「大人のための数学 第3巻」は集合論に突入。集合は高校数学の中ではほんのさわりに触れるだけだが、無限と組み合い、こうした地平まで進んでいくとは思いもしなかった。ほとんど理解できたとは思えない。「加算集合の濃度」位まではなんとか付いていったが、順序数や整列集合に至り、ほとんど傍観、流し読み状態になってしまった。
無限を追求した末に、無限が無限を生み、無限が整列し、無限が飛翔する。しかし集合論を始めたカントル自身は、そこで苦悩し、精神病を病み、失意と落胆の中で人生を閉じたという。彼の提唱した集合論は、必ずしも彼の思ったとおりではなかったかもしれないが、その後、現代抽象数学の基礎となり、さらに自由に羽ばたいている。彼が躓いた連続性公理はいまだに解けない現代数学の課題の一つだそうだ。
次巻は解析学。さらに位相空間、ルベーグ測度論と続く。大丈夫か。そろそろリタイヤの時期か?次巻を見てから考えよう。
- 作者: 志賀浩二
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2008/02/06
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●どんな無限集合Mをとっても、Mの濃度よりさらに大きな濃度をもつ無限集合M~が存在する。・・・"無限"はそれ自身のなかに、さらに大きな無限に向かって駆け上がっていく、果てしない階段を内蔵していることを意味している。(P74)
●この無限の果てを追ってみることにどれだけ意味があるのだろう。・・・数学は概念だけでは成立しない。・・・ポアンカレは次のような言葉を残している。「これは心理学にとって興味のあることかもしれないが、これは定理ではない。それは1つの状況にすぎない」(P78)
●英国の哲学者ラッセルは、この矛盾は、集合論がかかえている矛盾のなかから生じたというより、むしろこれは集合論が基礎としている論理構造のなかにあるのだと指摘した。・・・自己を含む集合は矛盾を含みうるのである。(P142)