンがミドルシュート。これはGK平尾がセーブした。日本も9分、CB三宅の縦パスから右SB清水のつなぎに右SH増矢がドリブル。落としをFW岩渕がシュートするが、枠は捉えられない。逆に10分、右SBラソのドリブルを止め切れず、最後はシュートを打たれてしまう。

 日本はFWが代わり、二人のコンビが見られない。両SHも積極的に中に絞り、絡もうとするが、お互いの意思が空回り。パスミスも多く、攻撃がつながらない。オーストラリアは20分、左SBカーペンターのドリブルから左WGロガルツァのクロスにCFカーがヘディングシュート。GK平尾がファインセーブ。続くCKに再びCFカーがヘディングシュート。これはDFがブロックしたが、高さのないDF陣ではCFカーの高さと速さを掴み切れない。

 23分、オーストラリアは左WGロガルツァに代わり、フォードを投入。日本も27分、阪口萌乃に代えてCH杉田を投入。有吉を本来の左SBに下げる。直後の27分、CBクラマーのフィードをCFカーが落とし、右WGギールニクがシュート。GK平尾がファインセーブする。日本も26分FW岩渕、31分には右SH増矢がミドルシュートを放つが、単発。後半はパスによる連携が見られない。

 そして36分、右SB清水の横パスが弱く、左IHサイモンに奪われると、縦パスにCFカーが走り込む。GK平尾がPA外まで飛び出してクリアしようとするがかわされ、無人のゴールへシュート。オーストラリアが2点目。その後、日本は右SH川澄を投入して反撃を試みるが、一度崩したペースは最後まで戻らず。2-0と完敗した。

 日本は前半、プレスもよく、パスがよく回り、オーストラリアを圧倒したが、その間にゴールがなかったのが痛かった。だが、決定的なチャンスがあったかと言えばそうでもない。ボランチからの上がりがなく、クロスは入るが、ゴール前の人数が足りない。そして後半、オーストラリアが前への圧力を強めると、途端に腰が引けて、前へのパスもつながらなくなり、横パスも弱くなり、それを奪われてのダメ押し点。阪口夢穂もいない、宇津木もいない中で、チームを鼓舞し、まとめるリーダーがいない。今のメンバーでは鮫島に期待するところが大だが、たぶん彼女も自分のことが精一杯。背中で引っ張るタイプで、後ろから背中を押し、お尻を叩く存在がいないような気がする。あえて言えば、高倉監督か? それが却って選手たちを委縮させているのかもしれない。

 高倉監督の指示を破って好き放題する選手が欲しい。永里優季にはそれができるのではないか。シカゴでプレーしながら、そのホームで戦う永里選手の姿が見えないことが悲しい。いいゲームをしても勝てない。その殻を破るためにも、永里選手の代表復帰を期待したい。