とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

グアテマラ戦は個人プレーのオンパレード 一番目立ったのは中村憲剛

 親善試合グアテマラ戦は、前半こそきれいな形で2点を取ったが、グアテマラに一瞬の隙を突かれて失点してからはいつものバラバラ、グズグズのサッカーになってしまい、最後まで得点できずに終了した。
 先取点の長友のクロスに森本の消えるプレーからのドンピシャヘッド、2点目の香川の縦の走り込みに本田のスルーパス、森本の嗅覚はよかったが、考えてみれば個人的能力が重なったもので、連携による上積みではない。監督がスタンドから見物する選手能力の見本市のような意味合いのゲームなのでしょうがないが、ゲームを作るという面で一番目立ったのが後半38分に登場した中村憲剛というのはどうなんだろう?
 全体的に個人プレーに走り、エゴイスティックなあせりや功名心ばかりで、団体競技としての気持ちが籠もらないふわふわとしたゲームだった。ま、これからなんだろうが、チームプレーのできる選手、キャプテンシーのある選手を見つけていくのは、オシムにとっても一番の課題だったが、ザッケローニもこれから苦労するんじゃないだろうか。
 立ち上がり1分、乾が本田とのワンツーから抜け出しファールを受ける。FKを香川が蹴って本田がヘッド。やる気が感じられる。そして12分、香川・乾のパス交換から長友が走り込みクロス。森本がドンピシャ・ヘッドを決める。TVなどで解説されていたけど、確かに一旦消えて直前にDFの前に飛び込む動きはさすが。
 15分、細貝のスルーパスに森本が抜け出しシュートを打つも当たり損ね。そして20分、中盤で橋本から香川が受けて中央へドリブル、本田に預けて前に走り込むとスルーパスを受けてGKをかわしループシュート。GKが触って弾いたところを森本が詰めて落ちついて流し込んだ。パラグアイ戦と全く同じ形。スルーパスの鋭さは憲剛の方が上かな。DFの密集度もパラグアイ戦の方が厳しかった。それでも本田、香川、森本のセンスが十分発揮されたシーンだと思う。22分にも乾のドリブルからスルーパスに本田が抜け出したが、シュートはGKに止められた。本田がエゴイスティックに得点を狙っているのはよくわかったが、シュートセンスは香川の方が上。香川と組み合わせるのなら、本田はボランチに使った方が活きるのではないか。CHSKモスクワの監督の気持ちがよくわかる。
 なんてのんびりみていたら22分。中盤で橋本がカスティージャに引っかけられ、ボールを奪われてスルーパス。マリオ・ロドリゲスが力強いシュートを決めて1点を返された。岩政自身も言っていたが、タイトルマッチであればもっと鋭いタックルや寄せがあったはず。その点で物足りなさを感じるが、DFの守備もザッケローニが今後どう作っていくのか、興味がある。
 この得点以降、日本がゲームを作れなくなっていく。29分、36分と森本がミドルシュートを放つが枠を外れる。グアテマラも26分アギラル、38分ガジャルドミドルシュート。とにかく遠目から鋭いシュートが飛ぶ。特に38分のシーンは右から左に振られて、左SBをフリーにしてのシュートで、反省が必要。守備の基本から確認していく必要がある。
 後半に入り、槇野を左SBに回して永田をCBに起用。乾を藤本に代えるが、これでますます日本の攻撃が停滞、個人頼みになってくる。10分、本田から槇野のクロスは香川に合わず、オーバーヘッドで会場を賑わす。13分にはジョナサン・ロペスがドリブルからシュート。20分、藤本が本田とのコンビプレーから抜け出してシュート。22分、槇野から岡崎のクロスに本田がシュート。DFに弾かれたところを橋本がシュート。本田のシュートは無理だっただけに、もう少し周りの見えたプレーが欲しかった。このゲームを通じ、自己アピールをしたいという本田の気持ちはよく伝わったが、代表としての立場とクラブでの外国人としての立場ではアピールポイントが違うんじゃないだろうか。もう既に攻撃力のある選手ということは十分理解されているはずだから、得点力以外の特長をアピールする必要がある。
 23分、駒野のフィードに槇野がヘッドで落とし、岩政がヘディングシュート。こういうシーンはもっと見たいと思った。35分、岡崎のポストプレーに細貝が走り込み、こぼれを藤本が拾って最後は本田がシュート。しかしその直後には、橋本がボールを奪われ、ミノール・ロペスに強烈なミドルシュートを打たれる。楢崎が横っ飛びセーブ。ボランチの二人が疲れて、中盤遠目から積極的にシュートを放つパラグアイの攻撃にうまく対応できない。
 38分、ようやく憲剛を投入。すると途端にゲームが落ちつきだす。41分、憲剛のパスに駒野がミドルシュート。45分にも憲剛がゴール前中央に走り込みシュートをするが、惜しくもクリアされる。しかし交代後の憲剛の存在感はすごい。疲れた本田と較べるのは酷かもしれないが、一番目だったのは確か。
 ジャッケローニはどう見たのだろう。穏和な笑顔しか見せていないが、報じられるコメントからは少しずつ本性が見え始めているように思う。その温厚な目の奥がキラリと光るとき、きっと何かが起きる。起きて欲しいと思う。まずはアルゼンチン戦が楽しみだ。