とんま天狗は雲の上

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日銀による国債の債権放棄で財政規律は保てるかもしれないが、貧富の差はさらに拡大する。

 日銀が27日に追加の金融緩和を決定したという報道があった。国債買い入れの上限を撤廃するとともに、社債やCPの購入枠の拡大、金融機関への資金供給の拡充などが主な内容だが、実需がこれほど落ち込んでいる時に、社債や金融機関への資金供給など需要があるとも思えない。結局、特別定額給付金など国の経済施策に伴い増発される国債の購入枠を撤廃するということで、当たり前と言えば当たり前の対応。でも、生活困窮者への経済的支援は今後も継続的に進めていく必要がある。そしてその原資は国債発行にならざるを得ない。国債は将来世代への借金とも言うが、無制限に続けていって大丈夫なんだろうか。

 乏しい私の経済的な知識では、国債を無制限に発行し続ければ、ハイパーインフレが起きると思うのだが、昨年あたりから話題のMMT理論では「自国通貨建ての政府債務であれば問題ない」という。しかも今回は日銀だけでなく、アメリカのFRBを始め、ほとんどの国で緊急の財政出動が行われている。みんなで渡れば怖くないのか。今回の日銀の発表以降、いやそれ以前から、経済系のメディアではこの種の記事が多く掲載されているようだが、正直、素人にはわかりにくい。財政規律とか、大本から考えるとわかりにくいので、庶民目線の末端から考えてみよう。

 特別定額給付金は全国民に支給されるが、生活に困窮す者にとっては当面これで食べていかなくてはならない。また家賃等も考えれば、給付金だけでは足りないだろうから、貯蓄も減っていくだろう。一方、大企業の社員など当面の給与は確保されている人々にとっては、外出自粛等により、カネはあっても使い道がない状況が続く。このため、特別低額給付金も含めて、貯蓄額は増えるはず。こうした状況が続くと、貯蓄を食いつぶし、ギリギリの生活を続ける貧困層と、貯蓄をさらに積み増す富裕層に二極化が進むことになる。

 そしてコロナ禍が収束した後はどうか。貯蓄額が増えた富裕層は従前以上に活発に消費を行うかもしれない。しかしネット購入の増加など、消費行動は大きく変化するだろう。一方、貧困層は何とか再び貯蓄ができる生活に戻ろうと努力するだろうから、必要な消費はするが全般的には倹約基調になる。また、その時には国債残高が膨大な金額となっており、政府は増税等で回収しようとするだろう。だが、生半可な増税では回収できないとなれば、最後のウルトラCとして、日銀が国債の債権放棄をするということも考えられる。もちろん投資家相手に国債の債権放棄を迫るということであれば問題だが、国と日銀の間であれば可能ではないか。しかも世界各国の中央銀行が同様の対応をするとどうなるだろう。意外に可能な方策のような気がする。

 ただ、こうして国の財務規律が回復しても、銀行預金は大きく積み上がった状況にある。これがどう影響するか。特にコロナ禍からいち早く立ち上がった中国や韓国などとの関係はどうなるだろうか。対元の為替レートは円安になるのかな? そうだとすれば、日本国内の土地や建物等が中国資本に買い占められる状況が今以上に進むかもしれない。(でも本当に円安だよね? 経済の国際関係については自信がない。)

 それでも国内経済については、日銀が国債の債務放棄をすれば、財政規律は保てる。ただ、今以上に貧富の差は拡大するだろう。逆にそれが大きな政局の変化をもたらすかもしれない。新型コロナウイルスの感染が過ぎ去った後、僕らはどんな世界を見ることになるのだろうか。怖いもの見たさの好奇心はあるが、それが楽しい社会とは限らない。