先週は台風で延期となったコンサドーレとのゲームで不安定な立ち上がりに失点。いったんは追い付いたものの、前半終了間際に勝ち越された上、直後に八反田が退場となり、一人少ない状況で戦った後半に追い付くことができず敗戦。痛いゲームを落とした。そして今節の後のまた、延期となったセレッソ戦が控え、3連戦となる初戦。降格圏内との勝ち点差はわずか1。相手は7試合勝利のないヴィッセル。ここは絶対勝っておきたいところ。
宮原が欠場のグランパスは櫛引を右SBに起用。金井が久しぶりに左SBで先発した4-4-2。攻撃陣にはいつものメンバーが揃った。一方、メンバーをガラッと変えてきたのはヴィッセル。ようやくリージョ新監督もチームを掌握してきたか、これまで不安定な守備の要因だったアンカー藤田の両サイドに伊野波と三田を配置。中盤の守備を安定化するとともに、攻撃陣も古橋のワントップの下にポドルスキとイニエスタ。二人の守備の負担が減って、攻撃がずっとスムーズになった。そしてGKにはJリーグ初先発の前川を起用。かつてサンフレッチェで活躍した前川の息子だ。
開始3分、グランパスが決定的なチャンスをつかむ。CHエドゥアルド・ネットの縦パスを受けた右SH前田のクロスにFWジョーが抜け出しシュート。だがGK前川が弾き出す。緊張する最初のプレーでナイスセーブを見せて、これでGK前川も乗った。すると6分、右FWポドルスキがミドルシュート。そして10分、左FWイニエスタのループパスに右FWポドルスキが走り込み、ボレーシュート。ヴィッセルが先制点を挙げた。グランパスは前目の位置で何度もボールを触るイニエスタに対して、スペースを埋める守備。変にプレスをかけてかわされるのを警戒したのかもしれないが、イニエスタにストレスなくゲームを作らせ過ぎ。
18分には左SBティーラトンのパスから右FWポドルスキがシュート。GKランゲラックがキャッチ。グランパスも22分、左SH玉田のCKにGK前川が飛び出したところを、CHエドゥアルド・ネットがヘディングシュート。しかしGKの飛び出しに慌てたか、叩きすぎ。うまく当たらなかった。ヴィッセルは相変わらず左FWイニエスタが自由にプレーする。26分、イニエスタのパスから右FWポドルスキがミドルシュート。GKランゲラックがナイスセーブで弾き出す。
そして35分、玉田のFKは横に流してCHエドゥアルド・ネットがミドルシュート。だがDFがブロックしたこぼれ球をCB大崎が前にフィード。CF古橋がドリブルで駆け上がると、前にいるのは右SB櫛引一人。引き付けて左に流すと、CH藤田がGKと一対一。しかしシュートは飛び出したGKランゲラックに当ててしまった。ランゲラックのビッグプレーだ。藤田もワンタッチでシュートを打っていれば決まっていただろうが、パスを受けた時点ではまだ余裕があった。それからのランゲラックの飛び出しが見事だった。
しかし36分には左FWイニエスタがミドルシュート。これは枠を外したが、PA手前でまったくフリーだった。その後もヴィッセルが攻める。38分、右FWポドルスキがドリブル。DFに止められたが、右SB三原が拾ってクロスに左FWイニエスタがスルーパス。CF古橋が受けるが、DFがブロック。グランパスも必死で守る。39分にはCB大崎の縦パスに走り込んだCH藤田のクロスに左FWイニエスタがシュート。右CB櫛引がブロックした。前半は1-0。ヴィッセルのリードで折り返した。
後半頭にグランパスは櫛引を下げて左WBに和泉を投入。金井を左CBに下げて、3-4-3の布陣にする。すると後半22秒、CB丸山のフィードをCFジョーが胸で落として、CH小林のスルーパスに走り込んだ左FW玉田が角度のないところからGK前川の上を抜く技ありシュート。グランパスが同点に追い付いた。後半になってグランパスはようやくイニエスタに対して強くプレスをかけるようになる。それでも3分、左FWイニエスタの縦パスにCF古橋が快足を飛ばして走り込む。シュートはDFに当ててポストの左に外れたが、危うい場面。4分には左サイドからのCKにCBヤセルがヘディングシュート。GKランゲラックがファインセーブではね返す。ヴィッセルは8分にもCF古橋がカウンターで走ってミドルシュート。イニエスタを抑えた分、CF古橋のカウンターが脅威になった。
19分にもCF古橋のドリブルから左に流してFWポドルスキがシュート。これはわずかにポストの右。グランパスも21分、左FW玉田のドリブルから右に流してCFジョーがシュート。しかしGK前川がファインセーブ。その直後、ヴィッセルは左SBティーラトンがケガで橋本に交代。さらに26分にはCB大崎が足を痛めて那須に交代する。30分、左FWイニエスタが中盤からドリブルを開始。ひらりひらりと5・6人もかわしてさすがのプレーを見せる。
グランパスも後半は両WB和泉と前田が積極的に攻撃に絡み、攻め込んでいく。33分にはCHエドゥアルド・ネットの縦パスを右FWシャビエルが落とし、左FW玉田が戻して、左WB和泉がシュート。だがうまく当たらない。すると40分、右CB那須のフィードに走り込んだ右FWポドルスキが、左CB櫛引を引き連れて中へカットイン。一瞬のスペースを突いてのミドルシュートがネットに突き刺さる。さすがの技術でヴィッセルが勝ち越しゴールを決めた。
グランパスも41分、左CB櫛引に代えて左WB青木を投入。和泉を左CBに下げる超攻撃的な布陣にして反撃する。45分、右WB前田のクロスに左FW玉田がヘディングシュート。バーを叩く。アディショナルタイム50分には玉田のCKに左WB青木がニアに走り込んでヘディングシュート。だが枠に入らない。そしてタイムアップ。2-1。ヴィッセルが待望の勝利を挙げた。
3ボランチにしてイニエスタを攻撃的に配する新布陣はヴィッセルの新しい展望を見せてくれた。降格圏との勝ち点差も7に広がり、これでリージョ監督も来季に向けて、落ち着いてチーム作りができるだろう。一方、グランパスは今日のゲームでサガンが勝てば降格圏へ転落する。残り試合が1ゲーム多いとはいえ、厳しい状況だ。そう言えば昨年の今頃もJ1昇格に向けて同じような状況だった。結局毎年ハラハラドキドキ。そして火曜日にはセレッソ戦。もう本当に絶対に負けられない。いや勝利が欲しい。危機的状況になってきた。
