とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

「お役所仕事ですから」・・・自虐という甘え

 ある役所で、仕事関係の振込口座とマイナンバーの登録を求められた。4年前に一度登録をしたことがあったので、その旨伝えたら、「今年度になって初めてだから」という理由で「もう一度登録してほしい」と言われた。しかし昨年の担当者からはそんなことは言われたことがない。「お役所仕事なのですいません」と言うが、お役所仕事って何だ?

 ネットで検索すると「とかく形式的で不親切・非能率になりがちな役所の仕事を非難していう言葉」とある。正確性を第一にするため、手間がかかり、結果的に非能率になることは理解できる。正確性は大事だ。だが、今回再提出を求められた銀行口座には、昨年までは何の問題もなく振り込まれており、なぜ今回、改めて正確性を確認する必要があるのかわからない。

 とすると、形式性の問題で、4年前に提出した書類を紛失してしまい、形式を整えるために再提出を求めたのか? でもそれならそう言うべきだろう。それも謝罪込みで。それとも、以前提出した書類があるかどうか確認することなく、今年度の形式を整えるため再提出の指示をしたのか? だとすれば、担当者の怠慢が理由だが、それを「お役所仕事なので」という言葉でごまかすのは間違っている。 「私は不要だと思うが、新任上司の指示なので、お手数をかけますが申し訳ありません」と言われれば、多少は「しょうがないな」という気がしなくもないが。

 ただ、役所の人間が自ら「お役所仕事なので・・・」と言うのはどうなのか? 「お役所仕事」という言葉が既に「非難」を含んだ言葉なので、それを自らに向けて使うというのはすなわち「自虐」ということである。でも、自虐されたからといって、「いや大丈夫ですよ」とはならない。やはり、しっかりとした理由を聞きたい。しかし理由は言わない。

 もう少し丁寧に言えば「役所の仕事はかように形式的で非効率で無駄の多い事務なのです。あなたもご存じでしょう。なので、あきらめて再提出してください」ということなのかもしれないが、これでは結局、無駄で非効率という批判に何ら応えることなく、それをよしとして、「自虐したのだから、従え」と言っているように聞こえる。

 すなわち、役人が自ら「お役所仕事だから・・・」というのは、甘えである。そもそも自虐ネタ自体が甘えであり、相手に理由を告げることなく受け入れてもらおうという意図を持っている。だからうまく使わなければ、多くの場合、相手方を困らせたり、不愉快にさせる。今回、役人にこの種の言葉を言われて理不尽に感じた。私も逆の立場になることがあるかもしれない。気をつけよう、と思った。