とんま天狗は雲の上

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W杯アジア最終予選 グループB第9節 オーストラリアvs.日本

 W杯最終予選もいよいよ最後の2連戦。日本ではこの連戦でW杯出場が決まるという楽観的な見方が広がっているように感じるけど、実際は負ければ途端に3位に転落するという厳しいゲームでもある。しかも大迫と酒井宏樹に冨安が欠場。CBには板倉、右SBは山根がいるが、ワントップは誰を起用するのか、注目だった。抜擢されたのは浅野。他はこのところ固定されたいつものメンバー。右WG伊東、左WG南野。守田、田中、遠藤のスリーボランチ。左SB長友、板倉とCBを組むのは吉田。GK権田。

 しかしメンバー編成に苦しむ点ではオーストラリアの方が深刻だ。ムーイやアーバイン、ロギッチ、タガートと前回先発出場した選手が軒並み欠場。ボランチは代表初招集のステンスネスと3回目のメトカーフで組む状況。布陣は4-4-2。デュークとフルスティッチの2トップに、右SHボイル、左SHマビール。SBは右にグラント、左にキング。CBはデグネクとセインズベリー。GKにライアンが先発した。

 開始1分、右SB山根のクロスを左WG南野が収めて、反転からシュート。GKライアンがキャッチするが、序盤から日本が積極的に攻めていく。9分にはCB吉田のフィードに走り込んだCF浅野がゴール前に戻したパスを左WG南野がシュート。だがこれは当たり損ね。一方、オーストラリアも11分、右SHボイルが中に仕掛けてミドルシュートを放つ。日本は12分、CBデグネクの縦パスを左IH田中がカットしてCF浅野がシュート。19分には左WG南野のスルーパスに左SB長友が抜け出すが、シュートはGKライアンがナイスセーブで弾き出す。

 オーストラリアの緩いプレスに日本が積極的に攻め、次々にチャンスを作っていくが、最後は決めきれない。逆に25分、ボイルのCKにGK権田とCBセインズベリーが競り合って倒れ、CHステンスネスが押し込んでネットを揺らす。しかし主審はキーパーチャージを取ってノーゴールの判定。しかしGK権田がボールにしっかり触れたわけでもなく、審判に救われたシーンではあった。

 その後も日本は長いボールを再三オーストラリアDFの裏に蹴り込み、浅野が抜け出してチャンスを作る。しかし逆にそれによって間延びした日本の陣形の逆を取って、オーストラリアが攻め込む機会も増えてくる。お互い攻め合うオープンな展開になってきた。28分、左WG南野から右に展開。右WG伊東のスルーパスに右IH田中が走り込み、クロスのこぼれを左WG南野がシュート。だがポストの左。オーストラリアも29分、左SHマビールがミドルシュート。32分、右WG伊東のクロスに左WG南野がヘディングシュートするも、バーを叩き、GKライアンがキャッチ。33分にはCH遠藤のフィードから日本がチャンスを作っていく。しかし35分、今度はオーストラリアがカウンター。CHメトカーフのミドルシュートはFWデュークが途中でコースを変えて、あわやポストの左に外れた。37分、CB吉田のフィードに右SBグラントが目測を誤り、左SB長友が抜け出すと、GKと一対一。だがマイナスに送ったクロスには左WG南野が合わせ切れなかった。シュートはバーに当たる。40分、右SB山根のクロスに左WG南野のヘディングシュートはGKライアンがキャッチ。直後にはFWフルスティッチのクロスにFWデュークがヘディングシュート。こちらはGK権田がセーブする。45+1分、CH遠藤のミドルシュートも枠を外す。前半、日本は優勢だったが、ゴールはならず。このままスコアレスで折り返した。

 オーストラリアは後半頭、CHメトカーフをジェゴーに交代する。すると後半はオーストラリアが積極的。1分、FWフルスティッチの強烈なFKはGK権田がパンチングではね返す。3分にもFWフルスティッチがミドルシュートを放つが、わずかにポストの右。だが後半に入って日本は、前半のように攻めることなく、落ち着いてパスを回すようになった。17分、CH遠藤、左IH田中とつなぎ、右IH守田のスルーパスにCF浅野が抜け出してシュート。直後の18分には長友の浅野を下げて、左SB中山、CF上田を投入する。20分、伊東のCKのクリアをIH守田がボレーシュート

 オーストラリアは24分、マビールとデュークを下げて、左SHティリオ、FWフォルナローリを投入する。直後の24分にはCF上田がミドルシュート狙うが、右に外した。引き分けでもOKな日本はその後も落ち着いてパスを回していく。35分、右WG伊東のスルーパスに右IH守田が走り込み、戻しのパスを左SH南野はシュート。だがDFにブロックされた。すると39分、日本は南野と田中碧を下げて、左WG三苫、左IH原口を投入する。オーストラリアも右SHボイルに代わってマクラーレン

 42分、右SB山根のパスカットから右IH守田を経由して、右WG伊東がシュート。だがGKライアンがセーブ。そして44分、右SB山根からのパスを右IH守田が縦に入れると、ギリギリ追い付いた山根が戻しのパス。これに左WG三苫が走り込んでシュート。これが決まった。ついに日本が先制点を挙げた。オーストラリアは45+1分、CHステンスネスに代えてフォラーニを投入。しかしこのままアディショナルタイムが進行し、45+4分、左サイドで左WG三苫がボールを持つと、鋭い仕掛けから中へ切れ込んで、DFをかわしてシュート。これがGKの手を弾いてゴールに転がり込んだ。追加点。そして直後にはタイムアップ。2-0。日本がW杯出場を決める勝利を挙げた。

 森保監督は「守りに入らず、攻めていった」と言うが、前半は危うい場面も多かった。25分の日本のゴールネットが揺れた場面では、審判の判定に救われたが、ゴールが認められていればどういう結果になっていたかわからない。そういう意味では、オーストラリア・チームにコロナ陽性者が相次いだことなど、日本に運があったとも言える。そして、一躍ヒーローになったのは三苫フロンターレ時代を思い出すような切れのあるプレーで2得点。別に日本にとってはゴールがなくても構わなかったわけだが、こうした場面でもしっかり自分をアピールして、ゴールを挙げる。やはりこの人は何かを持っているかも。

 これで日本のW杯出場が決まった。だが、この監督で、W杯は戦えるだろうか。ブンデスリーガで活躍する伊藤洋輝や奥川雅也など、本選ではぜひその姿を見たい選手もいる。12月の本選に向けて、監督も含めて、もう一度イチから検討してみることも必要ではないか。本選で初戦から1勝2敗ではグループリーグも突破できず終わってしまう。