とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

1993年5月15日 Jリーグ開幕戦 ヴェルディ川崎vs.横浜マリノス

 新型コロナの影響で今、サッカーを始めとする様々なスポーツが世界的に中止となっている。当然、テレビ中継もないのだが、NHK-BSではこれを機に、過去のスポーツの名勝負の再放送をしている。1993年のJリーグ開幕戦も放送されたので、久しぶりにフルタイムで観戦することにした。これまでもマイヤーの先制点のシーンなどは観ることも多かったが、90分フルに観ることはなかった。実に27年振り。Jリーグが開幕した時、私もテレビで観戦した。その時以来の観戦だ。

 ヴェルディの布陣は4-4-2。武田とマイヤーの2トップ。三浦カズが右SH、ラモスが左SHに入るが、この二人はサイドというよりもトップ下の位置でプレーすることが多い。ボランチは柱谷とハンセン。しかし中継の中では「ボランチ」という言葉は聞かれず、「ワイパー」と呼ぶ。当時はまだ「ボランチ」という言葉が定着していなかった。ワイパーという言葉もすっかり聞かれなくなったが。DFは右SBに中村、左SBは都並。CBにペレイラ加藤久。GKは菊池新吉

 対するマリノスは4-2-3-1。もちろんチーム名に「F.」は入っていない。ラモン・ディアスをトップに、トップ下にビスコンティ木村和司が右SHに入り、左SHは水沼。ボランチは野田とエバートン。4バックは右SBに勝矢、左SB平川、CBは井原と小泉。GKは松永。両チーム、錚々たるメンバーが揃っている。平均年齢はともに29歳だそうだ。

 序盤、ヴェルディが積極的に攻めていく。2分には左SHラモスのFKが壁に当たる。その後もCKが4本続く。6分には右SH三浦のクロスにFW武田が競って、こぼれ球を右SB中村が拾い、クロス。FW武田が胸で押し込んでシュートを放つが、GK松永がファインセーブした。マリノスの初シュートは7分、CH野田が放つが、大きく枠を外した。その後は互角の展開が続く。三浦カズがドリブルで仕掛ければ、マリノスもCFラモン・ディアスが仕掛けてゴール前に迫る。

 そして20分、FWマイヤーが左サイド中盤からCB小泉を外してミドルシュート。これがゴールに飛び込む。これまで何度も見たが、やはりすばらしいシュートだった。これでエンジンがかかったのがマリノス。25分、右サイドにいたSH水沼が中へのドリブルからミドルシュートを放つ。28分には右SH木村和司のFKに左SB平川がヘディングシュートするが、DFがクリアした。

 テレビ中継に経過時間が表示されない。当時はそうだったんだ。それでこの記事での時間表記は適当な部分もあるので注意。終盤はヴェルディも攻める。37分、左サイド遠目のFKからCBペレイラがドリブルで上がると、クロスに左SB都並がヘディングシュート。しかし枠は捉えられない。41分には右SH三浦カズのクロスをFWマイヤーがポスト。落としをFW武田がゴール前に持ち込もうとするが、最後はGK松永がセーブした。42分、マリノスのCHエバートンがドリブルからシュート。だが左に外した。前半はヴェルディの1点リードで折り返した。

 後半開始からヴェルディが武田を下げて、右SHに北澤を投入する。FWはマイヤーのワントップ。三浦がトップ下に移る。後半は序盤からマリノスが攻めていく。そして4分、左SH水沼の仕掛けでCKを得ると、右SH木村和司がショートCK。左サイドに下げると、フリーのエバートンが狙い澄ましたミドルシュート。ゴール右隅に突き刺さった。マリノスが同点に追い付く。エバートンが余りにフリーだった。

 それでもヴェルディは11分、OH三浦カズのCKがファーに流れたところを左SHラモスが拾い、クロスにCH柱谷がヘディングシュート。枠を捉えられない。マリノスの守備がしっかりしている。そして15分、CB井原からのフィードを右SH木村和司がヘディングで落とすと、左SH水沼がドリブルでDFの間を割って入り、シュート。GK菊池がナイスセーブしたが、はね返りがCBペレイラに当たってこぼれる。すかさずCFラモン・ディアスがシュート。マリノスが逆転した。

 その後はヴェルディが攻める。22分、右SH北澤のミドルシュートはDFがブロック。23分、OH三浦カズがドリブルで仕掛けて、左に流すと、CHハンセンがミドルシュート。しかしポストの左。マリノスも25分、CFラモン・ディアスをポストに、OHビスコンティが仕掛けると、クロスに右SH木村和司ボレーシュート。だがGK菊池がナイスセーブ。その後も攻めるヴェルディ。32分、左SHラモスがドリブルで上がると、CFマイヤーとのワンツーから右に送って、OH三浦カズがシュート。しかし右SB勝矢がブロック。こぼれ球を右SB中村がミドルシュートするが、枠を捉えられなかった。

 36分にはCB加藤を下げて、FWに阿部良典を投入。当時19歳。でもその後は活躍できなかった。その後は攻めるヴェルディ、守るマリノス。44分には左SB都並の縦パスにCB柱谷が走り込み、クロスにOH三浦カズがヘディングシュート。だがGK松永が正面でがっちりキャッチした。当時はロスタイムが短い。しかも時間の表示なし。その後1~2分でタイムアップ。マリノスが記念すべきJリーグ開幕戦を逆転で勝利した。

 マイヤーの先制点はよく紹介されるが、エバートンの同点ゴールも劣らず素晴らしかった。初代得点王のラモン・ディアスだが、最初のゴールも彼らしいゴッツァンゴールだった。カズは彼らしいドリブルを再三見せていたが、周りがうまく動いていない。これも開幕戦の緊張の故か。逆転ゴール時の木村和司の落としはよかったが、その他はFKとCK以外、ほとんど見せ場がなかった。一方、水沼はよく特長を見せていた。そしてCB井原のさすがのプレー。それぞれの特徴がよく見えるゲームだった。たまに見るのは面白いかも。でもやはり生のゲームを観てみたい。