とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

サウジ戦 ここまで緩いとカタール戦がかえって心配

 グループリーグ第3戦。ヨルダン、シリアにぎりぎりの戦いでグループ首位に立ったものの、サウジアラビア戦の結果によってはグループリーグ敗退もあり得る。サウジアラビアと言えば、中東勢の中ではイランと並ぶ強国というイメージでいただけに緊張感を持ってゲームに臨んだ。
 日本は松井、本田がケガで、柏木と岡崎を先発。サウジは立ち上がり2分、FKからカフターニが反転からシュート。これは一筋縄では行かないぞと思わせる。日本も3分、岡崎がボールを奪い、前田がシュート。さらに前田のクロスに岡崎が飛び込む。5分には香川のクロスに前田がシュート。前線が積極的にシュートを放っていく。
 こうして次々とチャンスを作っていくのは、サウジの中盤のプレスがスカスカのため。そして8分、中盤の底から遠藤の長い縦パスに岡崎が抜け出し、GKをかわしてシュート。幸先良く日本が先制する。
 サウジも12分、アブドゥ・アテーフのクロスにハザージがヘディングシュートを放つが、日本のマークはしっかりしており、決定的なチャンスは作らせない。
 すると13分、香川が緩いマークの間から正確なクロスを入れると、前田が走ってDFを引き付けた裏側に岡崎が長い距離を走ってマークを置き去りにして得意のヘディングシュート。追加点を挙げる。19分には柏木のスルーパスから長友のクロスに前田が飛び込んでゴール。いかにも前田らしいジャンプしてのワンタッチ・アウトサイド・ボレー。これで3点目。
 さらに23分には香川がドリブルからクロス。26分にも長友のクロスに岡崎がポストに入って長谷部がボレーシュートと日本が面白いように攻めていく。一方のサウジは個人技をベースにパスをつないで攻めようとするが、守備のプレスが甘く、なかなかボールを奪うことができない。時折、中盤からジャーセムがミドルシュートを放つ。CFのカフターニが中心選手で彼が下がってはゲームを作ろうとするが、他の選手の効果的な動きが見えない。35分、香川がボランチの位置に下がったところを奪われて、カフターニのスルーパスにハザージが抜け出すが、DFがきっちりクリア。
 日本も43分、遠藤のスルーパスを岡崎が受けて、香川が走り込むが、彼らしくないトラップミス。岡崎は抜群の運動量と効果的な動きで攻撃を活性化させたが、香川は彼らしいドリブルを随所で見せようとするものの、キレがなくミスが多い。ドイツでの疲れが出ているような気がする。
 前半でイエローカードをもらい次節出場停止となった内田に代えて、後半の頭から伊野波を投入。攻撃が沈静化するかと思ったが、なんのなんの伊野波が頑張る。6分、岡崎が右に流すと伊野波が右サイドを上がりクロス。これに前田がGKの手の先に飛び込みゴール。4点目。20分には柏木から伊野波、柏木とつなぎ、香川のポストプレーに伊野波がシュート。積極的なプレーを披露する。
 それでもさすがに4点も取るとモチベーションが下がったか、それとも内田に加えて、吉田も岩政に代えた影響からか、攻撃が単調となりゲームが硬直化する。
 35分、岩政のフィードから岡崎がつなぎ、前田がキープしてパス、岡崎が飛び込みハットトリック。5-0と突き放す。
 サウジは38分、シェルフープのFKは西川がナイスセーブ。シリア戦もそうだが、西川はよく落ち着いている。直接パスにつなぐパンチングを見せるなど、攻撃の起点としての視野の広さと正確性を存分に披露。スーパーセーブや瞬発力では川島に劣るものの、安定感では西川の方が上。アジア相手の戦いでは西川の方が適していないか。次戦以降の起用法が楽しみだ。
 さてゲームはその後、42分、柏木のクロスに岩政がヘディングシュート。43分には柏木がミドルシュートを見舞う。柏木について言えば、本田のような強さ、香川のような速さはないが、テクニックはさすが。遠藤の位置に使うと面白い。遠藤と言えば、後半37分、本田拓也に交代。シリア戦では細貝も出ていたが、守備的なボランチ争いも厳しい。こうしてちゃんと選手を使っていく点が、ザッケローニ監督はとてもいい。
 5-0と圧倒的なゲーム内容でグループリーグを1位通過したわけだが、サウジが緩すぎた。準々決勝のカタール戦は、開催国だけにシリア、ヨルダン戦以上の厳しい戦いになることが予想されるが、4戦連続して中東のチームとやるというのは好材料のはず。サウジ戦で選手が緩んでしまわないかが多少不安だが、ザッケローニはいい意味での選手間の競争を仕組んでおり、その点は大丈夫だろう。香川をどうするか、その点が唯一の心配である。