とんま天狗は雲の上

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自転車のベルを鳴らして逮捕!?

 このブログで一番コメントが多いのが、昨年8月末に書き込んだ「自転車のベルは鳴らしてはいけないか!」というエントリー。先日も「法律違反です。逮捕されるかもしれませんよ」というコメントが付いて、ひぇーっとびっくらこいた。
 でも誰もどの法律のどの条項に違反するのかまで書いてくれないので、自分で調べてみた。結論的には、道路交通法63条の4第2項で、自転車が歩道を走る場合の安全走行について規定されており、ベルについては、第54条「警音器の使用等」に該当し、「危険を防止するためやむを得ないときを除き、鳴らしてはならない」とされている。ちなみに、この規定に違反した場合には「2万円以下の罰金又は科料」だそうだから、ベルを鳴らすときは2万円を握りしめる覚悟で鳴らす必要がある?
 これは自動車の警笛に関する規定だから、自動車免許取得者であれば知っていなければいけない知識だが、自転車のベルにも適用されると言われれば、そのとおりだろうな。
 自動車のクラクションがどういう時に鳴らされているかと考えてみると、見通しの悪いカーブで来るかもしれない対向車に注意を促すとき、交差点で信号が変わっても気が付かずいつまでも発進しない車に注意を促すとき、そして進路を譲ってもらったりしたときに「ありがとう」の代わりに鳴らすときなどが一般的によく見られる行為だ(他に、前の車に対して「どけどけ」と鳴らされるケースもあるが、これは明らかに悪質なので考慮の対象にしない)。
 一番最初のは「危険を防止するためやむを得ないとき」に該当するかもしれないが、その他は明らかに法の規定に反する行為だ。まさかこれらの行為が法律違反だとわかっている運転者は少ないだろうが。
 しかし実際には多少制限速度を超えてもすぐに捕まったりしないように、悪質性や危険性を考慮して逮捕・起訴等の法律行為に及ぶのが普通で、その当たりの裁量は警察や検察庁が持っている。そのおかげで円滑に社会が廻っているとも言えるし、逆に最近の検察権力の乱用が批判される温床でもある。
 郷原信郎の「『法令遵守』が日本を滅ぼす」では、コンプライアンスを「組織が社会的要請に適応すること」と定義している。「『法令遵守』だけしていればいい」という態度は、「法令違反行為はみんな厳罰」という態度に転換しやすい。本当は、法律の目的に即して、法律条項の規定も適用すべきで、そう考えれば、道路交通法の目的は「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする」わけだから、道路交通の危険・障害防止、安全確保に関わらない行為は、たとえ法令で禁止された行為であっても違法行為にはならない、という解釈もありうるんじゃないだろうか。
 例えば、こちらの相談「OKWave:自転車のベル」のように、子供たちが集まって自転車のベルを鳴らしているような場合には、道路交通法を適用するよりは、軽犯罪法における騒音防止規定や迷惑防止条例の適用の可否をもって回答する方が適当なように思う。
 私は法律家ではないので何が正しいのかよくわからないが、みんなが気持ちよく幸せに暮らせる社会となるためには、法律至上主義ではまずいのではないだろうか。