「ツレがうつになりまして。」の続編。前編でも既にうつ病から立ち直りかけていたツレが、いよいよ本格的に治って、薬もいらなくなり、ついには著者のマンガのマネジメント会社を設立するに至る。でも、あとがきを読むと、前編を出した直後の、続編を読みたいという要望に対して、再発が怖いから続編なんて書けない、と思ったと書かれている。その意味でも、続編が書けるようになってよかったと思う。
うつ病を経験した友人は、この本を読めない、読みたくないと言っていた。気持ちはわかる。だが一方で、
著者たち夫婦は講演会をし、うつ病で悩む人々との交流も持っている。それがうつ病の進行や再発防止によいかのように描かれている。本当はどうなんだろうか。
いずれにせよ、これを読んで、ボクはうつ病ではなかった、と思う。落ち込んで、そして急に気が大きくなったけど、やっぱり躁鬱病とはちがうんじゃないか。気分障害ではあったかもしれないけど。病気であれどうであれ、そういう自分に誇りを持って生きる。本書の最後に、そのことが書かれていた。「病気を闘っているみなさんも、その病気を誇りに思ってください」(P125)と。なんていい言葉だ。そう僕らは一人ひとり誇りを持って生きていっていい、そういう存在なんだ。この言葉に深く勇気付けられた。
- 作者: 細川貂々
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/11
- メディア: 単行本
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●だったらいっそ、できないことは あきらめちゃえば?(P56)
●「もうこの病気は絶対に治らないと思う きっと何もできなくなってねたきりになりんだ こんなボクなんかただのお荷物だ」なんだか どういうわけか こんな気持ちになって ついつい しょっちゅう 同じようなことを言ってしまうんだな / 「そういう気分は病気がそう思わせてるんだよね」(P76)
●人間は誰でも病気になるんだ。たいていの人は重い病気を人生の後半にする。そして死に至る道のりを病気のつらさと共にゆく。だから病気のつらさを言葉にして他の人と共有することは恥ずかしいことでもなんでもないのだ。そして、人はどんなときであっても、自分の「生きざま」を誇れるのだとわかった。・・・病気の人も周囲の人も、そのことを誇っていいのだと思う。そういう世の中にしたいから、僕は病気になった自分自身を誇りに思う。(P125)