とんま天狗は雲の上

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道路は無料という思想

 高速道路無料化というのは、公共施設である道路は誰でも無料で利用できるべきである、という考えが反映しているように思う。
 十年ほど前に、「道路は無料が当然か」というテーマで議論したことがあった。「利用者から便益に応じた使用料を徴収するのは、当然でありかつ一般的である。道路も同様ではないか。」と主張したが、「道路は特定の者が独占すべきものではない。」といった意見もあり、物別れに終わった経験がある。
 私は今でも前者でいいと思っているが、民主党の思想は後者だということだろうか。
 ただ現在の有料制度で問題なのは、全国一律プール制にして、償還が終わった道路の通行者からも通行料を徴収し、他の道路の償還金返済や新たな道路整備資金へと環流させている点である。
 このため、分社民営化して金の流れを明確化したり、整備路線の選定を合理的にするなどの方策が取られてきたが、先だっての整備路線復活に見るとおり、整備路線の決定は非常に政治的で、それと全国プール制による通行料徴収と連動して、道路の通行料に関する議論を不明瞭なものとしている。
 ところで道路は整備時だけでなく、維持管理にも継続的に費用がかかる。整備路線決定の政治性に鑑み、道路整備に要する費用は税金で行い、維持管理経費は全国プール制の上で通行料でまかなう形にしたらどうか。維持管理は基本的に使用に伴う老化が原因であり、また使用者に対するサービス提供だと考えれば、これに係る経費を使用者に負担を求めるのは合理的ではないか。ただし、経年的な老朽や草刈りなどもあるから、交通量の多寡で差を付けるのではなく、全国プール制が適当だろう。
 「道路は無料であるべし」という思想を日本全体に根付かせようとすれば、当然、地方道路公社等の有料道路も無料であるべきということになる。民主党の高速道路無料化はそこまでの配慮と信念、思想を持った方針なのか?その真意を知りたいと思う。