とんま天狗は雲の上

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宝くじの最高当選額を引き上げる愚

総務省が宝くじの最高当選額を引き上げる方針を決定したというニュースがあった。ネット販売解禁も検討しているそうで、その背景には宝くじの売上げが2005年度をピークに2割近く減少していることがある。
 一昨年の「Chikirinの日記:人生の一発逆転という悲しい夢」では、「宝くじは、貧困層を狙い撃ちにした税金」という知人の言葉が紹介されており、当時、私も「全くそうだ」と賛同の☆とブックマークをした記憶がある。
 宝くじの売上げが落ちているのは、宝くじに夢が失われているのではなく、社会や人生に夢が失われているから、1枚100〜300円のわずかな散在ですら惜しむ気持ちになるのであって、射幸心はあくまで安定した生活への信頼の上に成り立っているはずだ。
 この点、競馬や競艇などの公営ギャンブルも同じで、「競輪雑考:公営競技の年度売上げの推移」によれば、1990年以降(中央競馬は1997年以降)軒並み売上げを落としていることがわかる。このサイトでは2010年データまで追いかけているが、コメント欄を見ると少子高齢化が原因だという意見もある。なるほどそうかもしれない。
 少し古い調査だが、「Goo Research:大衆が支えるギャンブル」では、宝くじ愛好者(過去1年間で購入したことがある人)は約6割おり、パチンコが約23%、中央競馬が19%、その他の公営ギャンブルに至っては軒並み5%以下という結果になっている。宝くじ購入者も年1回の運試しで年末ジャンボだけ購入する人が多くを占めていることが考えられ、継続的に毎週購入する者は少ないことが見込まれる。
 「宝くじは貧困税」という意見と合わせて考えると、売上げを伸ばすためには、毎週購入する宝くじ中毒者を増やすか、購入金額(貧困税)を増額させることが必要だ。そのためには、年末ジャンボの当選金額を上げても、大して売上げ向上に貢献しない。毎週販売されている宝くじの当選額をこそ上げることが必要だと思われる。
 「毎週毎週7億円」。西田敏行が黄金色の衣装でこう叫べば、これに浮かれる貧困層は少なからずいるかもしれないが、それが社会を安定化させるとはどうしても思えない。総務省が率先して、宝くじの最高当選額を引き上げて、社会を不安定化と格差拡大を画策していることはもっと糾弾されてもいいのではないか。

PS.
 今日の新聞によれば、宝くじのイメージキャラクターが西田敏行から木村拓哉に代わるんだそうで。暇でカネ余りの高齢者から、一攫千金を狙う貧困層にターゲットを変えたということか。