読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

大鹿村へ行く

 娘が3連休を利用して友人と一緒に旅行へ行った。残された老年夫婦二人。暑い中、家に籠っているのも寂しいので、どこか涼しいところへ行こうと思い立つ。でも悲しいかな、新しいところが思いつかない。とりあえずいつも行く阿智村のそば屋「おにひら」へ行くことにした。3連休にしては空いていたが、残念ながらかき揚げはなし。私が一口で食べたキノコはひょっとして松茸? 泥臭い匂いがそれっぽかったけど、食べてしまえばもう確かめる術もない。ああ、おいしかった。

 それじゃどうしよう? そこで思い立ったのが、大鹿村。国道が行き止まりの町として名前はずいぶん前から知っていたが、行ったことはない。他に知っているのは、村歌舞伎と鹿が塩を舐めに出てきたという話くらい。とりあえずナビに観光案内所をセットして出発する。

 再び中央自動車道に乗って2区間。松川ICで降りてナビに従って進む。小渋川の深い谷があり、小渋ダムがあって、その間にはいくつものトンネルをくぐる。明るい陽射しから急に暗いトンネルに入ると、前が見えない。すれ違うトラックはあるが、それほど多くはない。どんな村だろうと期待半分クルマを進めると、30分ほどでようやく大鹿村に入った。

 しばらく行くと村役場のある交差点。右に折れると左手に生コン工場に採石業者の作業場。「日本で最も美しい村」の一つに合わない景観。と思ったら右手に観光案内所が見えてきた。産直広場もある道の駅風の施設の一角にある。靴を脱いで入ると、カウンターの向こう側にいた女性の一人が出てきてくれる。

 「僕らはどこへ行ったらいいでしょうか?」 突然、言ってみる。「今、来られたばかりですか?」「ええ」「それなら、今日は天気もいいので、夕立神パノラマ公園に行かれたらどうでしょう?」「他には何がありますか?」「中央構造線の上に位置する村なんです。中央構造線が地表に現れている場所があります。博物館の館長さんが話し上手なのでわかりやすく教えてくれます。またその隣には郷土資料館のろくべん館があります。」「なるほど、どうもありがとう」

 ということで、マップやパンフレットをもらって、まずは「夕立神パノラマ公園」へ向かうことにした。あ、その前にブルーベリーを購入。大鹿村はブルーベリーの村でもあった。観光案内所を出て、山道を13㎞。途中、すれ違いが困難なところもあったが無事公園に到着する。途中、バスとすれ違ったり、木を満載したトラックとすれ違ったり、そしてすれ違う乗用車も遠い地名のナンバーが多い。この道の先にはキャンプ場があり、三伏峠へ至る登山道の登り口があるからだろう。三伏峠と言えば私も高校時代、南アルプスを縦走したことがある。その時に確か三伏峠から入ったはず。この道を行ったのだろうか?

 「夕立神パノラマ公園」は標高1620m。駐車場にクルマを停めて小高く突き出た尾根の頂に休憩所があって、そこから南アルプス中央アルプスが展望できる。午後3時も過ぎるとアルプスは雲に包まれているが、それでも赤石岳の山頂と岩肌がよく見えた。そして涼しい。しばし気持ちいい時間を過ごす。

f:id:Toshi-shi:20160716151525j:plain

 帰りはすれ違うクルマもなくスイスイと降りていく。まずは「中央構造線博物館」へ向かうが、その手前に古いコンクリート橋がある。「小渋橋」だ。三連アーチが美しい。昭和32年建造。あ、同い年だ。「中央構造線博物館」は「ろくべん館」と合わせて入館料500円。でも4時30分閉館。時間がないので入館はあきらめた。

f:id:Toshi-shi:20160716155139j:plain

 観光マップを見ると、「塩の里」という産直広場が17時までとなっている。まずはそちらに向かわねば。大鹿村は鹿塩地区と大河原地区に分かれている。村歌舞伎の村は大河原地区。鹿塩地区は塩の里。大鹿村という名称はそれぞれの頭文字を合わせたものか。そして鹿塩地区には今でも塩水が湧いている。塩湯荘へ入る橋の向かいに「黒部の洞窟」と書かれた看板が立っている。明治時代、黒部洗次郎という人が「こんな山に塩水が出るというのは、地中に岩塩の層があるのだろう」と掘り進めた洞窟だが、結局、岩塩の層は見つからず。結局、なぜ塩水が湧き出るのか今でも不明のままだそうだ。でも湧き出した塩水で作った山塩は「塩の里」でも売っている。50g、500円。ちょっと高いので、代わりに塩麹を買おうと思ったが売り切れで、仕方なく山塩羊羹を買ってきた。山塩アイスもしょっぱかった。

 次には松下家住宅へ向かう。途中、小さなごろた石を積み上げた石垣の上に建てられた古い家屋が散見される。国道から坂道を上がっていくと正面に松下家住宅。切妻・妻入りの立派な家屋で左側に蔵がある。蔵の方がやや古い1772年建築、母屋は1820年建築だそうだが、どちらもまだ十分しっかりしている。蔵の屋根は瓦で葺き替えられ、また増築もされており、これまでもしっかりと管理されてきたのだろう。

f:id:Toshi-shi:20160716165643j:plain

 続いて、国道152号を南へ、「安康露頭」へ向かう。観光案内所で「確か国道152号って全線開通してなかったですよね」と言ったら「いや、浜松までつながってますよ」というので「そうか、つながったんだ」と思ったが、そんなことはない。やはり今でも大鹿村から南の区間2か所で不通区間がある。もっとも林道で迂回できるそうだから、浜松までつながっていることは事実。しかしそれにしても道はドンドンと細くなる。対向車が来ないことを祈りつつ、落石が転がる道を進む。幸いバックをして対向車を避けたのは1回だけ。何とか無事に「安康露頭」に着いた。

 路肩にクルマを停めて川へつながる道を歩いていく。河原を右に折れてしばらく行くと説明看板がある。青木川の対岸って言われてもちょうど小川が合流する地点。小さい方の川を探したが、結局「安康露頭」は大きな川の対岸で、確かに右側は緑色、左側は赤い色の石になっている。これが中央構造線か。河原にも緑色と赤色の石が混ざって転がっている。面白い。それだけのことと言えばそれまでだが、ここまで来てよかった。さらに先へ進んで地蔵峠を越えるなんて無謀なことはせずに、今来た道を帰る。

f:id:Toshi-shi:20160716174116j:plain

 帰りは不思議と早い。対向車も1台会っただけで無事に大鹿村まで戻り、さらに松川町まで走ってソースカツ丼を食べにいく。店は「いいと・わァ食キッチン(EAT)」。かみつきかつ丼とネギマヨソースカツ丼を注文。特にネギマヨソースカツ丼が旨かった。帰りは中央自動車道も空いていた。初めての、思い付きの大鹿村だったが、けっこう面白かった。次は鹿塩温泉で泊まってみようか。塩化物泉ってどんなだろう。