とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

結局、行政の責任?

 北関東や東北における水害では、依然多くの方が避難を余儀なくされ、家屋が流された方も多く、心が痛む。今後、仮設住宅の建設なども始まるのだろうか? 個人的には職業柄、民間賃貸住宅を借り上げる、いわゆる「みなし仮設住宅」でどれだけ対応するのか興味を持っている。

 それはさておき、当初、メディアの報道は雨量の多さに着目し、「50年に一度」とか、「観測史上最大」といった修飾語を付けて豪雨の異常さを訴えていた。「50年に1度」というのは誰が言い出した言葉なのか。たぶん河川行政上、50年に一度の確率と想定している雨量を上回ったという意味だろうが、これはすなわち、「50年に一度」の雨量に対応した河川整備ができていないことを示唆している。しかし「50年に一度」に対応した河川整備が完了している河川は多くないことから、「越水してもしょうがない」という意味を含んでいたはずだ。

 一方、「観測史上最大」というのは、最近の情報技術の発展により、雨量観測点が急速に増加していることから、その観測点で観測を開始したのが何時からかを合わせて説明してもらわないと、どの程度の雨量なのかがわからない。50年以上前から観測を続けてきて、最高の雨量というのなら先ほどの「50年に一度」に符合するが、そこまで理解して報道していたとは思えない。そして1日もすると、こうした修飾語は使われなくなった。

 次に報道されたのが、ソーラーパネル設置のため、自然堤防が撤去されていたというニュースである。これは市議会でも問題となり・・・と一時は主因説になるかと思われたが、堤防決壊場所がこれより下流ということもあり、太陽光発電事業者犯人説は急速に下火となった。でもたとえ主因ではなくても、もっと追及されてしかるべき問題だと思うが、どこかから圧力でもかかったのだろうか。

 そして一昨日あたりから問題とされているのが、市の避難指示が出されていなかったことだ。堤防決壊地点から下流の下三坂地区では避難指示が出されたものの、決壊した上三坂地区については避難指示が出されていなかったとして、市長が謝罪する事態に至っている。「決壊地点を見誤った」というのが謝罪時の理由だが、市役所がどこまで正確に河川の堤防決壊地点を推測できるのかは疑問。河川管理をしているのは国交省なので、国の河川管理事務所から何時どういう情報が市役所に届けられたのかを確認する必要がある。

 ネットでは「すぐに謝罪会見をした市長は偉い」なんて意見もあったようだが、それはそれとして、問題は市役所の避難指示の有無ではなく、どういう情報がどういうタイミングと手続きで伝達され、行政判断に至ったかということだ。避難指示を出さなかった市役所を批判したところで次の災害に向けて、何の役にも立たない。どうして避難指示を出さなかったのか、出せなかった理由があったのではないか、今後的確に避難指示を出すためにはどうしたらよいか。そうしたことを追及してこそ意味があるのだが、そこまでは踏み込まない。結局メディアは、行政責任を追及してそれで終わるんだなと脱力感を覚えた。