とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

アントラーズも今シーズンを象徴するような試合だった

 グランパス戦中継の裏でアントラーズ戦もやっていた。実はグランパス戦もちょうどその時間に都合があって、生では見られなかった。ブルーレイ・レコーダーでグランパス戦を、DVDレコーダーでアントラーズ戦を録画していたのだが、妻にチャンネル争いで負けて、DVDに録画したアントラーズ戦を先に見終えた。
 J2降格をFC東京アルディージャらと競っているヴィッセルだが、最近はかなりいいゲームを展開している。前節のフロンターレ戦で小笠原の勝利への人並み外れた執着心を実感。よもやアントラーズが負けることはあるまいとは思ったが、簡単に勝てる相手ではないとも思っていた。
 アントラーズマルキーニョスが負傷欠場。これは少し危ないと思った。が、試合巧者のアントラーズのこと、どういう形であっても点を取りにくるとも思った。油断ならない、と。
 ところが立ち上がりからヴィッセルが積極的に前に出る。積極的に縦パスを入れて、大きなサイドチェンジのパスでアントラーズを揺さぶる。5分、CKから北本のヘディングはバーに当たる。10分、アントラーズも遠藤から野澤のクロスにフェリペ・ガブリエスがシュートを放つがDFがブロック。14分、ボッティのポストからポポがクロスを入れ、パク・カンジョがヘディングシュート。19分には左SH小川が新井場と競りつつドリブルで前進、最後は振り切ってゴール前にクロス。
 アントラーズは16分フェリペ、21分遠藤とミドルシュートを放つが、単発的。興梠がボールに触る場面はほとんど見られない。25分、カウンターからボッティのパスをポポが持ち込み、クロスに小川が飛び込むが、惜しくもGK曽ヶ端がクリア。40分、ジウトンから興梠のパスに遠藤が抜け出しGKと一対一になるが、徳重がセーブ。ここが最大のチャンスだった・・・。
 後半1分、ヴィッセルが田中のパスからパク・カンジョがクロスを入れ、DFのクリアを田中がシュート。するとその直後、遠藤のスルーパスに興梠が抜け出してシュート。両チーム、勝点3をめざした攻撃的な姿勢が現れる。が次第にヴィッセルの積極性がアントラーズを上回る。5分、興梠と競り合った田中がドリブルで抜け出し、ポポがシュート。サイドネットを叩く。10分、ボランチ三原のミドルシュートは枠に飛ぶが、GK曽ヶ端がナイスセーブ。
 選手交代もヴィッセルが積極的。17分、パク・カンジョイ・ジェミンに代えると、その直後、三原が田中とのパス交換から前進し、イ・ジェミンを走らせクロス。惜しくもポポに合わない。19分にはポポのFK。しかし当たり損ねて力なく枠を外れた。
 アントラーズが選手交代をしたのはようやく20分。遠藤に代えて大迫を投入。これで少しゴールに近い位置に拠点ができ、アントラーズがゴールに迫る。25分、大迫のミドルシュート。しかし、ボールキープしてパスを回すものの決定的なパスや動きがなく攻めあぐねる。ミスを拾われヴィッセルがカウンターを仕掛けるが、こちらも疲れからミス多発。それでも守備では北本が、石櫃が、茂木が、田中が身体を張った守りで競り合い、パスをブロックする。
 40分、野澤のクロスに興梠が飛び込むが、石櫃が抑える。43分、大迫がドリブルでゴールに迫りシュートを放つがサイドネット。ロスタイムには、イ・ジェミンにシュートを打たれる場面もあって、最後まですっきりしない内容で得点を奪えず、悔しいドローでゲームを終えた。
 振り返ってみれば、失点も少ないが、得点も少ない今シーズンのアントラーズを象徴するようなゲーム。前節のフロンターレ戦のように一旦勝ち越せば、試合巧者ぶりを発揮して、鉄壁の守備で1点を守り抜くが、得点はマルキーニョスの個人技や抜け目ないセットプレーなどでしか取れない。もともと強くて巧いチームだが、今年は巧さが勝り、勝ち切れなかった。
 結局、グランパスとの差は勝利と引分けの数。グランパスは得点を求め、1点を挙げれば守り切った。アントラーズは守りを重視し、無理してまで得点を追求しなかった。その差である。そしてこの優勝が決まった第31節も、両チームともそのようなゲームを行い、そのとおりの結果を得た。
 ところで天皇杯順々決勝は、グランパスアントラーズ、この両チームが対戦する。今年リーグ戦ではアントラーズに勝てなかったグランパス。一方、アントラーズ天皇杯だけはという思いだろう。見逃せないゲームになりそうだ。