とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ジェネラル・ルージュの伝説(文庫版)

 書店で文庫版が平積みされていて思わず購入したが、しばらくして前に単行本を買って読んだような気がしてきた。家の書棚を見ると案の定、同名の本が並べられていた。やっちまったぜぃ!
 でもよく見ると、「あれ、短編が3本も載っていたっけ?」 調べると、単行本の「伝説-1991」に加え、「疾風-2006」と「残照-2007」が加わっている。それに、後半に付いている「海堂尊物語」や「自作解説」も単行本後の分も付け加わり、内容はかなり違っている。これならよかった。もう一度読む部分も1年ぶりとは言え、十分楽しむことができた。
 心に残ったフレーズなどはブログに引用することにしているが、同じ所を抜き書きするかなと思ったら、意外に違う。でも見たことあるフレーズがある。それも今回追加された短編に。なぜ?と思ったら、「ジェネラル・ルージュの凱旋」に書かれていたフレーズだった。「疾風-2006」は「ジェネラル・ルージュの凱旋」で書かれたシーンを三船事務長の立場から書いたものだ。
 今回読んで面白かったのが「海堂尊物語」。テレビや映画、メディア取材などを出演者、被取材者の立場で書いているので、けっこうネタバレ的な話題が書かれている。

●「世界一受けたい授業」という番組に出演したが、台本がきっちり作られているパターンは初めてで見事にあがる。(P219)

 そうそう「世界一受けたい授業」のタレントのコメントって、どう考えてもわざとらしいって思ってたんだよね。そんなに絶妙な言葉が出るわけないしって。やはりそういうことなんだ。これ以外にもそんな思い当たる裏事情がいろいろ書き出されている。テレビ屋さん、出版社さん、大丈夫かな。
 「おわりのご挨拶」には「この本はこれからも繰り返し更新され、みなさんに新しい物語世界を届け」(P347)と書かれている。次に「続・ジェネラル・ルージュの伝説」を読めるのはいつだろうか。その時には別のタイトルになっているかもしれないな。「イノセント・ゲリラの噂」とか?

ジェネラル・ルージュの伝説 (宝島社文庫) (宝島社文庫 C か 1-9)

ジェネラル・ルージュの伝説 (宝島社文庫) (宝島社文庫 C か 1-9)

●人ってヤツはみんなろくでなしさ。悪意っていう、腐った果実が大好きなんだよ(P59)
●「諦めるな。死ぬ時は天が決める。どんなにみじめでも生にしがみつく、俺たちはそうやって生きていくんだ。自分で死を選ぶなんて傲慢だ」(P85)
●テレビ、新聞といった大メディア報道は官僚発表を垂れ流す、大本営の官報組織に成り下がっている、と実感。・・・日本は偉い年寄りに下品な人が多すぎるだけかもしれない。(P235)
●司法関係者は謝罪しない。情報をオープンしない。反省しない。しかもメディアに叩かれない。同じ態度を医療現場がとったら、即メディアの集中砲火だ。今や司法は最大の権力者で、メディアは権力者に媚びる愛玩犬。(P290)
●人は誰もが自分が思っているほど賢明な存在ではない(P301)