とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

マンU 完璧な強さでチェルシーを玉砕 優勝へ王手

 勝点差3。チェルシーが勝てば得失点差で逆転するというまさにファイナルステージ。しかしマンUは強かった。引き分けでも十分優勝に近づく一戦を前にファーガソン監督は「ベストメンバーで勝ちに行く」と言った。そして、GKのファンデルサールバレンシアオシェイ以外、アーセナル戦以来の1週間振りの先発。しかしそんなこと以上に選手たちが精神的に充実していた。静かに赤く燃えていた。そしてオールドトラフォードは熱く燃えていた。
 開始35秒。ゲームは1分に満たないこの短い時間で決まったと言って過言でない。ギグスからの縦パスをパクチソンがドリブルしながら絶妙のタイミングでスルーパスダビド・ルイスエルナンデスとの間を少し開けたその瞬間、エルナンデスが走り込み、そのまま抜け出してシュート。D.ルイスの一瞬の注意力散漫がゲームを決めた。いや、開始1分のマンU選手たちの集中力、充実力がゲームを決めた。一瞬の出来事。
 8分にもパクチソンがボールを奪い取り、ルーニーミドルシュート。あわや決まったかと思ったが、GKチェフがスーパーセーブ。11分にはギグスからパクチソンがクロス。わずかにエルナンデスに届かない。15分にはまたもパクチソンがボールを奪い、エルナンデスがポストに入って、ルーニーバレンシアとのワンツーからシュート。パクチソンバレンシアの両翼が絶好調。ギグスのベテランの味も効いている。
 チェルシーもようやく19分、マルーダのクロスにドログバがGKと競ったボールにカルーがシュート。しかしGKファンデルサールがスーパーセーブ。20分にもマルーダがドリブルからポストになってカルーがシュート。しかしGK正面。マンUの出足、気力の前に気後れしている感じ。
 23分にはパクチソンがドリブルからミドルシュート。これはGKチェフがまたも好セーブでクリアするが、ギグスショートコーナーから入れたクロスにビディッチが飛び込んでヘディングシュート。マンUが追加点を挙げた。
 さすがにチェルシーも2点差はやばい。25分、マルーダのCKをテリーがヘッドで送りカルーがヘディングシュート。しかしまたもGKファンデルサールがスーパーセーブ。今シーズンで引退表明したファンデルサールだが、衰えを知らない。31分にはドログバのFKもナイスセーブ。ドログバは33分にもFKを蹴るが、今度は枠を外してしまう。
 43分、中盤のFKから右のバレンシアに大きなサイドチェンジ、ルーニーとのパス交換でライン際に運び、クロスにエルナンデスが走り込むが、その手前でミケルがクリア。間一髪。44分にはマルーダドログバへのクロスをDFが手前でクリア。前半はこれで終わった。
 後半初めからD.ルイスに代えてアレックス、ミケルに代えてラミレスを投入。ラミレスが右高い位置に張り出し、ようやくチェルシーが攻められるようになるが、マンUもブロックを固めて守る。
 チェルシーは17分、フェルナンド・トーレスを投入。さらに攻撃的になる。20分、アレックスのロングシュートはGKファンデルサールがナイスセーブ。21分、ラミレスのクロスにドログバが飛び込む。GKクリア。さらに21分、アシュリー・コールのクロスにドログバがシュート。そして24分、ラミレスのクロスをイバノビッチがヘディングで落とし、ランパードが押し込んだ。ようやくチェルシーが1点を返す。
 しかしマンUは老練。ギグスが無理攻めせずにボールを後ろに回して時間を稼ぎ、時に鋭いカウンターで攻めていく。25分にはバレンシアが突いてボールを奪い、エルナンデスのクロスにルーニーがシュート。アレックスが奇跡的なスライディング・ブロック。
 さらに37分にも途中交代で左SBに入ったエバンスのクロスにルーニーがシュート。続いてキャリックのスルーパスルーニー、GKが一旦はクリアするが、パクが拾ってもう一度ルーニーがシュート。DFが何とか足に当ててクリアする。
 41分にもバレンシアのクロスにエルナンデスがヘディングシュート。44分にはパクチソンからバレンシアのクロス。DFがクリアするが、ギグスからエルナンデスがシュート。チェルシーもよく攻めるが、マンUの守りが上回り、さらに攻め込んで、チェルシーを逆にゴール前に押し込んでいく。結局このままタイムアップ。これで残り2試合で勝点1を挙げれば優勝。ほぼ優勝カップを手中にした。
 それにしても今シーズンのマンUは強い。ギグスファーディナンドのベテラン勢がゲームの流れを読み、ルーニーパクチソンといった中堅組がゲームを作り、エルナンデスやファビオなどの若手が伸び伸びと活躍する。そして相変わらずの試合巧者。ゲームに入る際の精神面の充実も他を圧している。
 この後にはバロセロナとのCL決勝も控えているが、今シーズンのマンUならバルセロナを上回るのではないか。マンUは好きではないが、今シーズンの強さは格別。まさに完璧な強さだ。