とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

サッカー番狂わせ完全読本

 ジャイアントキリングと言えば、昨シーズンのレスターこそ将来にわたって語り継がれる代名詞となるだろう。だが本書の発行は昨年の4月。残念ながらまだレスターに岡崎も移籍していない。それで本書で取り上げるのは、2014年W杯ブラジル大会でのコスタリカの活躍と、2014年にJ1昇格を決めた松本山雅北信越2部リーグからの躍進。

 だがその前に、第1章では[金星]と銘打ってジャイアントキリングのあったゲームを紹介。さらに第2章では[躍進]として、大会やシーズンを通じて躍進したチームを紹介する。だが、第1章の最初に紹介されるのが2014年5月のJ2、湘南ベルマーレを破った愛媛FCのゲーム。あれ、そんなゲーム知らないや。何でも当時、開幕から14連勝だった絶好調の湘南ベルマーレ愛媛FCが破ったというのだが、同じJ2チーム同士のゲームをジャイアントキリングと言っていいのか。

 その後は、96年アトランタ五輪での日本対ブラジルや、2012年天皇杯FC今治サンフレッチェを破ったゲームなど、これぞジャイアントキリングといったゲームも紹介されるが、文面は少なく、ゲーム紹介に留まっている。第2章でも2011年ドイツW杯での日本の優勝をジャイアントキリングとして取り上げているが、それでいいのか。

 第3章「伏兵コスタリカの躍進」は、章を立ててピント監督や他チームの監督の談話などを紹介し、それなりに面白いが、第4章「松本山雅ジャイアントキリング」は、反町監督の談話をそのまま収録していて、筆者がポイントと考える事柄があまり伝わってこない。そもそも反町監督自身もチームの躍進をジャイアントキリングとして捉えることに必ずしも承服していないようで、それよりは素直に、「松本山雅の躍進」として1冊の本にすればよかった。その種の本は既に多く出版されているようだが・・・。

 ということで、正直、あまり面白くなかった。「フットボール批評」誌の読者プレゼントで当たらなければ読まなかったかも。それにしても、応募してから1年経ってようやく送られてきた。応募したことも忘れていた。ま、自分では買わないだろう本を応募しているんだけど・・・。

 

サッカー番狂わせ完全読本 “ジャイアントキリングはキセキじゃない

サッカー番狂わせ完全読本 “ジャイアントキリングはキセキじゃない"

 

 

○実はこのシステム、97年4月にユベントスとの対戦に[4-4-2]で試合に臨んだ際、左SBのジェノーが退場してからも後ろが1人少ない[3-4-2]のまま戦い、強豪相手に3-0で完勝したことが発明のきっかけだった。次のパルマ戦では前線に1人加えた[3-4-3]で臨んだ。ここからザッケローニ監督はこのシステムを固定的に用いて洗練させ、97-98シーズンの大躍進につながったのだ。(P81)