とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

後がないアントラーズ モチベーションの差 だが、このメンバーでも楽しかったゾ グランパス

 天皇杯準々決勝アントラーズグランパス。リーグ戦で2連敗し、「天皇杯は負けたくない」と言っていた友人が、アントラーズが4位に終わってからは「天皇杯は負ければいい」と言いだした。真意を問うと、「天皇杯で優勝してもリーグ4位のアントラーズが繰り上げでACL出場となるなら、アントラーズに自力でACL出場を目指してもらった方がいい」との由。なるほど。
 そこでモチベーションの差が出たか、マルキーニョスが欠場のアントラーズに対して、グランパスケネディ、玉田、マギヌンブルザノビッチダニルソン闘莉王、楢崎と欠場。さらに三都主も累積で出場停止。もちろん、ブルゾは十字靱帯断裂だし、闘莉王、玉田もケガではあるが、Jリーグ優勝の上に天皇杯まで狙おうというモチベーションよりも、来シーズンに備えての体調の整備や若手・控え選手の熟成、そして退団する杉本へのはなむけを優先したと言われても仕方がない。そういう布陣にも関わらず、アントラーズ相手に観て楽しい、可能性を感じさせるゲームを展開。来シーズンに向けての期待を感じた戦いだった。
 前半序盤は2分大迫、5分中田とシュートを放ち、アントラーズが圧倒的に押し込んでくる。そして7分、中盤左深い位置から中田(野沢?)のフィードに興梠が走り込み、あっさりと先制点を挙げる。グランパスは立ち上がり集中力がやや散漫。いや、アントラーズの序盤のラッシュはいつものことで、ここは気を付けなければいけなかった。
 グランパスはその後もしばらくアントラーズの早いプレスになかなかパスがつながらない展開が続く。それでも20分過ぎ、ようやくグランパスが攻勢に出ると、22分杉本のシュートに岩政が足を痛め、大岩に交代。27分には、小川から金崎のパスを橋本が戻し金崎がシュート。
 しかしアントラーズも28分、カウンターから興梠のスルーパスに大迫がクロス。フェリペの前で千代反田がブロック。39分には野沢のヒールパスに大迫が持ち込みクロスを新井場がヘディングシュート。ここはGK高木がナイスセーブ。
 左SHに入った橋本も25分過ぎ以降はよくボールに触り、金崎らとコンビを見せていたので、もう少し見たいと思ったが、後半早々に巻と交代してしまった。当初、杉本、金崎の2トップでスタートしたが、ボールが触れず、金崎が下がって杉本の1トップでいたが、ほとんどトップにボールが収まらなかったので仕方がない。しかし今シーズンで退団の杉本を残すところはストイコビッチの温情。
 後半はグランパスが攻勢をかける。2分、金崎のクロスに小川が走り込むが、大岩がクリア。6分にはCKを千代反田が落とし、杉本がシュートをするがサイドネット。アントラーズもその直後、カウンターから興梠のポストプレーにフェリペがシュート。しかし後半はグランパスの時間帯。田中、阿部の両SBが積極的に上がり、金崎の個人技、中村のパスカット、巻の高さを生かし、攻勢をかける。
 16分には吉村に代えて花井を投入。これでさらに収まりどころが増えてグランパスの攻撃に変化が生まれる。しかしアントラーズグランパスの攻勢の隙にカウンターを虎視眈々と狙う。23分、大迫がドリブルで切れ込み、野沢のクロスに興梠が飛び込む。25分、阿部から小川とつなぎ金崎のクロスを杉本のヒールキックは空振り、巻に届かず。29分、フェリペがドリブルからクロスを上げると野沢がシュート。
 ようやく31分、田中がうまくボールを絡め取るとクロスを巻が落とし、小川が飛び込んでヘディングシュート。ついに同点に追いつく。しかし喜びは一瞬。アントラーズも33分、興梠が落としフェリペがつなぐと大迫が増川をうまくかわしてシュート。あっさりと勝ち越し点を挙げた。
 グランパスも反撃。35分、阿部のクロスを金崎が戻して杉本が飛び込むが、新井場がライン上でブロック。37分にも小川のCKからゴール前で何本もシュートを放つが、密集するDFに当たってはね返り、最後は中村のミドルシュートをGKが抑えた。
 結局このままタイムアップ。ホイッスルと同時に、これがグランパスでのラストゲームとなった杉本があおむけに倒れ込み、顔を抑えて涙を流していたのが印象的。中村と増川が言葉をかける。ごくろうさま、杉本。まだ次の進退が決まっていないみたいだけど、どこに行ってもがんばってほしい。
 「杉本恵太オフィシャルブログ:本当にありがとう。」
 これで今シーズンのグランパスは全ゲームが終了。代表に誰も選ばれなかったグランパス。優勝チームから一人も選ばれないというのもさみしいけど、おかげでじっくり休養できる。来シーズンは忙しく、また今年以上にマークされ厳しいシーズンとなることが予想される。それをはねかえし、リーグ2連覇、ACLチャンピオンを目指しがんばってほしい。それまでしっかり調整の時間だ。