とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

久しぶりに主治医から説明を受ける

 「入院後、初めての面会。そして一般病室へ。」からの続き

  • 6月6日に記す

 2日に一般病室へ移って以降も、毎日夕方、娘と一緒に面会に行く。3日には鼻につないだチューブが取れ、排便・排尿もおむつに移行した。それに伴い、ミトンも外してもらっていた。また食事も流動食を始めたようで、ベッド下のごみ箱には豆腐のパックが落ちていた。4日には喉呼吸用のホースも外されており、痰の絡みもだいぶ良くなってきた様子。意識もある程度しっかりしており、「面会はまだ1日1回15分なんだよ」と伝えると、びっくりした顔をしていた。帰り際に手を伸ばすので、指先でE.T.タッチ。でも実際は、指先に付いた酸素量測定器を取ってほしかっただけかもしれない。

 5日になって、「主治医の先生から説明があります」と電話があり、翌日の朝9時に病院へ行く。まず、脳のCT画像を見せてもらうが、入院した5日、そして脳室ドレネージ手術を受けた8日の画像と比較して、脳内の出血は全くなくなり、脳室も元の大きさに戻っている。先生からは、入院した時は「半分、死も覚悟していた」と言われたが、ここまで持ち堪えてこられたのも先生たちのおかげだ。

 また、血糖値等の数値もかなり改善されたとのこと。ただしこちらは、これから食事やリハビリが始まっていくと、再び上昇する可能性もあり、よく監視しながらコントロールしていく必要がある。今も1時間程度、立ち上がったりしてリハビリをしているということだが、併せて、喉に装着した器具「カニューレ」を、様子を見て次はより細いもの、さらに発声のできるスピーチカニューレへと取り換えていくことも必要だと考えていると言われた。

 そして実はここからが本題。「リハビリを始めたが、当病院では1日1時間程度のリハビリしかできないため、ある程度回復したら、1日4時間程度はリハビリのできるリハビリ専門病院へ転院をすることを勧めたい。その方が社会復帰も早くなる」とのことで、「ついては、別途、相談員から連絡をするので、調整をしてください」ということだった。また、「リハビリ病院もベッドの空きが少なく、2週間程度は待つ必要がある」そうで、「そういう意味でも早めに説明をさせていただいた」と言う。

 リハビリ病院への転院はある程度覚悟していたので、そのことは同意。だが、どの病院へ転院するかは多少考える必要がある。完全にカニューレが取れた上での転院かと思ったら、そうでもない様子。妻の場合、糖尿病のコントロールが重要なので、それがしっかりとできること。また、出血箇所が不明で、いつまた再出血するかもしれないので、その時に現在の病院とすぐに連絡が取れることが必要。週明けにも連絡があるということなので、これらのことはその時に相談しよう。

 まずは、くも膜下出血についてはしっかり回復していることにホッとするとともに、これからのリハビリ等の大変さに思いを馳せる。安心して家で迎えられる状態になるまでにどの位かかるのだろうか。今はまだ、玄関前の手すり工事を依頼しただけだが、他に準備は必要だろうか。まだまだ分からないことばかりだ。それでももう1ヶ月が過ぎた。これからも忍耐心を持ってがんばっていこう。まだまだ先は長そうだ。

 「リハビリ病院について決める」に続く。

力なき者たちの力

 2月の「100分de名著」で取り上げられた。すぐに図書館で予約したが、コロナ禍もあって、ようやく順番が回ってきた。わずか150ページの薄い本だが、内容はしっかりつまって、難解でもある。「100分de名著」を視たおかげで理解が進んだ。

 本書はハヴェルらによるビロード革命が成功する前の1978年に書かれ、地下で読み継がれてきたものだが、日本ではようやく2019年になって翻訳されていることを知って驚いた。だが、本書の射程は、単に共産主義下のチェコや東欧の状況だけでなく、西側の民主主義体制に対しても疑問を投げかけている。また、現在の日本や欧米各国で進みつつあるポピュリズム政治についても、その対象として読み込むことが可能だ。

 すなわち、本書でハヴェルが言っているのは、政治体制ではなく、「真実の生を生きるとはどういうことか」という倫理的な問いである。ポスト全体主義の体制は、けっして一部の人びとが独裁的に政治を牛耳っていたわけではなく、人びとが日々の消費生活と平穏を優先し、「嘘の生」を受け入れたことでシステムとして完成した。それはまさに現在の我々の姿ではないか。ハヴェルは人びとにけっして大きな行動を取るように促しているわけではない。「真実の生」に生きること。それがひいては社会全体を変えるだろうと希望を語るのだ。それは当時においても多くのチェコの人びとに勇気を与えたであろう。

 6月の「100分de名著」では、カントの「純粋理性批判」を取り上げている。そこでもカントは、実践理性に従い、倫理的に生きることを求めている。何か本書に通じるような気がした。コロナ禍の中で、「倫理的に生きる」ということの意味が問われている。推奨される「新しい生活様式」に迎合するのではなく、「真実の生」として、今の時期、どう生きるかが問われている。

力なき者たちの力

力なき者たちの力

 

 

イデオロギーとは世界と関係を築いていると見せかける方法のことであり、自分は…倫理的な人間であるという錯覚を人びとにもたらし…現状への迎合を隠すことのできるヴェールである。つまり、ありとあらゆるものに用いることができる口実である。…そのため、ポスト全体主義体制において、イデオロギーは大変重要な役割を担っている。…この複雑な装置は、すべてを管理し、権力の不可侵性を何重にも確実なものとする。(P17)

○ポスト全体主義体制の本質をなすのは、あらゆる人間を権力構造に取り込むことである。もちろんそれは…「体制のアイデンティティ」のために、人間のアイデンティティを放棄させ…「自発的な動き」全体の担い手となり…そのような関係性を通して、一般的な規範をともに形成し、他の市民に圧力をかけることになる。…すべてを権力構造に巻き込むことで、ポスト全体主義体制は…人びとによる「自発的-全体主義」の装置を形成する。(P30)

○消費の価値体系にとりつかれた人間、…生き残ることしか考えず、高次の責任を意識せず、存在の秩序に根ざしていない人間は、堕落した人間である。体制は人びとのそのような堕落を拠り所にし、それを強めるが、その堕落こそ社会を投影するものとなる。…「真実の生」は、逆に、みずから自身の責任を担おうとする試みである。それは、明らかに倫理的な行為である。(P44)

○法それ自体は、決してそれより良いものを生み出すことはない。…法の意義は、法自体にはない。…より良い生は、人間が生み出すものであって、法や組織が生み出すものではない。…つねにほんとうの生を背景に置き、ほんとうの生との関連において「合法性」を見なければならない。(P92)

○生が真に目指すものという点において、西側…の…人びとはより深い危機に直面している。/実際のところ、伝統的な議会制民主主義も、技術文明、産業社会、消費社会の「自発的な動き」に対する根本的な解決を提供していない…。民主主義社会の人びとは、ポスト全体主義の社会で用いられる野蛮な手法よりもはるかに狡猾で洗練された形でたえず操られている。(P112)

 

ブンデスリーガ第33節 マインツvs.ブレーメン

 ブンデスリーガバイエルンの優勝が決まり、残るはCL・ELへの出場権と2部降格への争いになった。40年ぶりの降格危機にある17位ブレーメン。今節は15位マインツとの対戦。勝てばかすかに自動残留の可能性が残る。一方、マインツにとっても残留に向けて勝利はマスト。残留に向けて、大迫の活躍が期待される。

 マインツの布陣は4-2-3-1。マテタをトップに、右SHオニシォ、左SHクアイソン。ボエティウスをトップ下に、クンデとラッツァのダブルボランチ。DFは右SBバク、左SBブロジンスキ。CBはジュストとニアカデ。GKはミュラーが守る。対するブレーメンは3-5-2。大迫とサージェントの2トップの下にビッテンコート。ボランチはクラーセンが前目でマキシミリアン・エッゲシュタインが下がり目に位置する。WBは右にゲブレセラシィ、左WBフリードル。CBはフォクトがケガで欠場し、代わりにグロスが入る。右CBはベリコビッチ、左CBモイサンデル。GKはパブレンカだ。

 序盤、ブレーメンが積極的に攻める。FW大迫もいつものようによく起点となる。4分、左WBフリードルのスローインをFW大迫が落として、FWサージェントがシュート。GKミュラーがナイスセーブ。5分にはCHクラーセンの縦パスからFW大迫がスルーパス。OHビッテンコートが抜け出すも、シュートはDFがブロックする。7分にはOHビッテンコートのクロスからFW大迫がシュートするもDFにブロックされた。マインツも11分、右SHオニシウォのクロスにDF二人がスライディングするも届かず、CFマテタがシュート。守備の緩さを露呈する。

 ブレーメンの序盤の攻勢を凌いだマインツはその後、次第にパスを回し、主導権を握っていく。18分にはOHボエティウスの縦パスを右SHオニシウォが落とし、OHボエティウスミドルシュート。そして25分、左SBブロジンスキのFKをファーサイドでSHオニシウォがヘディング折り返すと、あわやそのままゴールへ。何とかDFがクリアするも、こぼれ球を左SHクアイソンが押し込んで、マインツが先制点を挙げた。そして30分、今度はCHラッツァが中盤からドリブル。FW大迫が抜かれると、さらに二人を抜いて、ヒールでパス。OHボエティウスミドルシュートを決めて、さらにマインツが突き放した。

 36分には左WBブロジンスキの縦パスからSHオニシウォが反転からミドルシュート。GKパブレンカがナイスセーブするが、さらにCFマテタがヘディングシュート。GKパブレンカが何とか弾き出す。43分にはFWサージェントのクロスにFW大迫がヘディングシュート。ブレーメンも何とか攻めようとするが、なかなか決定機までは作れない。逆に中盤の寄席の甘さの方が気になる。44分には右WBゲブレセラシィがケガで左WBアウグスティンソンに交代。フリードルが右WBに回る。前半はそのまま2-0で折り返した。

 後半最初にブレーメンはCBグロスとビッテンコートを下げて、FWフュルクルクと右SHバgルテルスを投入。布陣を4-1-3-2に変え、大迫をトップ下に下げる。左SHはクラーセン。マインツも左SHクアイソンに代えてエツナリを投入する。後半も序盤はブレーメンが攻める。8分、CBベリコビッチのフィードからFWフュルクルクがシュート。GKミュラーがナイスセーブ。そして13分、左エンドライン際でFWフュルクルクが仕掛けると、こぼれ球を左SHクラーセンが戻しのパス。OH大迫が戻りながら反転してシュート。これが決まり、ブレーメンが1点を返した。15分にもOH大迫がミドルシュートブレーメンが攻めていく。

 マインツは11分、ケガのCHラッツァに代えてバレイロを投入すると、19分にはCHクンデを下げてフェルナンデス、CFマテタに代えてサライを投入する。すると21分、CHフェルナンデスがドリブル。左に流して、CFサライがシュート。GKパブレンカがナイスセーブ。24分には左SHオニシウォが切れ込んでミドルシュート。これもGKパブレンカがファインセーブ。パブレンカの攻守に救われるが、中盤の守備のもろさは気になる。

 その後はブレーメンが攻めようとするが、マインツもよく守り、膠着状態。32分にはSHオニシウォを下げて、CBハックを投入。3バックにして守備を固める。ブレーメンも37分、右WBフリードルを下げてピサロを投入。必死に攻める。だが40分、マインツの右WBバクがドリブルで上がると、誰もついていかない。余裕をもってスルーパスを入れると、CHフェルナンデスが抜け出してシュート。ダメ押しの3点目を挙げた。

 41分にはCBベリコビッチに代えてFWゼルケを投入。ブレーメンがパワープレーで攻めるが、逆に中盤はスカスカ。45分には右WBバクが再びドリブルからスルーパス。今度は抜け出したCHフェルナンデスが戻して、バクがミドルシュート。GKパブレンカのファインセーブで4点目を防ぐが、その後はマインツも時間を使ってそのままタイムアップ。3-1。マインツが勝利し、残留を決めた。

 16位のデュッセルドルフが引き分けたため、勝ち点差は2に開いた。最終節の相手は14位ケルン。デュッセルドルフの相手は12位ウニオン・ベルリンデュッセルドルフが負けてブレーメンが勝てば、順位が入れ替わる。奇跡は起きるだろうか。そのためにも大迫の活躍は欠かせない。最終節も見逃せない。