とんま天狗は雲の上

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ACL大阪ダービーはセレッソの完勝 ガンバは作戦に溺れた?

 24日に行われたACLラウンド16、ガンバ対セレッソ大阪ダービーを観た。終了間際の得点でセレッソが勝利したのは知っていたが、Jリーグで好調なガンバに何があったのか、5戦連続引き分けのセレッソの調子も観てみたかった。
 先日のアルビレックス戦も二川が負傷退場後は、守り重視の省エネサッカーを展開したガンバだったが、このゲームでは最初から運動量が少ない。西野監督が「90分で終わるサッカーをしない」と言ったというレポートがあったが、選手たちも120分戦うためのサッカーをしているのかなと思った。
 逆にセレッソは積極的に攻めてくる。6分、CKからCB藤本がヘディングシュート。7分、乾をポストにキム・ボギュンがミドルシュート。10分にはマルチネスのクロスにピンパォンが飛び込む。
 ガンバはセレッソのプレスの前に完全に受け身のカウンターサッカー。11分、カウンターから遠藤のパスにアドリアーノがシュート。22分にも同じくカウンターから抜け出した宇佐美の強烈なシュートがサイドネットを揺する。
 こうして少しずつ自分たちのペースに引き込むと、次第にセレッソのパスがつながらなくなり、ガンバ・ペースになってくる。33分、加地から二川、宇佐美とつなぎ、クロスに二川がヘディングシュート。34分にも左SBの武井がシュートを放つ。前半だけ見れば、セレッソ・ペースで始まったものの、それも含めてガンバの計算どおりだったのかもしれない。
 ところが後半早々からセレッソが乾と倉田を下げて中後と小松を入れてくる。乾はややいつものキレがないかなとは思ったが、クルピ監督の大胆な采配。中後をアンカーに置き、マルチネスキム・ボギョンがサイドを固める。背の高い小松をタワーにピン・パォンと清武が自由に動き回る。キムはやや高めで3トップに積極的にからんでいく。
 これで再びセレッソが主導権を握り、ガンバが守る展開に戻った。8分、相手CKからのカウンターに宇佐美がドリブルで持ち上がりシュート。ガンバはカウンター・サッカーに徹する。
 攻めるのはセレッソ。10分、GKのフィードを丸橋が受けて、大きく右へサイドチェンジ。キム・ボギョンがGKをかわして切れ込み、クロスにピンパォンがシュート。ここはDFがクリアしたが、直後のCK、さらに11分のCKと、CB藤本のヘディングシュートがゴールを脅かす。18分にはマルチネスのサイドチェンジを小松が受けて、ドリブルで中に切れ込みシュート。積極的なサイドチェンジと小松のポストプレーがよく機能する。
 ガンバは22分、イグノに代えて佐々木を投入。前線をフレッシュにして反撃を試みる。27分、その佐々木のクロスをアドリアーノがヘディングシュート。28分にはセレッソも清武のクロスを小松をヘディングシュート。31分、二川のクロスを宇佐美がシュート。DF上本がブロック。セレッソは33分、ピンパォンの縦パスを小松が落とし、清武がつないでキム・ボギョンのスルーパスピンパォンが走り込みクロス。これはGK藤ヶ谷がキャッチしたが、ここから一段とセレッソが圧力を強めてくる。
 35分、キム・ボギョンスローインから小松が落とし、キムが走り込んでクロスにピンパォンがシュート。38分には右SB高橋から小松をポストにキム・ボギョンがシュート。GK藤ヶ谷が弾いたボールを小松がシュート。ガンバも41分、佐々木の縦パスを二川が戻して佐々木のスルーパスアドリアーノが走り込んでシュート。しかしGKキム・ジンヒョンがファインセーブ。これを決め切れなかったのがガンバには痛かった。
 43分、キム・ボギョンが右サイドに流すと、高橋が走り込みGKのニアへ強烈なシュート。アウトにかかったボールはギュギュッと切れ込み、ネットに突き刺さった。待望の試合を決めるファインゴール。これは見事。
 ガンバもロスタイムに宇佐美のシュートがポストを叩く惜しい場面があったが、最後までゴールならず。120分を考えての省エネサッカー、ペースをつかみ始めたところをセレッソの巧みな選手交代でまたも守勢に回った。ゲームを通して後手後手だったことが、高橋の見事なゴールを引き出してしまったと言える。結局、積極性の違いが結果に現れたということか。
 グランパスアントラーズも負けて日本のチームはセレッソだけになってしまった。強さという意味では一番不安定な気もするが、クルピ監督のゼロトップの異端サッカーでアジア・チャンピオンをめざすのも悪くない。日本代表としてセレッソを応援したい。