とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

欧州サッカー批評02

 W杯が終わってヨーロッパ各国のリーグ戦が始まった。「欧州サッカー批評」はこれが2号目。創刊号は「戦術の進化」がテーマだったが、今号ではまさに開幕したばかりのヨーロッパ各国リーグの展望とサッカー事情を特集する。テーマタイトルは「ビッグクラブの戦略、中堅クラブの戦術、小クラブの野望」。タイトルのとおり、インテルバルセロナバイエルンなど優勝を争うチームばかりでなく、イングランド・プレミアリーグブラックプールセリエAのブレシャなどの昇格したばかりのチームや、セビージャ、フラム、ボルシアMGなどの中堅チームも取り上げている。
 チームばかりではない。プレミアリーグリーガ・エスパニョーラだけでなく、オランダリーグやベルギーリーグ、アイルランドセルビアのサッカー事情など、中小国まで取り上げている点が興味深い。アンリのハンド以来、ヨーロッパ選手権に向けて燃えるアイルランド。フランス語圏とオランダ語圏で対立し分離しつつ離れられないベルギーリーグ。今やすっかり中小リーグと化して、ストライカー不足に悩むオランダリーグ。経済危機が進行する中、ヨーロッパリーグはどこも深刻な課題を抱え、かつ発展への模索を続けている。
 加えて、W杯南アフリカ大会での活躍が記憶に新しいガーナサッカーも紹介されている。こうして欧州だけでなく、アフリカや南米などの他地域へと対象が広がっていくことは喜ばしいことだ。
 巻末付近には、W杯南アフリカ大会の誤審ゴールで思い出した1966年のイングランド対西ドイツのゲームを振り返る「ビッグゲームの真実」やドイツ・ブンデスリーガのチャントを紹介する「欧州のゴール裏から」などの特集もあって興味を掻き立てられる。さて第3号はいつ出るのか。来年初めをまた期待して待とう。

欧州サッカー批評 2 (双葉社スーパームック サッカー批評別冊)

欧州サッカー批評 2 (双葉社スーパームック サッカー批評別冊)

●こうした下請け型のクラブは無数にあって、国内規模でも大きなクラブはほとんど例外なく提携クラブを持っている。・・・大中小のクラブは、それぞれが別世界に住んでいるようで、実は互いに連携しながら複雑に結びついている。それは自然界の生態にも似ていて、どれか欠けても上手く回っていかないのだ。(P009)
●ユーゴでは遺産相続は意味が無いと言われています。なぜなら二代と平和が続かずに戦争が起こって無くなってしまうからです。だから何事も一代で自分で作りだすしかない。自分で何とかするしかない、という考えが刷り込まれているわけです。(P095)