とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

満身創痍 グランパス 魂の勝利

 ヴィッセルは前節、大久保が久しぶりに復帰してきたというのに、即レッドカードをもらって出場できず。そのせいか、ポポをワントップに上げるなど、大幅に布陣をいじってきた。対するグランパス中村直志が出場できないが、代わりに小川が先発。あとはいつものメンバー。前節の敗戦を払拭せんと、前半からやる気に満ちていた。
 と開始間もない前半5分。増川から大きく右サイドに放たれたボールに田中が追いつきクロスを上げると、中央でぽっかりフリーの玉田が悠々ヘッド。あっけなく先制点を挙げる。
 ヴィッセルの攻撃は遠目からゴール前にボールを放り込む単調なもので、グランパスの高くて強いCBコンビにことごとく撥ね返され、ほとんどチャンスにならない。また、小川がダニルソンと並ぶボランチに位置に入り、守備に活躍。さらには攻撃のリンクマンとなり、サイドチェンジや大きな展開に絶妙のパスを放つ。
 もう一人、攻撃のキーマンは金崎。この日は左右上下に運動量が多く、阿部や田中のSBとのコンビもよく、積極的に仕掛けてはチャンスを演出。さらにダニルソンが攻守によく頑張った。
 ヴィッセルがようやくチャンスを掴んだのは25分。ダニルソンからボールを奪った田中英雄がそのままドリブル、シュートはかろうじて楢崎が指先に当てる。するとそこからのCKをポポがシュート。しかしケネディが頭で弾き出した。
 逆にグランパスは30分、小川から阿部につないでアーリークロスケネディが落とす。ここはチャンスにならなかったが、ここからの流れで得たFKをダニルソンが蹴ると、壁の上を通ってGKの直上。ながら不規則な弾道はGKが対応できず、追加点を挙げた。
 ヴィッセルもその後、34分には石櫃の爆発的なダッシュ、ボールカットから田中に渡り、一旦はダニルソンに奪われたものの、再度、石櫃が取り返してポポに渡してシュート。これはDFがブロック。39分にも石櫃のクロスに逆サイドでエジミウソンがフリーになるが、シュートは枠を外した。前半34分、ヴィッセルは攻撃の核であるボッティがケガで退場。代わりに吉田を入れたものの、石櫃・田中の個人的な頑張りやポポの速さと技巧など、単発的な攻めに終始した。
 後半に入ってもグランパス・ペース。11分、玉田のスルーパスに抜け出した金崎がGKと一対一からシュート。ボールはGKがブロックしたが、それよりも金崎がシュートの際の着地で足をひねったか、筋肉系の故障か、そのまま倒れ込んで立ち上がれない。結局担架に乗って退場、ブルゾに交代。絶好調だっただけに心配。好事、魔が多し。ここから少しずつ流れはヴィッセルに傾いていく。
 19分、阿部からケネディに出したパスはブルゾがつないで玉田が抜け出しクロス。しかしこのクリアをヴィッセル小川慶治朗が拾うと、田中英雄が抜け出し、左サイドから吉田のクロスを小川がヘディングシュート。しかし当たり損ねて逆サイドに転がると、これをポポが拾って三原に戻し、クロスを田中がヘッド。しかし枠を外した。
 この場面はヴィッセルの決定力のなさに助けられたが、25分、石櫃から右サイドに流れた吉田のクロスは高いCBを越えて逆サイドに届き、阿部の上からポポがヘディングシュート。一瞬の隙に得点を許してしまう。
 ここからグランパスの運動量が落ち、金崎のいない前線は攻撃をうまく組み立てられず、防戦一方となる。21分、マギヌンに代えて杉本を入れると、40分には玉田を千代反田に交代。3バックで守備を固める。
 と41分、GKからのロングフィードケネディがDFと競って落とし、そのまま前に抜け出しシュート。しかしポストに弾き返されるとさらにブルゾがシュート。これもDFがかろうじてブロック。ここで点が取れないのが、流れがヴィッセルに来ているのを象徴している。そして42分、闘莉王がポポとの接触から右足太股を負傷。交代枠を使い切ったグランパスは走ることのできない闘莉王を前線に上げ、実質10人、千代反田、ダニルソンを下げて、必死に守る。
 ロスタイムは長すぎる5分。闘莉王はボールサイドから逃れて足を引き摺りつつ選手たちを鼓舞するが、その姿は痛々しい。ロスタイム3分にはポポのクロスから茂木のシュートがあったが、GK楢崎が好セーブ。ダニルソンの魂の鬼チェックもあり、かろうじてグランパスが逃げ切った。
 前節の大敗を払拭する勝利。だがその代償は大きい。金崎、闘莉王は次節帰ってこれるだろうか。途中、ケネディも一瞬バツのサインを出す場面も見られた。全員満身創痍。だが今日の闘莉王が見せた勝利への執念はきっとみんなの心に乗り移ったはず。単独で首位を独走する中、今まで経験したことのないプレッシャーが選手たちにはかかっている。しかし闘莉王の魂がプレッシャーをすべて吸収して、選手たちの集中力を高め、勝利へと一丸とさせている。そんな気がする。
 闘莉王は確実に、これまでグランパスに欠けていたものを持ってきてくれた。この魂を受け継いで、優勝まであとわずかだ。燃えろ!グランパス魂。