とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

佐々木監督はどうして最後まで増矢を使い続けたんだろう? 北朝鮮に完敗。頼りになるのはやっぱりベテラン勢。

 アジア大会決勝は日本対北朝鮮の対戦になった。決勝トーナメントを香港、ベトナムと弱いチームを相手に選手を休ませながら勝ち上がってきた日本。対する北朝鮮は、準々決勝・中国、準決勝・韓国といずれも1点差をしのいでの決勝進出だ。当然、体力的には日本の方が有利だったと思うが、精神的にはどうだったか。前半序盤から北朝鮮の厳しいプレスと運動量になでしこは腰が引けたような感じで受けてしまった。
 前半9分、左SHリ・エギョンの縦パスをFWラ・ウンシムが受けて、DFをかわしてシュート。何とか宮間が戻ってブロックした。そして12分、右サイド深い位置からのFKを左SBユン・ソンミが蹴ると、DFに当たって抜けたボールをFWキム・ユンミがシュート。北朝鮮が幸先よく先制点を挙げた。
 その後も日本のパスがつながらない。14分、CBキム・ナムヒのフィードにGK海堀がかぶって頭を越され、何とかCB岩清水がクリアした。CBは岩清水と長船の先発だったが、長いパスを蹴り込んでくる北朝鮮に対して、CB岩清水が先を読んだプレーでよく対応する。一方、2トップの一角で先発した増矢はほとんどパスをつなげない。ミスをしては北朝鮮のカウンターを浴びる。25分、FWキム・ユンミのアーリークロスをCB長船がヘディングで返すが、CH阪口に当たってこぼれると、FWラ・ウンシムが落として、FWキム・ユンミがミドルシュート。DFがクリアする。
 日本のパスがつながらない。一方、北朝鮮はしっかりプレスをかけてボールを奪い、長短のパスをしっかりつないで、カウンター気味に日本のゴール前に迫ってくる。32分、DFからの長いフィードをCB岩清水がヘディングでクリアするが、FWラ・ウンシムが拾ってシュート。33分、右SBキム・ウンヒャンがドリブルで上がり、クロスのクリアをCHチョン・ミョンソアの縦パスからFWラ・ウンシムがシュート。日本も34分、右SH川澄がアーリークロスを入れるがFW高瀬にわずかに届かない。それでもこの時間帯からようやく日本がゲームの主導権を握り、押し込み始める。
 41分、宮間のFKにCB岩清水が飛び込み、ヒールでシュート。バーを叩く。43分、右SB有吉のクロスに右SH川澄、CF高瀬が飛び込むが届かない。逆にアディショナルタイム1分、右SHウィ・ジョンシムのミドルシュートがわずかにバーの上。2分、左SBユン・ソンミのクロスにFWラ・ウンシムが飛び込む。GK海堀がセーブ。前半は北朝鮮の動きが上回って、北朝鮮1点リードで終えた。
 後半に入ると宮間が積極的に前に上がって、日本が反撃に出る。5分にはCH阪口がミドルシュート。だが7分、北朝鮮がCHチョン・ミョンソアの長くて絶妙なスルーパスで日本のDFラインを切り裂き、FWラ・ウンシムが抜け出してシュート。カウンター攻撃が見事に決まった。完全な負けパターン。
 ここで日本は選手交代。左SH吉良に代えてFW菅澤を投入する。え、増矢じゃないの? 宮間を前に出すなら、ミドルシュートが狙える猶本を投入するのかと思った。増矢は左SHに回るが、これ以降、さらにボールに触る場面が減り、守備が機能するわけもなく、日本は実質一人少ないような感じになった。
 それでもこの状況で日本は長い間なでしこの看板を背負ってきたベテラン勢が意地を見せる。11分、左SB臼井のサイドチェンジから右SH川澄がクロスを入れると、FW高瀬がスルーしてCH宮間がシュート。1点を返す。しかし北朝鮮の勢いが止まらない。特に増矢が下がった左サイドを再三狙われる。
 12分、FWキム・ユンミがポストとなって左サイドに流し、左SHリ・エギョンのクロスに、CHチョン・ミョンソアがヘディングシュート。13分にはFWラ・ウンシムが中に切れ込んだドリブルからシュートを放つ。日本も15分、宮間のFKにFW高瀬が競ると、クリアボールを右SH川澄がミドルシュート北朝鮮は17分、CHキム・ウンジャのサイドチェンジに右SHホ・ウンビョルがヘディングシュート。さらに21分、FWラ・ウンシムが右サイドを深く走り込み、戻り気味のドリブルからミドルシュートを狙う。GK海堀がパンチングではね返すが、北朝鮮の攻撃の方が迫力がある。
 23分、宮間のCKにCB長船がドンピシャのヘディングシュート。だがわずかに浮いて、バーの上を越える。惜しいチャンスだった。27分にはCH宮間のスルーパスに左SB臼井が駆け上がり、クロスにFW高瀬がヘディングシュート。だが枠に入らない。逆に32分、右SHホ・ウンビョルがドリブルで仕掛け、DFを抜いてシュート。日本は球際の強さで90分通して北朝鮮に負けていた。そのためこぼれ球をことごとく北朝鮮が収め、ショートカウンターを浴びる。これではいくらがんばっても次第に日本の運動量が落ちてくる。
 最後は42分、宮間のFKをDFがクリアすると、そのままカウンター。CHチョン・ミョンソアがドリブルで持ち上がり、左に流すと、左SBユン・ソンミがふらふらになりながら力を振り絞ってクロスを入れる。これに右SHホ・ウンビョルが走り込み、渾身のヘディングシュート。ダメ押しの3点目を挙げて、北朝鮮が勝利した。
 北朝鮮は金メダルにふさわしい体力と技術と精神力を見せた。それに対して、結局最後まで増矢を使い続け、菅澤以降の選手交代を行わなかった日本は、若手育成の場として捉えていたということだろうか。確かにそれもわかるが、しかし増矢の成長のために決勝戦を使ってしまってよかったのか? 若手を育成するのならこの負け場面で猶本や木龍、羽座も交代出場させればよかったのではないか。そして結局、頼りになるのはベテラン勢。こんな采配を春のアルガルベ杯でも観たような気がする。佐々木監督の意固地な采配の意図が時々分からなくなる。