とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

アルガルベ杯 順位決定戦 日本対アイスランド

 アルガルベ杯アイスランド戦を観た。9位・10位決定戦だが、この際順位はどうでもよい。今の日本にとっては、強すぎず、自信を取り戻すには手頃な相手だったのではないか。先発は有吉を除いて他はフランス戦と総入れ替え。中1日の日程でそういう選択ができるのもグループリーグで3位となったおかげだ。
 だが、やはりと言うべきか、このメンバーでは攻撃の連携ができていない。特にFW高瀬が全く周りと合っていない。攻め込んではいくが、なかなか攻撃の形ができない。8分、上辻のCKからCB岩清水がヘディングシュート。枠を外す。急造メンバーながら、左SH鮫島と左SB上尾野辺の左サイドはお互いに上下を入れ替えて何とか形を作ろうとしている。21分、FW高瀬がミドルシュート。彼女はこれ位しか攻撃に絡めない。23分、CH上辻の縦パスから右SH永里が右に展開。右SB有吉がシュート。GKサンドラのナイスセーブに阻まれた。
 右SB有吉は今大会を通じてよく活躍し目立っていた。近賀に思い切った攻め上がりがあまり見られない中では、有吉の方が攻守のバランスの点で勝っているかもしれない。鮫島はやはりその攻撃センスと正確なパスが魅力だ。左サイドで作って右サイドで決めるというのは日本の形となり得る。また、もう一人、今大会で目立っていたのはGK福元。今回、3人のGKを全員起用したわけだが、やはり安定感とDF陣への指示という点で福元が群を抜いている。
 32分、アイスランドが右サイドを突破し、FWファンディースのクロスに右SHラケルが走り込むが、右SB有吉がチェックに入りクリアした。こうした守備力も有吉にはある。日本も40分、永里とポジションを交換して右SHに入った安藤のクロスから左SB上尾野辺がシュート。ポストに当たった跳ね返りをFW高瀬がシュート。さらにDFのブロックをFW永里がシュートするが、ゴールに入らない。前半はスコアレスで終わった。
 後半頭から、上辻、永里、高瀬に代えて、CH宇津木、OH宮間、CF大儀見を投入する。4-2-3-1で宮間をトップ下で起用。やはりこの方が攻撃力は数段高い。さっそく2分、CH宇津木の縦パスをCF大儀見が落とし、鮫島とポジションチェンジをして上がっていた左SB上尾野辺の縦パスにCH宇津木が走りこむ。クロスにOH宮間が合わせてシュート。日本が先制点を挙げる。
 さらに13分、右SH安藤がドリブルで中に切れ込んで左に展開。サイドに開いたOH宮間のクロスにCF4大儀見が走りこみ、ヒールで流し込む技ありシュート。しかしこれはGKサンドラがスーパーセーブ。直後の14分、今度はCF大儀見から左に展開。左SB上尾野辺のクロスにOH宮間がシュート。最後、大儀見が押し込んで2点目を入れる。さすが、大儀見と宮間が入ると攻撃力が違う。
 しかしそれを支えているCH宇津木の存在を忘れてはならない。今大会でブレークした最大の存在が宇津木だ。攻守によく顔を出し、その存在をアピールした。攻め上がりも積極的でゴールを演出する。澤の代わりはこの人に決定。宮間をOH又は左SHの攻撃的なポジションに置くのがベストの布陣ではないか。左SB鮫島との相性を考えれば、左SH上尾野辺もいい味を出している。その場合、右SHは川澄か。右SBに近賀が復活してくれば、右サイドのコンビもできてくるはず。
 37分、左SB鮫島のクロスにCF大儀見がシュート。全くのフリーだったが、大きく枠を外してしまった。彼女らしからぬミス。だがもちろん大儀見もなでしこジャパンには欠かせない。FW菅澤が後半途中から出場し、彼女らしい飛び出しやポストプレーを見せていた。今や高瀬を完全に抜いたといって過言ではない。40分、右SB有吉のシュートをGKサンドラがナイスセーブ。そのこぼれ球をFW菅澤が狙ったが、DFにブロックされた。
 アディショナルタイムには右SH大野のクロスをCH阪口が落とし、左SH宮間がミドルシュート。DFに当たりコースを外れる。CH阪口も地味だが欠かせない選手。ここぞという場面で彼女のヘディングは頼りになる。今大会では何度か阪口のところでボールを奪われピンチを迎えるシーンがあった。阪口だけの責任ではないが、うかうかしているとCB川村にポジションを奪われかねない。川村も今大会、存在感を見せた選手の一人だ。
 結局、今回のアルガルベ杯は2勝2敗といい戦績ではなかったが、W杯に向けてはいい準備ができたのではないか。個人的には猶本や横山など若手をもっと積極的にメンバーに入れてほしい気がするが、佐々木監督がどういう選考をするだろうか。いつ選考発表があるんだっけ。澤をどうするかも含め、これからが楽しみだ。