とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ブラジル 剛と柔の対戦 九死に一生のドロー

 グループリーグ第1戦、ベネズエラ相手にスコアレスドローに終わったブラジル。ネイマール、ガンソにパトという若い攻撃陣がなかなか噛み合わず、調子が出ない。このパラグアイ戦では右WGにジャジソンを入れるが、序盤はブラジルらしさが見られない。
 逆にパラグアイは積極的に攻めてくる。左SHエスティガリビアが1分、ミドルシュートを放つと、2分にはバリオスのスルーパスサンタクルスが抜けてシュート。惜しくも外した。ブラジルは12分、CBチアゴ・シウバのフィードがパトにわたるが、GKが抑えてシュートは打てず。
 前半はパラグアイが押し込む。特にエスティガリビアがいい。ブラジルの右SBダニエウ・アウベスが再三手を焼く。それでもブラジルには底力がある。19分、ルシオからのパスをガンソ、ジャジソンとワンタッチでつなぎ、スルーパスにパトが抜け出しシュート。GKビジャール、ナイスセーブ。ようやくここからブラジルが押し戻し始め、ゲームは膠着状態。両チームなかなか前に運べない展開。
 ところがこうした中でブラジルが先制する。39分、MCラミレスがゴリゴリとドリブルをし、倒されても立ち上がるとボールはガンソへ。スルーパスにジャジソンが抜け出しシュート。あっという間にブラジルが先制する。さすがというか、一瞬の出来事。
 しかし後半初め、そのジャジソンに代えてエラーノを投入。自ら試練を試しているのか、また一から連携を作り直す感じ。10分、パトからのパスを追いかけて右サイド深くまで走ったネイマールがそこから中へドリブル、シュートを放つ。
 するとその直後のGKから。エスティガリビアが右サイドをドリブルで上がりクロス。これにサンタクルスが合わせゴール。パラグアイが同点に追い付いた。
 12分にはバリオスに代えてバルデスを投入。前線をかき回す。ブラジルも21分、ガンソのスルーパスネイマールが抜け出すがGKセーブ。ガンソは運動量は少ないが、一瞬のパスで決定的局面をつくる。アルゼンチンの元代表MFリケルメのようなタイプ。これはこれで面白いが、パラグアイのような汗をかくサッカーとは対称的。剛と柔という感じ。対称的ながら互角。
 このまま引き分けかと思ったら22分、中盤底からオルティゴサのフィードにMCリベロスが飛び出し、ダニエウ・アウベスの軽い守備をかわして前を向くと、サンタクルスにつないで横パスにバルデスが走り込みシュート。ブラジルのCBルシオもすぐに戻って足を伸ばすが、シュートはルシオの足に当たってはね返り、バルデスの身体に当たってゴールに吸い込まれた。パラグアイが勝ち越し。
 パラグアイリベロス、エスティガリビアに代えてビクトル・カセレス、マルティネスを入れて守備固め。ブラジルもルーカス、フレッジを入れて反撃。だが、なかなかパスがつながらず反撃が形にならない。逆にパラグアイは38分、左SBトーレスのフィードにMCベラが抜け出し、GKと一対一。しかし横パスはゴール前を抜けていった。
 ブラジルは40分、エラーノが強烈なFKを放つが、GKビジャールがナイスセーブ。粘り強い守備の前にブラジルの攻撃が形にならず、このまま敗戦かと思った45分。左SBアンドレ・サントスが前に入れたパスをガンソがワンタッチパス。これにフレッジが抜け出しシュート。ギリギリでブラジルが同点に追い付いた。
 まさに九死に一生。ここで負けていれば、まさかのグループリーグ敗退もあり得た。いや、まだ抜け出したわけではない。このまま連携が取れないままなら、次のエクアドル戦に敗れることも十分ありうる。南米大陸はもう、ブラジルとアルゼンチンが絶対的な2強だった時代ではなくなった。