とんま天狗は雲の上

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マンU エルナンデスに託するほどの危機的状況

 ルーニーの退団移籍騒動から一転、5年契約延長で決着したマンチェスター・ユナイテッド。しかし3戦連続ドロー、特にアウェイでは今シーズン4戦すべてドローと調子が上がらないことに変わりはない。ストーク戦、そのルーニーは引き続きケガで欠場。代わりに先発したエルナンデスが2得点の活躍で、ルーニーに代わる救世主登場かと今週のニュースでは騒がれているが、ゲームを見る限り、チームの状態は深刻。とりあえずストーク戦はエルナンデスの異能で勝利したが、これが続くとも思えない。いや、意外に続くかもしれないのがファーガソン・マジックなのだが、それにしても経営危機問題といい、マンUが今後どうなるかは予断を許さない。
 さてゲームはいたって単調。図らずもゲーム終了後、解説の福西さんが「内容は面白くなかったですが」と口走っていたが、そのとおりの内容。8分、CKからのカウンター。3対2。ベルバトフが持ち上がり、右のナニからのクロスをエルナンデスがなぜか中央に戻しチャンスを潰してしまう。
 ストークは前線から積極的にプレスをかけるが、攻撃はデラップのロングスロー頼み。17分のロングスローはフートがヘッドで当てるが、外す。22分にはCKからのこぼれをウィルソンがヘッディングするが、弱く外れていった。
 両者、決め手なく、ボールを持ってはパスミスやプレスでボールを失うという低調な展開の中、27分、ナニがショートコーナーから上げたクロスをビディッチが折り返すと、エルナンデスが後頭部でゴールに叩き込むバックヘッドで先制点を挙げる。逸らしたボールがゴールに入るのはよく見るが、明らかにゴールに向かって強く叩き込むために身体を振って反り返っており、こんなバックヘッドは見たことない。エルナンデスの異能を感じる。
 それでもストークのプレスは変わらない。30分、40分とデラップのロングスローからヘディングでつなぐが、ゴールには飛んでいかない。45分、CKからエブラのヘディングシュートはフリーながら枠を外した。
 パスがつながらない。トップにパスが入らない。マンUのイライラは、前半のうちに、ネビル、スコールズイエローカードをもらったところからも察しられる。だからといってストークも決定機はほとんどつくれない。4分、右サイドからペナントが蹴ったFKをヘディングでつなぎ、ウィルソンがオーバーヘッドを見せるが、うまく当たらずクリアされる。ストークの攻撃は遠目から放り込むセットプレーとロングスローだけ。
 この日のマンUは、パク・チソンやギブスらがケガで欠場のため、オシェイを左SBに、エブラを左SHに上げて起用したが、これが中盤でパスが回らなかった一因でもある。そこで25分、エブエをいつものSBに下げて、オシェイに代えてキャリックを投入。すると27分、GKからのフィードをベルバトフがドリブル、クロスにキャリックが飛び込む。が外れた。
 ストークも21分、ウォルターズに代えてトゥンジャイ、34分にはグジョンセンを入れる。すると、二人が運動量多く走り回り、前線を活性化する。そして36分、右サイドからトゥンジャイが切れ込みミドルシュート。これが見事決まって、ついにストークが追い付いた。
 ここ最近、マンUは先制しても追い付かれる展開が続いている。またかと思ったが、逆にこれで選手に火が付いたか、これまでと打って変わって流動的な動きを見せるようになる。ストークの選手たちが守りに入ったかもしれない。38分、ナニがドリブルからシュート。41分、ベルバトフがボールキープからクロスを入れるとストークがヘッドで流し、エブラが戻したところを、ゴール正面に入り込んでいたエルナンデスが合わせてシュート。あっという間に勝越し点を挙げた。
 その後はストークも戦意喪失。5分の長過ぎるロスタイムもただただ時間だけが過ぎ、2-1でマンUが4試合ぶりの勝利を挙げた。しかし冒頭に書いたように、チームとしては低調。エルナンデスの異能で勝ったに過ぎない。ルーニーの復調。中盤の活性化。タイトルを再奪取するためには相当にチーム力の改善を図る必要がある。ファーガソン・マジックだけでは相当に厳しいと言わざるを得ない。