とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

グランパス リーグ初制覇 優勝おめでとう!

 苦節18年、グランパスがついに悲願のリーグ優勝を達成した。おめでとう!
 ここまで本当に長かった。リーグ創設当初は、ガンバ、レッズとともにお荷物チームだった。三すくみ落ちこぼれチームだった残りの2チームは、いつしか常時優勝を狙うチームになっていた。
 初年度にジーコにボコボコにされたアントラーズは、今や2度目の黄金期に入っていた。昨シーズン、初めてカシマ・スタジアムで勝利し、これで18年間のジンクス払拭かと思ったが、今シーズンはまた負けてしまった。どれだけ勝点差を引き離そうと、アントラーズが2位にいると、優勝はないのではないかと気弱になった。
 しかし第31節、グランパスが勝ち、アントラーズが引き分け以下なら優勝という、初めて王手をかけた状況で、あっさりと優勝を決めた。まさに今シーズンのチーム状況を象徴するように、グランパスは苦しいゲームを1点差で勝ちぬき、アントラーズは得点を取ることができなかった。まさに今シーズンを象徴するゲームだった。
 それにしても、優勝するときは簡単だ。シーズンチケットを持つ友人は、ジュビロ戦のチケットを購入し、残り3ゲームはすべて観に行くと言っていたが、優勝が近付くと「もっと早く優勝が決まったらどうしよう」と言っていた。「そんなことはない。アントラーズが迫ってくるに決まっている。早くてもジュビロ戦だな」と言っていたのに、まさかこんなに早いとは。
 それでも平塚競技場グランパス・レッドに染まっていた。こんなに大勢のサポーターが平塚まで駆けつけたとは、みんなすごい。本当にみんな待っていたんだ。いや、待ち切れず平塚まで追いかけて行ったんだ。そのサポーターの前で、ぶっちぎりの勝利ではなかったけれど、グランパスらしい薄氷の、苦節の思いを受けた、最後までハラハラドキドキの、そして最高の勝利を挙げた。やった! おめでとう、グランパス
 書き出すと喜びに興奮してしまう。冷静になって、ベルマーレ戦を振り返ってみよう。
 立ち上がり、グランパスは気負いのまま勢いよくベルマーレ・ゴールに迫った。3分、相手CKから玉田がボールを奪い、小川のパスにマギヌンが抜け出し、ゴール前のパスに中村が走り込むが、GK都築が抑える。続くゴールキックを千代反田が前方にヘディングで弾き返すと、ケネディが抜け出してシュート。コースを狙ったいいシュートだったが、惜しくもGKがセーブ。8分にはケネディから右サイドにパスが出て、小川がクロス。しかしGKが弾き返した。
 ベルマーレも10分、田原のポストプレーから阿部が抜け出すと、ドリブルからシュート。今シーズンここまでベルマーレのゲームを一度も観たことがなかった。大敗が多いことから、たぶん守備的な戦いを繰り返していたのだろうと勝手に思い込んでいたが、なんのなんの、この日のベルマーレは失点を恐れず、積極的に前からプレスをかけて攻め込んできた。
 14分にはCKの流れの中からエメルソンのクロスに田原が合わせ、シュートがグランパス・ゴールに飛ぶ。ここはGK楢崎が抑えたが、グランパスが守勢に回る場面が多い。グランパスは守りつつも、頻繁に攻撃参加する左SB古林の裏、右サイド深く長いパスを送り、スペースを狙う。
 しかし攻勢はベルマーレ。18分、ベルマーレ阿部の強烈なFKはあわや楢崎がファインセーブ。続くCKから永田のミドルシュートがゴールを捉える。GKファインセーブ。さらにCKに古林のヘディングシュート。
 しかしグランパスの守備意識は高い。ベルマーレは強烈なシュートは飛ぶが、攻撃がまっすぐで意外性や嫌らしさはないので、このまま落ち着いて守っていけば、後半はベルマーレが自滅するんじゃないかという余裕は持てた。
 27分、中村がミドルシュート。37分には玉田がドリブルで前進してクロスを入れるが、走り込んだ中村にうまく合わない。その後前半終了までグランパスが圧倒するが、なかなか決定的なチャンスを掴むことができず、前半を終了した。
 後半も立ち上がりはグランパス・ペース。4分、ダニルソンから玉田がつなぎ、マギヌンがシュート。しかし次第にベルマーレが押し込み始め、11分、エメルソンのクロスにファーサイドの寺川がループシュート。17分にはCKが3つ連続。CB遠藤のヘッドは千代反田がダイビングヘッドでクリア。山口のヘディングシュートは増川が弾き出す。
 ここでストイコビッチ監督は小川に代えて杉本を投入。早すぎる交代に疑問を持ったが、なんとそこから先制点が持ち込まれた。21分、左SB阿部からの大きなサイドチェンジに杉本が抜け出し、クロスに玉田が飛び込んでグランパスが先制。ケネディがファーへ逃げて空いたスペースに玉田が飛び込んでのすばらしいゴールだった。
 その後はようやくグランパスもペースを取り戻し、23分には中盤からドリブルで抜け出した杉本のシュートがポストを叩くなど、惜しい場面を演出。しかし次第にこの1点を大事に守りぬこうという守備的な意識が高まっていく。28分、ベルマーレは田原から阿部とつなぎ古林がドリブルからシュート。グランパスも29分、ダニルソンミドルシュート。33分、永田の強烈なミドルシュートには増川が身を投げ出してゴールを阻止。35分、グランパスも田中のミドルシュート。杉本のクロスにケネディがヘディングシュート。
 ロスタイム3分。最後はグランパスの守備ラインが下がってベルマーレの猛攻を浴びる形になり、何度も危ない場面があったが、優勝へのカウントダウン、サポーターやベンチサイドの盛り上がりの中で最後までイレブンの集中力が途切れることなく、最後は楢崎の優勝を告げるゴールキックとともにタイムアップの笛が吹かれ、記念すべきグランパスの初優勝が決まった。
 本当に長かった。最後はまるで18年間のグランパスを象徴するように苦しかった。が、乗り越えた喜びは格別。この日、名古屋ではドラゴンズの優勝パレードに沸き返ったが、日本シリーズで勝てなかったその悔しさをグランパスが補って、なお余りある喜びをもたらした。
 その後、昨夜は遅くまで、テレビ局各社が放送するスポーツニュースと特別番組を追いかけて見てしまった。シャンパンファイト、インタビュー、NHKの特集番組では早野さんのマシンガントークの前に硬かった選手たちも、民放では次第に言葉数も多く弾けていった。待ちに待った喜びは時間をかけて爆発していく。今私もじわじわとそんな喜びに満たされている。