とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

J1リーグ第12節 横浜F.マリノスvs.名古屋グランパス

 前節もサンガに先制するもすぐに追いつかれてドロー。これで5試合勝利がないグランパスマリノスベトナムで開催されたACLグループリーグを首位で突破。1試合少ないながら4位につける。元より勝利は期待していなかったが、しかしやはり今のグランパスはあまりに不運。このゲームを観て、そう強く感じた。

 マリノスの布陣は4-2-3-1。レオセアラをトップに、アンデルソン・ロペスとエウベルが左右に開き、トップ下には久しぶりに出場のマルコス・ジュニオールボランチは岩田と喜田が並ぶ。DFは右SBに小池、左SB永戸。畠中とエドゥアルドのCBにGKは高丘。対するグランパスはこのゲームでも3-5-2の布陣を取る。酒井とマテウスが2トップに入り、中盤はレオシルバをアンカーに、右IH稲垣、左IH仙頭。WBは右に森下、左に吉田。CBとGKは前節と同じ。

 開始3分、マリノスが左SB永戸のCKからCFレオセアラがヘディングシュート。だがGKランゲラックががっちりキャッチする。このゲームのグランパスは序盤から積極的にプレスをかけていく。マリノスもしっかり受けてお互い互角の展開。22分、左SB永戸が強烈なミドルシュートを放つが、わずかにバーの上を越えた。そして24分、FKマテウスのCKにCB中谷がニアに走り込み、ヘディングシュート。グランパスが先制点を挙げた。

 30分にはCH岩田が足を痛め、藤田と交代する。先制点で俄然前からのプレッシングも強まったグランパス。さらに勢いづいて攻めるが、35分、中盤深い位置で与えたFKをCH喜田が蹴ると、CB丸山が積極的に前に飛び出してブロック。しかしこれが不運にも後ろに飛んで、オフサイドの位置にいた左SHエウベルがヘディングシュート。マリノスが同点に追い付いた。CB丸山の積極的な守備が失点に結びついてしまう。

 マリノスは42分、左SHエウベルがカットインからシュートを放つが、CB丸山がブロック。こぼれ球を右SHアンデルソン・ロペスが拾ってシュートを放つが、これもCB丸山がブロックする。この一連のプレーの中で左SHエウベルが足を痛め、前半終了までマリノスが一人少ない状況でプレーすることを余儀なくされる。続く永戸のCKのクリアをOHマルコス・ジュニオールボレーシュートするが、枠は捉えられない。グランパスも45分、CB丸山の縦パスにFW酒井が走り込み、GKの手前でヘディング。これにFWマテウスが走り込むが、手前でCBエドゥアルドがクリアした。残念。前半はこのまま1-1で折り返した。

 マリノスは後半最初、ケガのエウベルに代えて、左SHに仲川を投入する。後半早々グランパスが攻勢をかける。1分、FWマテウスのクロスにFW酒井が飛び込むが、わずかに届かず、GK高丘がファインセーブで弾く。ポストにはね返された。そして6分、右サイドからのFWマテウスのFKはGK高丘がファインセーブ。しかし続くマテウスのCKにCB藤井がニアで合わせてヘディングシュート。ゴールに飛び込む。勝越し点!かと思ったら、VARに審議が長引く。藤井のシュート時にゴール前に走り込んだCB丸山と左IH仙頭の位置がオフサイド。だが二人ともボールには触れなかった。先頭の前にはDFはおらず、丸山の前にいたGK高丘のプレーに影響したかどうかの判断だと思うが、主審の判定はオフサイド。しかしGK高丘も藤井の弾道に一歩も動けなかったと思う。グランパスにとっては悔しい判定となった。

 17分、グランパスはFKを得たところで左IH仙頭に代えて柿谷を投入する。マテウスのFKはゴール左上角に当たってはね返った。ああ、これも不運! 19分、マテウスのショートCKから右WB森下がミドルシュート。DFに当たって走り込んだCB丸山のところに飛ぶが、うまく合わせることはできなかった。うーん、前半マリノスは同じような形でゴールを挙げたのに。22分には右WB森下のクロスに左WB吉田がミドルシュートを放つが、ポスト右に外れた。

 押され気味のマリノスは28分、レオセアラとマルコス・ジュニオールに代えて、右SH水沼、FWに西村を投入。アンデルソン・ロペスをFWに上げて、4-4-2の布陣に変える。一方、グランパスも30分、吉田と藤井に代えて左WB相馬、CBチアゴを投入する。解説の中田がチアゴのポジショニングが藤井に比べて低いと指摘していたが、その影響か、この後マリノスが攻める場面が多くなってくる。押し込まれたグランパスは38分、マテウスがCKを直接狙うが、バーの上に外れた。30分、マリノスは左SB永戸を角田に交代する。

 そして41分、CH藤田から左に流すと、FW西村の縦パスに藤田が走り込み、落としをFW西村がミドルシュート。GKランゲラックがナイスセーブで弾き返すが、FWアンデルソン・ロペスが詰めてシュート。マリノスが勝越し点を挙げた。またゲーム終了間際に逆転されたグランパスは43分、酒井と森下に代えて、FW金崎と右WB内田を投入。長いアディショナルタイムの45+7分、マテウスのCKに左IH柿谷がファーサイドでヘディングシュートを合わせるが、サイドネット。そしてタイムアップ。結局終わってみれば1-2。またも逆転負けを喫してしまった。

 後半30分まではグランパスの方がプレスもよかったし、チャンスも多かった。だが決めきれない。惜しいシュートはバーにはね返され、決まったと思ったらオフサイドの判定。不運としか言いようがないが、それ以上にゴールを決められなかったことも事実。前節の終盤、3-4-3に布陣で可能性が見えたかと思ったが、今節はまた3-5-2でスタートし、結局セットプレーでしかゴールは挙げられなかった。ここまで戦っても敗戦に選手のメンタルが心配だが、次はホームに戻ってのセレッソ戦。セレッソもいいゲームをしながら思うように勝ち点が伸びていない印象だが、それでも既に4勝を挙げて7位。いったんホームに戻って、リセットして、チャレンジするしかない。焦れずに頑張ろう。次こそ勝利を期待したい。

J1リーグ第11節 名古屋グランパスvs.京都サンガ

 昇格組との対戦が続くGW。ここで勝ち点を重ね、一気に順位を上げると期待していたのだが、前節のジュビロ戦では終了間際の連続失点でよもやの逆転負け。そして今節の相手サンガは既に4勝を挙げて、現在7位。特にピーター・ウタカが怖い。

 グランパスの布陣は3戦続けての3-5-2。マテウスと柿谷をFWに並べ、中盤は仙頭と稲垣のIHにレオシルバがアンカー。WBは右に森下、左に相馬。CBは右から中谷、藤井、丸山。GKはランゲラック。左IGに阿部に代わり仙頭が先発した以外は前節と変わらない。一方、サンガの布陣は4-3-3。ピーター・ウタカをトップに、右FW山崎、左FW松田天馬。中盤は金子大毅をアンカーに、右IH福岡、左IH武田。DFは右SB白井、左SB麻田。CBはメンデスとアピアタウィアス久。GKは上福元。グランパスから移籍した山崎が今季初先発した。

 序盤からグランパスが攻勢をかける。開始1分、マテウスのCKのクリアを右IH稲垣がミドルシュート。一方、サンガも左IH武田の縦パスにCFピーター・ウタカが抜け出して、飛び出したGKランゲラックをかわしてシュートを放つが、これは何とかCB中谷がクリアした。やはりピーター・ウタカは怖い。そして両SBが高い位置をキープし、両IHの武田と福岡が逆に低い位置に下がり、守備を固めるとともに、そこから長いパスを出していく。

 その後はグランパスがパスを繋いでチャンスを伺うが、サンガも守備を固めつつ、機を見てカウンター的に攻めていく。17分、グランパスのゴール前でルーズになったボールをCFピーター・ウタカがシュート。しかしCB藤井がブロック。19分には右IH福岡がミドルシュートを放つが、これは左IH仙頭がブロックした。グランパスは23分、CHレオシルバの縦パスからFWマテウスミドルシュート。30分には左サイドからのマテウスのFKをCB丸山がヘディングで折り返し、CHレオシルバがシュート。しかしこれもDFがブロックした。

 なかなかシュートを打てなかったグランパスだったが、35分、FWマテウスがボールを持つと、DFに囲まれながらも粘り強くキープして、右サイドで左IH武田を振り切ろうとするが倒されて右サイド深い位置でのFKを得る。するとここからマテウスが直接狙う。ニアに飛んだシュートはGK上福元がキャッチしようとした時にはゴールの中に入っていた。グランパスが先制点を挙げた。

 しかし直後の40分、サンガが左サイドから右へとパスを繋ぎ、右SB白井が受けると、カットインからクロス。これをCFピーター・ウタカが戻りながらヘディングシュート。ゴール。すぐにサンガが追い付いた。さすが、ピーター・ウタカ。前半はこのまま終了。1-1で折り返した。

 後半も互角の展開が続く。3分、CFピーター・ウタカの縦パスを右FW山崎がフリックすると、左IH武田が抜け出してシュート。バーの上に外す。一方、グランパスも8分、FWマテウスが左サイドをえぐり、クロスにFW柿谷が飛び込むが、うまく合わせられず。ファーサイドで拾った右WB森下が戻しのパスを送るが、左IH仙頭に合わず。流れたパスをCHレオシルバがミドルシュートを放つが、ポスト左に外した。

 10分、サンガは足を痛めた右FW山崎に代わって、山田楓喜を投入。グランパスも15分、FW柿谷を酒井宣福に交代した。20分、右WB森下が右サイドをドリブル突破。クロスにFWマテウスが走り込むが、シュートはポスト右に外れた。23分にはCKの流れから、相馬がクロス。ゴール前の混戦からCB藤井の落としをFWマテウスがシュート。だがDFがブロック。その後もグランパスが攻めるが、サンガがゴール前を固め、ゴールにならない。26分、福岡を下げて、左WB長井を投入。麻田をCBの中央に下げて、3バックに変更する。布陣は3-4-3。武田と金子がボランチで並ぶ。

 グランパスは31分、仙頭を下げて、CF金崎を投入。グランパスも、酒井を左FW、マテウスを右FW、レオシルバと稲垣をダブルボランチに置く3-4-3の布陣に変更した。すると攻めるグランパス。34分、左WB相馬のCKに左FW酒井がヘディングシュート。35分、右WB森下のクロスにCF金崎が走り込むが、わずかに届かず。38分、左FW酒井がオーバーヘッドで前に送ると、右FWマテウスが走り込む。だがぎりぎりCBアピアタウィア久がクリアする。40分、左WB相馬のクロスを右FWマテウスが落として、CH稲垣がボレーシュート。41分、左WB相馬のクロスに右FWマテウスがヘディングシュート。だが枠に飛ばない。

 43分、サンガは山田と白井を下げて、FW大前と左WB本多を投入。長井が右WBに回る。本多は久し振り、古巣グランパスとの対戦だ。45+3分、CHレオシルバが左サイドから中へドリブルで持ち込み、ミドルシュートを放つが、わずかにポストの右。45+4分には左WB相馬のクロスに右FWマテウスが飛び込むが、うまく合わない。45+5分、CHレオシルバのクロスをFWマテウスが中へ切り返してシュート。だがこれもCBアピアタウィア久がブロック。続く相馬のクロスのこぼれをCB中谷がシュートするが、DFがクリア。1-1、結局ゲームはドローで終わった。

 31分、金崎を投入して以降、攻め続けたグランパスだったが、最後まで追加点は入れられなかった。それでも3-4-3の布陣は3-5-2よりも高い位置で起点ができ、下がりがちだった両WBも積極的に攻撃参加できて、多少なりとも可能性が見えたのではないか。しかしこれで5試合勝利なし。次節は4位マリノスが相手。ACLのグループリーグを突破して、勢いがありそうだ。6試合連続未勝利も覚悟する必要があるかもしれない。だがその中で少しでも今後につながる何かを見いだしてほしい。まだリーグ戦は序盤、まだ十分巻き返すことができるはずだ。

デジタル・ファシズム

 一昨年来のコロナ禍では、台湾や韓国、中国などに比べて、日本のデジタル化の遅れが指摘された。そうした状況の中、昨年5月にはデジタル庁が発足した。マイナンバーカードの普及はそれ以前から強く勧められ、昨年秋からは保険証との連携も始まった。ポイント優遇などによるキャッシュレス化の推進もしばらく前から進められている。小学校での一人1台パソコンの配布は昨年春には実施され、大学ではコロナ禍におけるオンライン授業が一般的に実施された。政府を中心に、日本社会のデジタル化が今、強く推進されている。しかしこうした政策の行く末はどうなっていくのだろうか。

 本書では堤未果が、アメリカを始め世界各国で進められたデジタル化の状況とその顛末などを広く紹介し、その弊害について警鐘を鳴らす。何より、デジタル化の何たるかをほとんど理解しない首長や政府高官が、IT企業や覇権を目指す大国に言われるまま、デジタル化の旗を振っている現状に大きな危惧を覚える。

 もちろん、このブログも、IT化の恩恵を受けている。仕事にせよ、私生活にしろ、私たちはIT技術進展の恩恵のもとに今の生活がある。だが、それはあくまで私たちが使うという前提だ。だが知らず知らずの間に、私たちはGAFAなどIT企業に使われ、誘導されている。そのことをもっと自覚し、意識した上で、デジタル技術を使い、使われなくてはならない。IT絶ちなどは困難だし、それでは不便だ。だが、ITの暗黒面は知っておく必要がある。

 今朝、私のスマホに友人から「ビデオに写っているのはあなたですか」というメッセージが届いた。スパムだ。気を付けよう。個人として、デジタル・ファシズムに抗する術は多くはないけれど、その特性をよく理解することで、安易に彼らの手に載らないことができるだろう。「現実と事実と真実」という記事を少し前に書いたが、改めてそのことを思い出そう。

 

 

○「いかなる組織も人民も政府が応急すれば全てのデータを提出しなければならない」という中国の国家情報法。デジタル化を通じて私たち日本人の個人情報という資産を売り渡す「日米デジタル貿易協定」。そして米政府が要求すれば企業の持つデータがいつでも開示される「クラウド法」。/デジタル化に向かう日本は、米中政府とGAFA、BATHに包囲されている。(P37)

○デジタル化が進めば進むほど、人間は分断されていく。/時間や空間の制限を超えるこの技術によって、私たちは今、良くも悪くも仮想空間に分けられて、違いを超えた他者の姿がよく見えなくなってしまった。/そこでは社会から存在を消された人たちと団結したり、理不尽な扱いを受けている人々が、お互いに苦しみや怒りを分かち合い、共に行動を起こす可能性はほとんどない。…行政がデジタル化されると、自らの意思とは関係なく、仮想空間の中で真っ先に国に個人情報を管理され、プライバシーを奪われる。(P65)

○日本の私たちが、デジタル政府の軸となるマイナンバーと個人情報の紐づけや、国がそれを管理することに大きな不安を感じるのは、進化したデジタル技術そのものではなく、政府と国民の間に根強く横たわる不信感のせいだろう。/デジタル政府に必要なたった一つのこととは「公共」の精神なのだ。…大企業からの非正規出向社員より、その自治体に奉職し地元に貢献する意欲を持つ職員を高度人材として確保できるよう…予算を投じるべきだろう。(P94)

○「この子はこれが苦手だけど、それも一つの個性だね」と認めて待てる先生を作り出す環境を学校が与え、社会がそれを受け入れられるかどうか。…色々な立場の、自分とは違う考えを持つ他者と同じ空間にいることが…大切なのは、想像力を使って、他者に共感する訓練をせざるを得ないからだ。…それによって他者への想像力や、共感力、待たせることと許されること、それらを経験するうちに、いつしか海の向こうの見知らぬ誰かの痛みまで、心で感じる力が育まれてゆく。(P263)

○私たちは自分で選んでいるつもりで、実は思想を形成されながら生きている。大人ならそれに気づけるが、生まれた時からスマホがあり、便利な世界で生きるデジタル世代がその違いに気づくのは難しい。/GAFAがトップに君臨するこの世界は、これからますます快適になり、よりスマート化していくだろう。その中で私たちが子供に教えられることがあるとしたら、いかにGAFAの中で快適に生きるかではなく、「GAFAの外にも世界がある」という真実だ。(P269)