グランパス対アーセナルの親善試合は、平日にも関わらず、豊田スタジアムに42,919人の過去最高の観客を集めた。大勢の観客が堪能したのはアーセナルのパス回し、技術、スピード、そして強さ。アーセナルの前でグランパスは所詮、二流リーグの二流チームに過ぎなかった。
序盤からアーセナルが格の違いを見せ付ける。3分、右サイドからOHロシツキーのクロスにCFジルーが飛んで、ヘディングシュートをネットに叩き付ける。右SB田中隼磨とCB闘莉王の間。田中隼磨はジルーへの対応を闘莉王に任せたが、闘莉王とて高さで対抗できず、しかもポジション取りが悪ければ対処のしようがない。
その後もアーセナルのパスがスムーズに回り、かつ前へ速い。7分、CHアルテタから左に展開、左SBギブスのクロスにラムジーがDFと競って、こぼれ球を左SH宮市がシュート。わずかにポストの右。これが宮市最大のチャンス。だが決め切れないところに今シーズンも宮市の限界を感じる。
19分、玉田の縦パスをケネディが受けて前を向くが、CBに入ったサーニャがブロック。アーセナルの心配はCB。コシエルニやフェルメーレンは大丈夫だろうか。だが、グランパス相手にはサーニャで十分。そして26分、右SBジェンキンソンからの縦パスをジルーがポストに入って前に送ると、右SHウォルコットがドリブル。最後はジルーに渡したところ戻しのパスを闘莉王がハンド。これがPKとなって、宮市が決めてアーセナルが2-0と突き放した。
ウォルコットは34分にもロシツキーのスルーパスに抜け出してドリブルからシュートを放つ。GK楢崎が止めたが、ウォルコットは今シーズンも絶好調。速さ、巧さが次元が違う。
グランパスは35分、玉田から左に展開、阿部のクロスに藤本がシュートを打つもジャストミートしない。43分、44分にも小川がシュートミス。決定機できちんとシュートできるアーセナルとミスを繰り返すグランパス。この違いは大きい。前半は0-2とアーセナルのリードで終えた。
後半に入ると始めからグランパスは左SB石櫃、CHに田口を投入。アーセナルはCHウィルシャー、CFポドルスキー、さらにOHゼラレム、宮市の左SHにはナブリーを投入。中でもゼラレムは若干16歳ながら、抜群のボールコントロールで何度もチャンスを演出した。
まず2分、ポドルスキーのドリブルからナブリーが積極的にシュート。宮市との左SH争いに名乗りを挙げる。って、二人合わせても、カソルラやオクスレードチェンバレン、ジェルビーノらの敵ではないが。
グランパスは4分、小川のCKにケネディがヘディングシュート。枠を外す。さらに5分、右SB田中のクロスに玉田がシュート。だが7分、右SBジェンキンソンからのパスにウォルコットが抜け出してゴールに迫ると、直後にはラムジーのスルーパスにウォルコットが抜け出してシュート。GK楢崎がファインセーブ。10分には左SHナブリーがDF二人を抜いてシュートを放つ。
そして10分、ゼラレムのスルーパスにウォルコットが抜け出してシュート。見事なスルーパス。見事な抜け出し。軽く、速く、スマート。ゼラレムは16歳とは思えない巧さ。今後ウィルシャーと競うのだろうか。
その後はお互い選手を次々と交代。ゲームも個人技ベースのサッカーとなって、アーセナルが自由にパスを回す。16分、ウォルコットのスルーパスにウィルシャーが抜け出しシュート。GK楢崎がナイスセーブ。21分、ウィルシャーのスルーパスにウォルコットが抜け出しシュート。またもGK楢崎がファインセーブを見せた。
そして27分、右SB田中隼磨のクロスに矢野がヘディングシュート。ようやく一矢を報いたが、グランパスの抵抗もここまで、32分、ゼラレムのスルーパスに途中交代アクポムが抜け出しシュート。グランパスのDFはズタズタ。その後は集中力も途切れ、パスを回してタイムアップを待つ。3-1でアーセナルが完勝。グランパスは力の差を見せ付けられた。
Jリーグでようやく調子を取り戻してきたグランパスだが、こんなゲームをしていて大丈夫かな。まあ、リーグに戻れば、相手はグランパスと同程度のスピードやパスだから心配することはないけれど、プレミアリーグとの差を見せ付けられた。Jリーグの優勝争いでも記録したことのない42,919人の観客。やはりベンゲル効果は大きい。ベンゲルにもう一度、グランパスの監督になってほしいと多くのファンが思ったことだろう。