とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

五輪代表の実力を過大評価していなかったか?

 5日の五輪予選シリア戦は残念だった。が、日本ホームでの対戦を見ると、十分予想された結果でもあった。いや、チーム結成以来、不安視されてきたCBやボランチはよく整備されてきた。清武の離脱もそれほど大きな影響はなかっただろう。たとえいたとしても、日本の攻撃力はあんなもんだ。だが権田のところで失点するとは思っていなかった。確かに権田の体調不良が伝えられていた。結果的にみれば、権田に代わるGKがいなかったことが敗因になってしまった。もちろん権田を責めることはできない。体調不良の中で精一杯のプレーを見せてくれた。あの失点も並のGKであれば失点しても当たり前のシーンだ。だが絶好調の権田であれば、もうひと伸びしたんじゃないか。イレギュラーバウンドにも反応したのではないか。そう思ってしまう。
 序盤からシリアはロングボールをゴール前に放り込んでくる。1分、スレイマンの放り込みにアルマワスが走り込む。5分にはマルドキアンが日本のPA内で倒れ、シミュレーションでイエローカードをもらう。7分には山村のポストプレーから山田がシュートを放つ。だが、ゲームは落ち着かないまま、ボールが行ったり来たりする。
 そして17分。左SHに入った山崎がハイボールの競り合いから落下した際に左手を痛めて(骨折だそうだ)大迫に交代した。これで関塚監督のゲームプランは狂ったろうが、チームとしての戦力がダウンしたわけではない。
 だが直後のファレスが蹴ったFKに大迫がわずかに触れてコースが変わり、かつバウンドしてイレギュラーしたのは全く不運だった。その後もシリアが前から圧力をかけてくる。ピッチの悪さに日本はパスが思うようにつながらない。
 39分にはカウンターからアルスーマが受けてマルドキアンがドリブルで前進。クロスにアルスーマがオーバーヘッド。日本も41分、永井のサイドチェンジを山村がヘッドで落とし、大迫がシュート。これはDFがブロック。だがロスタイム1分、CB鈴木のフィードを大迫がピタリと止めてスルーパス。永井が抜け出してシュート。前半のうちに日本が同点に追いついた。
 だが後半になってもシリアの攻撃には迫力がある。5分、スレイマンがドリブルから左に流し、アルスーマがシュート。GK権田がセーブ。6分、左SBズベイダのフィードにアルマワスが走り込むと、比嘉を切り返しでかわしクロス。山口が間一髪クリアする。7分には、CMFアルマオリの縦パスからマルドキアンのスルーパスアルスーマがシュート。GK権田がナイスセーブ。
 その後もシリアが攻め込む。20分には日本のゴール前でクロスの応酬。日本も必死でクリア。日本は25分、東のCKに鈴木がフリーでヘディングシュート。叩きつけるが、はずんでバーを越える。35分には扇原とのパス交換から山口の縦パスに山田がスルーパス。大迫が抜け出すが、シュートはGKアルマが指先で弾いてクリアする。38分、永井のミドルシュートも惜しかった。
 日本は何とか時間をうまく使い引分けで終えようとする。シリアの方が勝利に向けて攻めてくる。そして45分、ロングスローのクリアボールを拾ったCBアルサリフが思い切ったロングシュート。権田の正面でクリアできるかと思ったが、タイミングが合わなかったか、うまくジャンプできずに手の先をかすめてゴールに吸い込まれていった。
 大迫のシュートを防がれた時点でツキがなかったかもしれない。だがそもそも決定機が少なかった。勝利に対する意欲も違った。これが日本の五輪代表の実力だ。残り2試合。次戦、シリアはアウェイでバーレーン戦。ぜひともバーレーンにがんばってほしいが、しょせん他力本願。日本はアウェイながらマレーシア戦でできるだけ多く得点を取るしかない。最終戦をホームでマレーシア戦を残すシリアの方が有利だとは思うが、あきらめず最後まで戦う姿を見せてほしい。このゲームのシリアのように。