とんま天狗は雲の上

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結婚制度と性生活

 LGBT法は、法制定をしたという以上の意味もなく、施行された。いったいこれで何が変わるのか、まったくわからない。やはり肝は結婚制度なのだろう。

 昨年、「同性結婚なんて気持ち悪い」と言った愛知県の県会議員が、4月の地方選に出馬することなく辞職した。個人的に、この県議がアホなのは知っていたので、この発言も彼ならさもありなんとは思ったが、正直、わからないではない。たぶん彼は同性愛者の性行動を想像し、「気持ち悪い」と言ったのだろう。「気持ち悪い」と思うのは個人の感覚だが、それを公人の立場で、しかも同性愛者のSNSに向けて投稿したというのは、まさに彼がアホな点だ。たぶん「個人のウソ偽りない感想を言って何が問題なのか。表現の自由だろ」くらいに思っていたのだろう。

 彼のことを言いたいわけではない。私も同性愛者の性行動を想像すると、「気持ち悪い」というよりは、「実際のところ、どうしているのだろう?」と疑問に思う。まあ、異性同士の性行動だって、冷静に見る機会があれば、十分気持ちが悪いようにも思う。

 でもそのことと、同性愛者またはLGBTQ等の人々が一緒に暮らしたいという思いを持つことは別だ。親元から離れ、独り立ちすると、誰かと一緒に暮らしたくなる。性衝動もあって、多くの場合、相手は異性のことが多いが、性生活を別にすれば、気が合って、老後まで一緒に暮らしたいと思う相手は、別に異性に限らないのかもしれない。縁に恵まれず、老後、兄弟姉妹で暮らす人も少なからずいる。夫に先立たれた女性が集まって一緒に暮らすことも最近はあるのではないか。

 そもそも結婚って何だろう? 性生活が不可能なカップルは結婚できないという規定があるわけでもない。とすれば、結婚制度が異性にこだわる理由もない。「同性婚を認めないのは違憲状態」という判決も最近は出ている。問題は、血縁関係にない二人が一緒に暮らす時に生じる様々な不都合にどう対応すべきかということだろう。相続問題、医療現場での問題、扶養控除等の税法上の不利益、生命保険の受け取り、養子の共同親権など、ネットで検索すると多くの不利益や不都合が挙げられている。

 そして、これらの不利益や不都合を解消してあげることで、われわれにどういう不利益が生じると言うのだろう? LGBT法では、女装した男性が女子トイレや女風呂に入浴することを訴える人々がいたが、同性婚を認めることによる不利益について彼らは何を訴えるのだろうか。LGBTQの人々に対する差別の解消も重要だが、その前に結婚制度を認めることの方が障害は低いのではないか。いったい彼らは何を恐れているのだろう? 岸田首相は「社会が変わる」と言った。社会が変わると何がいけないのか? いい方向に変わるのであれば大歓迎ではないか。