とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

サッカー批評53

 サッカー批評が隔月刊になった。そのことを忘れていて、20日過ぎにようやく購入した。特集は「Jリーグの戦術力を問う」。Jリーグは同質化が進んでいるという。そうかもしれない。バルセロナのサッカーは日本人に適していると言い、子供たちはイニエスタやシャビになりたいと言う。メッシとは言わない。
 第一特集は純粋に戦術論を語る。田中順也に語るレイソルの個人戦術。受け継がれる鹿島アントラーズのメンタリティを小笠原が語る。駒野友一が語るサイドバックの思考回路も興味深い。グランパスの高さ。シュートを打たせてもゴールは守る守備戦術。ザッケローニの戦術を分析する「検証3-4-3」の後編もあるが、前号ほどは面白くない。
 第二特集「Jリーグの真価を問う」の方が社会との関わりや周辺事象を語って面白いかもしれない。外国人選手の成否を代理人らが語る。Jリーグ東南アジア進出の可能性を探り、インドフットボールの現状を紹介し、サポーターの処分について考える。第3回目となる「Jビレッジの存在意義」はまだまだ続く。JFAJリーグを追究してきたミナミカンタ氏は協会からの抗議があってしばらく休筆とのこと。残念。
 隔月刊になっても相変わらず元気だ。季刊の時の平均的レベルにはある。小田嶋隆のエッセイはサッカーの女性参加を肯定的に論じて面白い。「へなちょこフーリガン」は「英国のダービーマッチ」を取り上げて流してしまった。それもまあいいだろう。
 次号の特集は「日本サッカーの設計図2012」の予定。2012年にナニがあったっけ。あ、そうか、オリンピックか。そして欧州選手権。ふむふむ、でもこれって日本サッカーとどう関係があるんだっけ。

サッカー批評(53) (双葉社スーパームック)

サッカー批評(53) (双葉社スーパームック)

●だから、個人の持っている長所で戦うのではなく、チームでやろうとすることを素直にやるだけのサッカーになってしまう。チームの考え方は大切だけれども試合中の判断基準は各々が持つべきだと思います。(P013)
●本来、クラブとサポーターの利害は一致しているはずのものだ。利害という言葉が妥当でなければ理想でも理念でも目標でもいい。要するにステークホルダーとしての両者は同じ方向性を持ち、同じ未来に向かっていくものだ。その先で待ち受けているものが天国なのか地獄なのかは誰にもわからないが、いずれにしても共有すべきものであり、その上に歴史が積み重なっていくことが日本のサッカーを豊かにするのではないかと思う。(P085)
●考えてみりゃ人間のコミュニケーションなんて家族から国家や大陸まで、どれも人間がつくる想像の共同体なんだから、その想像の境界線を挟んで「俺ら」と「奴ら」が繰り広げる想像力のドラマは、一見複雑怪奇だけど基本のメカニズムはいっしょなのかもしれませんね。美しさも醜さも賢さも愚かさもいっしょくたにして、それをわかりやすく露呈してくれるからサッカーは面白いんだから。(P121)