とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

調べてもわからないサッカーのすべて

 週刊サッカーダイジェストに「本郷すぐ調べるFC」として連載したコラムに後日談ミニコラムと、ガンバの遠藤、フロンターレ中村憲剛へのインタビューを付け加えたもの。コラムの企画コンセプトが「とにかく興味を持ったことを何でも調べてみる」というもの。対象はJリーグ
 調査内容は、得点後・失点後の得失点からみるチームの性格。退場とPKのダメージ効果。ラッキーシュートをねらって積極的にシュートを打つことに効果はあるのか。弾丸ミドルシュート、J最速の男は誰だ。本当のスーパーサブは誰だ。GKはどれだけ走っているのか。Jリーガーの人口ピラミッドなどとにかく千差万別。
 興味深い調査項目もあれば、大して面白くないものもある。また調査した結果、意外な結果というものもあって面白い。例えば、セカンドボールを拾うことが大して結果につながっていなかったり、PKよりも退場の方が厳しいんじゃないの、とか。まあ、調べたと言っても著者がDVDレコーダーを使ってビデオを止めつつ、ただひたすら数えるといった力技が多いから、どこまで正しいかもよくわからない。でもそのがんばりと汗が見えて、それもまた面白い。
 ま、いろいろと興味を持つことはいいことだけど、苦労の割に成果が出ないことって多い。逆に、世の中には持論を説明するためにデータを捏造・曲解して利用する人も大勢いる。そういう意味ではこうした素人チックな力技調査も別の意味での教訓になっている。それにしても猪狩さん、ご苦労さまでした。

調べてもわからないサッカーのすべて

調べてもわからないサッカーのすべて

●今回の調査結果からすると、ゲーム展開のバリエーションを乏しくして観客の興味を半減させてしまう退場という処分は、人間である審判が下すには、ちょっと重大過ぎるもののようにも思えます。(P022)
●勝負の世界では、偶然をいかに取り込んで利用するかという方法論も同時に必要だとは思います。・・・潔癖すぎる完璧主義を掲げているだけでは、逆に完璧には近づきにくい。ヘタな禅問答のようですが、そう思います。(P055)
●セカンドボールを多く拾えていた時間帯と決定的なチャンスとの間に、目立った関連はありませんでした。・・・うーむ……。・・・とりあえず出てきた結果からちょっとした推測を。/まず、相手にセカンドボールを拾われることが連続している時間帯は、劣勢に立った側のチームの選手たちの間で、「いまはまずしっかり守ろう」という意識が共有されるのではないかということ。・・・そしてもうひとつ、セカンドボールを拾うことの最も大きな効果とは、結局のところ、相手に精神的なダメージを与えていくことなのではないか、ということです。(P170)