プレミアリーグ延期第28節のアーセナル対トットナム。トットナム・ホームのホワイトハートレイン。ゲーム前からスタンドは熱く燃え上がっている。今、「英国のダービーマッチ」を読んでいるが、ノースロンドンダービーの激しさ、ダービーにかけるファンたちの思いに胸を熱くする。結果は観る前からわかっていたが、それでも観て正解。今シーズン観たプレミアリーグの中でも最高のゲームの一つだ。
マンUを勝点差7で追う2位アーセナル。対するトットナムも現在5位。CL出場圏内の4位に勝点差3.どちらも負けられない、いやどうしても勝ちたいゲーム。最初から激しい攻防が繰り広げられる。
立ち上がりはアーセナルがポゼッション高くパスを回すが、トットナムも激しく中盤からプレスをかけていく。2分、アスエコトの長い縦パスをクラウチが右サイドに落とし、右SBコルルカがクロス。ベイルにわずかに届かない。直後、モドリッチのシュートが飛ぶ。
ところが先制点はアーセナルが奪う。コルルカからのパスをCMハドルストンが流したところをディアビが奪い、ソングの縦パスをセスクがスルーパス。ウォルコットが走り込み、GKの脇下を抜いた。
しかしトットナムもその直後の7分、コルルカのクロスにファンデルファールトがトラップで抜け出しシュート。あっという間に同点に追いつく。このゲームのファンデルファールトはキレキレ。熱い気持ちでイレブンを引っ張る。
対するアーセナルもさらに負けない。11分、ナスリがドリブルからスルーパスを入れるとファンペルシーがシュート。ここはGKゴメスがナイスセーブをするが、12分、中盤でナスリが持つと、ディアビとのワンツーで大きく動いてミドルシュート。これが決まる。ハドルストンはディアビ、モドリッチはセスクに付いて中盤が空き、ドーソンがカバーに走り込むが、その股を抜いた。
トットナムは20分ファンデルファールト、22分コルルカとミドルシュートを放ち、攻めの姿勢を保つ。しかし29分、ベイルにソングが絡んでこぼれ球をナスリが拾い、縦に入れると、ファンペルシーがポストに入ってスルーパス。またもやウォルコットが抜け出しシュート。しかしボールはGKの指を掠め、わずかにポストの外を転がっていく。惜しい。31分にはファンデルファールトのCKをDFがクリアしたところをファンデルファールト、モドリッチとつないでシュート。強烈だがGK正面。
両チーム激しい中盤の争い。40分、右SBサーニャのスローイン、セスクが戻しサーニャがクロス。これをギャラスが胸でクリアするとウォルコットが走り込みクロス。ファンペルシーがヘディングシュート。GKゴメスが一旦はクリアするが、再びファンペルシーが詰めてシュート。3点目。ファンペルシーをマークしていたギャラスが前に出たところで、ドーソンが振られてしまった。
その後、GKとベイルが交錯。ベイル退場で一瞬緩い時間が流れた後、左SBアスエコトのスローインをモドリッチが戻してクロス。これをクラウチがヘディングで中へ。セスクがクリアするがハドルストンが抑えたシュート。シュートコースにいたファンデルファールトの股の下を通ってゴールに吸い込まれた。さすがにこれはGKシュチェスニーもボールが見えなかったのではないか。その後のロスタイムも激しい攻防を見せるが、前半はこのまま3-2で終わった。
後半の頭からベイルに代えてレノンを投入。さらにナスリ対策か、右SBをコルルカからカブルに交代する。立ち上がりからトットナムが激しく攻め立て、アーセナルが守勢に回る。ソング、ジュルーとたまらずイエローカード。ディアビも前半カードをもらっており、それを嫌ってか、ベンゲル監督は7分、ディアビに代えてウィルシャーを投入。トットナムは勢いのまま9分、モドリッチのスルーパスにファンデルファールトが抜け出しシュート。GKシュチェスニーがナイスセーブ。
しかしゲームは次第にアーセナル・ペースになっていく。12分、セスクのスルーパスにファンペルシーが抜け出しシュート。決まったかと思ったがオフサイドの判定。19分にはウォルコットがドリブルでドーソンをかわしゴール前に迫るが、シュートを躊躇したところをアスエコトに追いつかれチャンスをつぶす。23分にはナスリのスルーパスに抜け出したファンペルシーがループシュート。これはやや弱くGKがキャッチ。この時間帯にゴールを挙げられなかったことが痛い。
25分、ハーフライン付近からアスエコトが長いスルーパス。レノンの鋭い走り込みにGKシュチェスニーがたまらず手で足を払いPK。これをファンデルファールトが落ち着いて決めてゴール。トットナム同点。
その直後の27分にはモドリッチからレノン、ファンデルファールトのヒールパスに右SBカブルが走り込みクロス。モドリッチが走り込むがシュートはGKがセーブ。惜しい。対するアーセナルも28分、ファンペルシーのキープからセスクのミドルシュート。GKゴメス、ナイスセーブ。30分にはナスリからクリシーのクロスをドーソン、ギャラスとつないで撥ね返すと、ナスリが拾ってパス。セスク・ファブリガスのシュートにGKゴメスがファインセーブ。
34分、レノンがソングのチェックを受けながら左に出すと、アスエコトのクロスをクラウチがヘディングシュート。GKゴメスがわずかにクリア。ナイスセーブ。36分にはクラウチの縦パスをファンデルファールトが受けて反転からシュート。GK正面。
その後、トットナムはパブリチェンコに代えてサンドロを入れて守備固め。アーセナルはナスリ、ウォルコットの両SHをベントナー、アルシャビンに代えて攻撃に変化をつけようとする。最後まで激しい攻防が展開されたが、結局このままタイムアップ。3-3の引き分けに終わった。
しかしいいゲームだった。BS1解説の平野孝がゲーム前、アーセナルを「速い・巧い・強い」と表現したが、対するトットナムも「高く・厳しく・力強い」。サポーターの声援もあり、ゲームは熱く・激しく・面白かった。結果には両チームとも満足できなかったかもしれないが、観戦した側にとってはこれ以上ない最高のゲームだった。いや、ダービーってホントいいものですね。