とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

極上のひととき バルセロナの美を堪能

 チャンピオンズ・リーグはバルセロナの完勝に終わった。序盤こそマンチェスター・ユナイテッドが優勢にゲームを進めたが、この日のマンUはミスが多い。クリスチャーノ・ロナウドも7分8分とFKやミドルシュートを放つも、気負いが目立ち、ゴールにつながらない。
 それでもマンUペースだと思っていた前半10分。イニエスタからエトオにパスが通り、ヴィディッチを軽くかわして、ファン・デル・サールの左脇を抜いてゴールに突き刺す。
 19分にはエトオからメッシのミドル。20分にはロナウドもミドルを放つが、力が入って正確性を欠く。23分シャビのFK。27分にはメッシが3人に囲まれながらもボールをキープして抜いていく。
 いつしかゲームは圧倒的なバルセロナ・ペースになっていた。シャビ、イニエスタがうまくボールを回し、メッシがさばく。両サイドに張ったエトオとアンリに、プジョルとシウビーニョが絡み、サイド攻撃を仕掛ける。大きなパス回しに、ここを狙うかと思わず嘆息するような狭いコースに縦パスが切り込まれる。正確なトラップに素早い転回。あっと思う間もなくメッシの変幻自在の高速ドリブルが始まる。イニエスタがあれよあれよとペナルティ・エリアまで近づく。シャビからの正確で融通無碍なパスが面白いようにつながる。極上のひととき、前半30分過ぎからの15分間、美し過ぎる至宝のサッカーを堪能した。
 後半に入り、アンデルソンに代わりテベスが入ってようやくマンUに前線の核ができた。それでも9分のルーニーのクロスはパク・チソンの頭に届かない。一方バルサは3分にイエニスタとシャビのパス交換からアンリのシュート。さらにイエニスタへのファールから得たシャビのFKはポストに当たる。イエニスタの存在が光る。
 マンUが攻勢を強め出した25分、シャビからふわっとあがったクロスがリオ・ファーディナントの頭を越えてメッシに届く。ゴール!
 最後はプジョルが老獪にゲームを締めくくった。強いというより美しい。そしてうまい。サッカーの女神も、強さよりも美しいのが好み。それはロナウドとメッシの印象にもそのまま当てはまる。今年のCWCが日本で開催されないのが、なんとも惜しい。