とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ACL準々決勝 浦項スティラーズvs.名古屋グランパス

 ACLフロンターレセレッソもベスト16で敗退してしまい、ベスト8に進出したのは韓国の3チームとグランパスのみ。しかも準々決勝は韓国でノックアウト方式での開催。グランパスにとってラッキーと思えたのは、対戦相手がグループリーグで1勝1分だった浦項ということ。他の2チームは今季のKリーグでも優勝を争っているのに対して、浦項は7位に沈んでいる。当然勝ち抜けると考えていた。

 浦項の布陣は4-4-2。コヨンジュンとイソンモの2トップに、右SHはパラシオス(コロンビア)。左SHにイムサンヒョプ。ボランチはシンジンホとシンクァンフンが並ぶ。代表選手でもあるカンサンウは左SBに入り、右SBにパクスンウ。CBはクゾンワンキュとグラント(オーストラリア)。GKはイジュン。対するグランパスは4-2-3-1。シュヴィルツォクをトップに、トップ下に柿谷。右SHマテウス、左SH森下。ボランチは稲垣と木本で組む。DFは右SB宮原、左SB吉田。CBはキムミンテと中谷。GKはランゲラック。木本や宮原が先発したというのは、守備的に戦うという意味か。そこがまず間違っていたという気がする。

 前半はほぼ互角。浦項がしっかりと守備ブロックを作って守りを固めると、グランパスも守備への意識が強い。13分、ようやく右SHマテウスミドルシュートを放つが、ポストの右。次のチャンスは31分。OH柿谷のスルーパスに左SH森下が抜け出し、戻しをCFシュヴィルツォクがシュート。だが枠を外す。さらに33分、CFシュヴィルツォクのポストプレーから右SHマテウスが持ち上がると、スルーパスにCFシュヴィルツォクが走り込んでシュート。だが戻ってきたDFがライン上でブロック。はね返りをCH稲垣がシュートするも、GKイジュンがセーブ。最大のチャンスをモノにできない。前半はこのまま終了した。

 後半に入ると両チームともやや積極的に攻め始める。そして8分、CHシンジンホのCKに対してゴール前の密集からこぼれたところをFWイソンモが左へ蹴り出す。これがファーに抜けて、左SHイムサンヒョプがシュート。浦項が先制点を挙げた。すると俄然元気になったのは浦項。これに対してグランパスは11分、森下を下げてトップ下に前田を投入。柿谷を左SHに回す。16分、OH前田の早いリスタートにCFシュヴィルツォクが抜け出し、ループシュート。だが枠を捉えられない。直後にはマテウスを下げて、左SH相馬を投入。柿谷をトップ下に戻し、前田を右SHに回す。

 だが浦項のペースは取り戻せない。20分、左SBカンサンウのFKに右SBパクスンウがヘディングシュート。GKランゲラックがセーブする。そして25分、GKイジュンからのフィードを左SB吉田と右SHパラシオスで競ると、こぼれ球をCHシンジンホがダイレクトで縦へ。これにFWイソンモが抜け出し、シュート。浦項が先に追加点を挙げた。27分には右SHパラシオスの仕掛けからクロスに左SHイムサンヒョプがシュート。いよいよ強まる浦項のプレスに対して、グランパスはパスも回せない。ロングボールは簡単に浦項のDFやGKに回収される。

 33分、柿谷と宮原を下げて、金崎と右SB成瀬を投入。金崎と前田を高い位置に置き、木本をアンカーに、稲垣を右IH、相馬を左IHに置く4-3-3。だがこの攻撃的な布陣も勢いに乗る浦項の前にはなかなか機能しない。浦項もイソンモを下げてFWイホジェを投入。44分には右SHパラシオスに代えてクォンギピョ。なかなかゴール前に迫ることもできないまま、時間が経過。アディショナルタイムの45+2分、CB中谷のフィードから左SH相馬が仕掛けてシュートを放つが、GKイジュンがナイスセーブ。45+3分にはCFシュヴィルツォクから左に展開。左SH相馬のパスから左FW金崎がシュートを放つが、バーの上。逆に45+5分、CHシンジンホのヒールパスから左SHイムサンヒョプが見事なミドルシュートを決めて、ダメ押し。結局3-0。グランパスACLの挑戦も準々決勝で止まってしまった。

 まるでダメ。完敗。木本と宮原の先発が示すように、相手をリスペクトし過ぎだったのではないか。もっと前半から積極的に攻めていきたかった。前半の決定機を逃したからなおのことそう思う。週末のJリーグでは3位ヴィッセルが着実に勝利し、これで勝ち点差が3。5位レッズは引分けて、こちらは勝ち点差が2。天皇杯にはフロンターレが残っているが、マリノスヴィッセルは既に敗退。フロンターレが優勝すれば4位までACL出場が可能だが、その他のチームが優勝すれば、ACL出場権は3位まで。いやグランパスも残っている。リーグで3位までに入るか、それとも天皇杯で優勝するか。週末にはヴィッセルと対戦し、その後には天皇杯準々決勝のセレッソ戦。どちらも勝利が欲しい。タイトルのかかった重要なゲームはまだまだ続く。

排水桝の掃除

 昨年10月、台所の流しが詰まり、業者を呼んだところ、排水桝が詰まっていて、掃除をしてもらったら直った。あれから1年、また流しの流れが良くない。まだ1年。でも1年。念のため、自分で排水桝を点検してみることにした。わが家の排水桝はこんな感じ。

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直径25㎝位の簡易なものだが、取っ手を持って引っ張ってみたが外れない。でも点検のために業者を呼ぶわけにもいかない。そう思って、外枠にある小さな窪みにドライバーを差し込んでこじ開けてみた。すると簡単に蓋が開いた。よかった。

 桝の中を見ると、1年前と同様、白い油の固まりのようなものが浮いている。植栽用のシャベルで掬い出し、枡内や流れ込む排水管をホースで洗浄。管内から黒い汚物も流れ出てきた。上が取り出した固定物の画像で、下が取り除いた後の画像。もう少しきれいに取りたかったが、泡状になって浮いているものまでは取り切れなかった。

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 「これですっきり流れが良くなった」と言いたいけれど、実はまだ流しからの排水の吸い込みがイマイチ。流しの排水トラップの中のゴミカゴや防臭ワントラップを金たわしでゴシゴシと磨き、汚れを落とす。ついでに洗浄用のタブレットを入れたが、こちらはどれだけ効果があるのだろう。

 とりあえず、排水桝と流し回りの掃除を完了した。前回の掃除からわずか1年。それでこんなにも固形物が貯まった。やはり1年に1回は排水桝の掃除をしなくてはいけないのだろう。今回、マイナスドライバーで簡単に蓋が開くことがわかった。これからは嫌がらず、定期的に排水桝の点検をすることにしよう。

服従

 来年2022年はフランス大統領選の年だ。2015年に出版された本書では、2022年の大統領選にイスラーム同胞党が名乗りを上げ、その党首モアメド・ベン・アッベスが、マリーヌ・ル・ペン率いる国民戦線と一騎打ちの末、UMPや社会党などの支持も得て、またパリ近郊での暴力事件の発生もあり、大統領に選任される。こうした動きにノンポリを決め込んで、退廃的な生活を送ってきた大学教授でもある主人公は、社会の急激な変化に戸惑いつつも次第に迎合し、最後はイスラームに改宗していく。

 フランスだけではない。ベルギーも後を追ってイスラーム化し、西欧のキリスト教中心の政治体制や文化は崩れていく。それは単に、ノンポリ知識人の政治への無関心や、国民と政治やジャーナリズムとの乖離などだけが原因ではなく、キリスト教にもはや社会を変革する力がないこと、そしてイスラーム的社会観、すなわち「服従」こそが人々を絶対的な幸福に導くという社会思想が受け入れられていった結果でもあった。

 今まさに、アフガニスタンタリバンが国家を掌握し、イスラーム原理による政治と国家運営が始まりつつある。もちろん既にイランやサウジアラビアなど、イスラーム主義国家は数多ある。果たして宗教は人々を本当の意味で救うのか。単に、フランスがイスラーム化するという架空の小説として読むだけでなく、より本源的に「国家とは何か」「宗教とは何か」「国家と宗教の関係は如何にあるべきか」といった問いを読者に突き付ける。

 日本だって同じだ。衆議院選挙も間近に迫る中、またコロナ禍で人々の生活や政治観が大きく揺さぶられる中で、「国家とは何か」「真の幸福とは何か」「国家は如何にして人々を幸福に導くのか」。そうした国家観や人間観が今、真剣に問われている。

 

 

中道左派トロイア市民の盲目を模倣しているだけとも思えるのだった。…同様の事例は、「ヒトラーは最終的には理性に立ち返るだろう」と揃って思い込んでいた1930年代の知識人や政治家、ジャーナリストたちにも見られただろう。既存の社会制度の中で生き、それを享受してきた人間にとって、そのシステムに期待するものが何もなかった者たちが、格別恐れもせずにその破壊を試みる可能性を想像することはおそらく不可能なのだ。(P50)

イスラーム同胞党は特別な党なのです…。彼らは、通常の政治的に重要な点にはほとんど関心がなく、特に、経済をすべての中心に置くことはありません。彼らにとって不可欠な課題は人口と教育です。出生率を高め、自分たちの価値を次代に高らかに伝える者たちが勝つのです。…経済や地政学などは目くらましに過ぎません。子どもを制する者が未来を制する…ですから唯一重要な点…は子どもの教育なのです(P78)

○もちろんぼくは、何年も前から、国民と、国民の名で語る者、政治家やジャーナリストの間の、広がる一方の途方もない乖離が、必然的に、混沌として暴力的、そして予想のできない状況に導くだろうことは理解していた。…しかしこの何日か前まで、ぼくは、フランス人の大多数が諦めて無気力でい続けると確信していたのだ。おそらくそれはぼく自身がかなり諦めきって無関心だったからだろう。ぼくは間違えていたのだ。(P110)

○『O嬢の物語』にあるのは、服従です。人間の絶対的な幸福が服従にあるということは、以前にこれだけの力を持って表明されたことがなかった。それがすべてを反転させる思想なのです。…女性が男性に完全に服従することと…人間が神に服従することの間には関係があるのです。…イスラームにとって…神による創生は完全…なのです。コーランは、神を称える神秘主義的で偉大な詩そのものなのです。創造主への称賛と、その法への服従です。(P251)

カトリックの教会は、進歩主義者たちに媚び、おべっかを使い甘やかすことで…頽廃的な社会の傾向に抵抗不可能になり…厳格に否定できなくなったのだ。…西欧の社会は、自分で自分を救う状態にはもうないのだ。…移民人口が大量に増え、それらの移民がまだ自然のヒエラルキー、女性の服従や先祖崇拝の色濃い伝統的な文化の影響を受けていることは、ヨーロッパの道徳及び家族をリセットする歴史的なチャンスであり、この旧大陸に新しい黄金期をもたらす機運なのだ。(P266)