とんま天狗は雲の上

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渋沢栄一は5年も待ってくれるだろうか

 紙幣が20年ぶりに刷新されることになった。最初にこの報道を聞いた時は、まさか5月の天皇即位に間に合うわけもないし、いったい何時のこと?と思ったが、なんと5年も先もことだという。

 渋沢栄一と言えば都市計画関係者の間では、田園調布を開発した人として有名だが、田園調布の場合は1918(大正7)年に田園都市株式会社を設立し、用地買収を始め、分譲開始は1923(大正12)年。この間、5年がかかっている。なんと紙幣刷新は田園調布開発と同じ大事業だったのか。

 ちなみに田園調布開発の場合は、分譲に先立って目蒲線が開通している。今回の紙幣刷新も、新紙幣発行に先立ってATMや自販機、レジなどの改修が不可欠だから、確かに大事業には違いない。しかし渋沢栄一の場合は、鉄道設置も自らの会社である東急電鉄が実施している。今回、政府は紙幣の印刷をするだけで、ATMなどそのための環境開発はすべて民間に丸投げだろうから、関連企業にとっては迷惑なことだ。そしてその経費は巡り巡って消費者が負担することになる。ATM改修等による景気浮揚策かもしれないが、10月の消費税増税への対応でバタバタしているこの時期に、さらにその先の仕事を見せ付けられて、ゾッとしている人も少なくないだろう。

 紙幣刷新のニュースに対してTwitter「もうサーカスは十分すぎですのでパンをください、パンを」というコメントがあったが、まさにそのとおり。しかもサーカス開催は5年も先。その前にパンをもらえなければ、サーカスを観ることもできません。

 でも、東京五輪後の5年先にそんな余裕があるのだろうか。下手をすると、ハイパーインフレが起こって「1万円札じゃない。欲しいのは100万円札だ!」なんてことにならないか。渋沢先生、登場は5年先です。それまで待っていてください。でも大蔵省で働き、紙幣等を印刷する国立印刷局の前身、紙幣寮の頭も務めた渋沢栄一のこと、「紙幣発行ごときにそんなに待てるか!」と叱られそうな気がする。