とんま天狗は雲の上

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過去の任命責任を問うより将来を切り開く力を示せ

 中川財務相が辞任して、首相の任命責任が問われている。首相自ら「任命責任はある」と言明しているから、その有無が議論になることはない。任命責任をどうはらすか、という事後処理に話題は移っている。首相サイドは今まで以上に取り組みことでその責任を果たすと言い、野党や一部自民党議員は解散すべきと政府に迫る。任命責任とは政局のための道具である。
 国が安定的に運営されているのであれば、過去の実績を問い、間違いを正すことで、これまでと同様の安定した国家運営に戻ることができる。しかし今は100年に一度の国家的危機である。過去のやり方は通用しない。こうした時期に必要なのは、過去を振り返ることではなく、未来を切り開く力である。
 しかし、未来への展望を描く能力がない現政権、野党政治家、そしてマスコミは、過去の過ちを現在の基準で批判することしか行えない。「かんぽの宿」問題しかり、「郵政民営化問題」しかり。
 オバマが圧倒的な人気をもって大統領に就任したのは、前ブッシュ大統領の失政を批判したからではなく、未来に向けた希望を示したからである。日本では「CHANGE!」というかけ声を掲げる政治家は掃いて捨てるほどいるが、CHANGEした先の未来を指し示すことのできるリーダーがいない。
 未来は過去からつながっているが、過去とは違う時間と状況の下にある。必要なのは過去に囚われない新しい物差しであり、新しいスキームである。もちろん断絶しては痛みが大きすぎるだろう。過去の流れの延長で新しい流れを創るのは難しい仕事だ。しかしやらねばならぬ。そういう視点で政権批判をすべきだ。任命責任を問うより政権担当能力を示せ。麻生内閣の次は自動的に民主党内閣になるわけではないのだ。いや、昨今の状況は自民党内で次の受け皿の準備が整いつつあることを示しているとも思われる。いずれにせよ、政権が欲しい内閣ではなく、政権担当能力のある内閣の登場を望む。