とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

早生まれは不利か。

 しばらく前に友人から、「『早生まれは不利だ』とテレビの情報番組で放送していたよ」という内容のメールがあった。たまたま私と彼は誕生日が近く、お互い早生まれだが、二人の誕生日が近付いていた時のメール。その後、日数が過ぎ、もう4月になってしまった。でも4月1日生まれは「早生まれ」扱いとなって、学年が一つ上になるから、この話題もぎりぎりセーフだろう。

 テレビによれば「早生まれ男性の平均年収は、全男性平均から約4%も低い」のだそうだ。その理由は「1年の成長の遅れが『非認知能力』の差となって、その影響が一生及ぶ」というのだけれど、『非認知能力』って何だ? 調べてみると、「意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、測定できない個人の特性による能力。学力(認知能力)と対照して用いられる。」(EdtTechZineによる)とのこと。非認知能力というから、認知能力がないのかと思ったら、認知できない能力のことだった。

 彼のメールによれば、「運動能力のみならず、学習面でもそのハンデはなかなか克服できず、大人(教師)からの注目は『できる子』に向かいがちになるため、自己肯定感を持てないことが原因だ」と言う。私の場合は幸い、早生まれにしては身長も平均を上回り、足もそこそこ速かったので、運動面でコンプレックスを感じることはなかったし、学習面でも問題はなかったので、早生まれをハンデと感じることはなかったけど、性格的に気弱ですぐに泣いたりしていたのは早生まれのせいだったかもしれない。

 ただ、非認知能力の点では、わが家が自営業で、日頃から大人が出入りしていたため、大人との会話には慣れていたし、出入りの営業マンが帰った後、悪口を言う母親の姿もよく見かけ、「物事にはオモテとウラがある」といった大人の社会の現実もわかっていた。談合や合い見積りなどの不正行為も「必要悪」だと思っていたが、社会人になってから初めてそれが「不正行為」だと気付いたのはよかったのか悪かったのか、わからないが・・・。だからたぶん、私の場合は早生まれによる非認知能力の発達の遅れは多分なかったのだと思う。

 逆に、早生まれだと、4月に入社して、60歳の誕生日で退職になるとすると、他の人よりも長く勤務できる計算になる。私の場合は一斉に3月退社だったので影響はないが、誕生日退社の会社では、3月生まれは4月生まれに比べると1年近く長く勤務できる。一方、年金支給は誕生日からなので、同じ3月に退職しても、4月生まれに比べれば1年近く年金支給が遅くなる。

 前述の平均年収が生涯年収なのか、はたまた同じ年齢の誕生日時点における年収なのか不明だが、年金を除けば就職した会社から受け取る生涯年収は3月生まれの方が4月生まれよりもほぼ1年分、40年間勤務したとすれば約2.5%多く収入を得られる計算になる。4%減というのは簡単には信じられない数字だなあと思った。

 こうした年齢による不利益を糺すため、「諸外国では親の判断で入学を一年遅らすことが普通に行われている」というのだが、それが本当にいいのかどうかわからない。親による海外生活の影響で、他の生徒よりも1歳年長のまま学生生活を送ったという人もいるのではないか。それはそれで「同級生が幼稚だったので、そのために発達が遅れた」なんて声も聞きそうな気がする。

 何はともあれ、今年も新入生のうち365分の1は4月1日生まれがいるはず。そう言えば、大学に入学した時に初めて、4月1日生まれの友人がいたなあ。彼は体は小さかったが口はいっぱしだった。まあ、あまり気にしない方がいいし、それもまた個性だと思った方がよくはないか。年収の差というデータだけは未だに釈然としないのだが。