とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

入院後、初めての面会。そして一般病室へ。

 「気管切開手術は無事終了」からの続き

  • 6月2日に記す

 新型コロナの感染拡大にかかる緊急事態宣言の解除に伴い、病院での面会も解禁となった。ただし、1日1回15分以内、家族2名以内という制限付き。解禁になった初日にさっそく娘と二人で面会に行った。ICUからHCUへ移ったとはいえ、気管切開手術をしてまだ5日。点滴などのチューブを付いているだろうから、なかなか悲惨な状況を予想はしていたが、やはりこの目で見るとかなりショックだ。

 最初、見た時は目をうっすらと瞑り、何が起きたのかと不審げな様子。娘が声をかけるとようやく理解した感じがしたが、なにぶん口がきけないので、どこまでわかっているかは不明。まだかなりぼんやりしている様子で、娘が妻の友人から預かった手紙を見せて、読み聞かせるが、どこまで理解したか?

 そして、ミトンの被せられた手を盛んに動かそうとする。看護師さんが「日中、自分で鼻のチューブを取ってしまったので、ミトンをしたけど、面会の間は外しましょう」と言ってくれた。手を取って握手をするが、すぐに振り解いて、手を顔の方に持ち上げようとする。手を握って落ち着かせようとすると、一瞬、理解したような様子を見せるが、また手を動かそうとする。結局、娘とベッドの両側で左右の手を握って、動かさないように押さえつけていた。

 「手すりをつけることにしたよ」など近況を報告するが、はっきりとした反応があるわけでもないので、そのうちに話すこともなくなってしまう。時折、痰が絡むのか、苦しそうな声を上げるが、看護師さんが来るわけでもない。結局、予定の15分を大幅にオーバーして、通り掛かった看護師さんを呼び止め、再度、ミトンを付けてもらった。病状を聞くと、「既にプリンやゼリーは少しずつ食べ始めており、明日からは一部、流動食に移っていく予定。また、点滴も今日で終わる」とのこと。さらに「2~3日中にも一般病室へ移るかもしれない」と言われた。まだ、ほとんどチューブ付けな状況で、一般病室へ移って大丈夫かと思ったが、「ああ、そうですか」としか言えない。

 帰る時に「また明日来るからね」と手を振ると、足首を振ったのは「またね」の合図か? 意思疎通ができないし、ベッドに横たわる姿もまだまだ回復には遠い印象だ。その後は娘と二人、クルマの中でもほとんど押し黙ったまま、家に帰った。1ヶ月ぶりに顔を見られた嬉しさよりも、ショックの方が強かった。夜も久しぶりになかなか寝付かれなかった。

 そして翌日。午前中に病院から電話が入る。「今日の15時に一般病室に移ります」とのこと。えっ、もう移るの! 思わず「気管からの呼吸の器具などは付けたままですよね」と聞いてしまったが、「そうです」と返事。「大部屋でいいですか」と聞かれ、考えてもいなかったので、ただ「ええ、はい」というのが精一杯。個室よりも他の患者がいた方が、看護師さんが出入りする機会も多く、何かあったら見つけてもらえるだろう。

 夕方、工務店の担当者が見積書を持ってきてくれた。退院前に工事が終わるだろうか。

 「久しぶりに主治医から説明を受ける」に続く。