とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

12月8日と7月7日 日中戦争開戦の日

 「アゴラ:12月8日を知らない若者−原淳二郎」で、ブログ主が「今どきの若者は12月8日が何の日かもわからない」と嘆いている。まあ、「今どきの若者は分数もできない」と言うのと同じ次元で言っているのだろうと軽い気持ちで読んだが、コメント欄を見ると「今どきの教育は・・・」という趣旨の発言が続いている。
 ブログ主が「戦争が始まった年、終わった年、それくらいしか歴史の教科書に残らない日はすぐそこに来ている。」という言葉で記事を締めくくっているから、それへの反応かもしれないが、8月15日はともかくとして、12月8日は本当に昔は教科書に掲載されていたのだろうか。私には30年以上前のことで正直あまり記憶にない。
 実は12月8日のお昼頃、私も「そういえば今日は真珠湾攻撃の日。太平洋戦争が始まった日だ。」と思ったが、ブログを見ると、「今日はジョン・レノンの命日」という記述が思いのほか多く、ヘーッと思った。
 団塊の後の世代である私などはジョン・レノン暗殺の報道は覚えているが、その日はいつかと問われてもピンとこない。ビートルズに乗り遅れた世代にとってはそんなものだ。だが、ビートルズのヒットを世界の文化・社会状況の変化にとってエポックメイキングな出来事と捉える歴史観からは、太平洋戦争よりもジョンレノンの死のほうが重要な出来事かもしれない。
 戦争史観に関しても、アメリカ・欧州諸国に対して戦線を拡大させた太平洋戦争よりも、日中戦争の方が重要だという捉え方はあり得る。
 12月8日の我が職場の雑談も、「真珠湾攻撃は12月8日だけど、盧溝橋事件っていつだっけ。日中戦争日華事変)って盧溝橋事件で始まったんだよね。」という私の言葉で花が開き、ひとしきり歴史学習をしてしまった。
 ちなみの盧溝橋事件は1937(昭和12)年7月7日。知ってましたか? ちなみに私は(私の周りの同僚たちも誰ひとり)、12月8日は知っていても、7月7日は知らなかった。日付どころか年すらも。
 ここからわかるのは、太平洋戦争開戦の日だけをことさら教育したり、マスコミで報道する姿勢自体が既にかなり偏ったものである可能性が高いということだ。多分、アメリカ文化への傾倒やアメリカ偏重・中国蔑視の態度が知らず知らず染みついていたのだろう。そうでなければ、盧溝橋事件は中国を軍靴で蹂躙した贖罪意識からの「忘れたい過去」、真珠湾攻撃は敗戦という結果ゆえに許される「忘れなくてもかまわない過去」ということか。
 いずれにせよ、太平洋戦争開戦の日を忘れる日本人を嘆いて、盧溝橋事件の日を知らない日本人を問題としないのは、ナンかヘンな感じ。これからは7月7日になったら日中戦争開戦の日だということを思い起こすことにしよう。